思惑
「クソ!」
夏姫がニ位を獲得した事でより一層腹正しく思う君津家蓮苗字。彼は自分の思惑通りに事が成せていたはずが何故かこういう結果を招いた事で何がどうなってるんだと憤慨する。
「お前達ちゃんと僕の言う通りに動いたんだよな?」
「は、はい!先輩の言う通り東郷の足に怪我をさせました。それもスパイクの出ている針で思いっきり挿しました。」
「なら何であの子は簡単に一位を取れているんだ!」
「そ、そんな事を言われましても…まさかドーピングとか使ったりしたとか…」
「いやそれは無いんじゃないのか?走る前に一応検査はされているし何よりもそんな事をする奴がいるとは…」
「………神楽坂一星アイツか…」
うわああ!!!
もう一つの会場で歓声の声が全体に轟きいったい全体何が起こったのかとその場にいた男子陸上部3人組が視線をそちら側のモニターに凝視する。
「う、嘘だろ…」
「ま、まじかよ…」
まさかのもう1人も怪我を負わせたとする春野原夢葉もその歓声の響きの意味に合点がいきニ位を獲得していた事に驚愕を隠せない3人はアレは化け物なのかとそう思ってしまう。
「いやいやアイツらマジで人間かよ。何でそんな簡単に一位取れてんだ。」
「寧ろ俺達のやってた事は意味があったのかって思うぐらいの情けなさだぞこの失態は…」
「クソクソ!何で何で何で、何で事が上手くいかないんだ!クソクソクソクソクソ!」
君津家蓮苗字はそうぶつくさといいながら女子陸上部の会場から離れ自分を追い込むかの様に苛立ちを何かに散らすのかという心配を他所に後輩の2人男子陸上部をその場に置き去りにする。
「あの人やっぱり性格上危ないんじゃね?」
「ああでもあの人に慕っていたらいつか将来何かしら優遇されるかもしれないしな。」
「まぁそうだな。俺達は俺達で東郷の平然振りに苛ついていたからなったってのもあるしあんまし人の事は言えんな。」
「だな大人しくこのまま男子陸上部会場に戻るかここにいると不用意に怪しまれるしな。」
「ふふ、ごめんなさいね2人にはまだ帰すわけには行かないの…理由は分かるわよね?」
2人は後ろを振り向こうとして帰ろうとした時僅かに力のこもった手で肩をギュッと鷲掴む女性の声が聞こえその声に僅かながら殺意みたいな圧みたいなのを感じ2人は顔を青ざめながらその鷲掴みにする女性の声に心当たりがるのか勢いよく振り返ると…
「つ、蕾先輩!」
「はいその通りです。じゃあ洗いざらい全部はいてもらおうかしらね。」
もうここでの逃げ場が無くなった2人は観念し琵心に事の端末をほとんど君津家蓮苗字の裏の事情を掻い摘んで1つずつ話す。
「ふ〜んまぁそうだろうなって思ったりはしたけれどね、ありがとう2人ともまた面白い話しがあったら聞かせて頂戴ね。」
「あ、あの!この事は君津家先輩には!」
「それと俺達の事も…」
「ああ大丈夫大丈夫。君達にこれといった罰みたいなのを与えるつもりはないから安心して頂戴。でも強いて言うなら1つだけ言う事を聞いてもらおうかしらね。」
…………
「とまぁ君津家君の裏の事情?みたいなのを聞いた私はその試合が終わった日で彼等をある事件に介入してもらうよう誘導したわけ。」
「じゃあここで起こった学食の相談は蕾先輩の企みだったって事ですか?」
「だってそうじゃないと彼私の事諦めてくれないじゃない。でもこれでようやく身が軽くなったって事よね。」
蕾先輩は体を勢いよく上に伸ばしながら自分の魅力的なボディを目の前にいる男子等気にせず体を曲げながら誘惑している事に気付かないのかそれともわざとなのか自分は目線を横にする。
「先輩今蕾先輩の何処を見てたんですか?」
しかし中々目敏い後輩に目をつけられてしまった事でここにいる僅かな女子が俺を睨む。てか何故睨んでくる。それなら蒼脊は違うのか?
「べ、別に見てはいない…単に目のやり場に困るそう思っただけだ。彼氏としてな…」
「あ、もうそれ嘘だって分かってるので大丈夫ですよ。」
「え?」
「え?」
俺と蕾先輩は何で嘘だって事がバレてるんだと言う様な顔をしながら辺りを見回す。
「………」
見回す中で1人だけ目線を逸らす人物がそこにおり蕾先輩はゆっくりとその人物の頭にゆっくり手を添える。
「ふふ、蒼〜脊〜君?」
ビク!
やたらと優しい声つきに蒼脊は体をビクッとしながらそのまま無言のまま貫こうとする。
「別に怒ってはいないわよ。ただ理由を聞かせてもらってもいいかしら?何であの子に私達の関係をバラしたのかしら?」
「いやその……試合が終わったし…やたらと一星の事でウザ絡みしてきたし…めんどくさかったので正直な所を話しました。はい…」
「ちょっと誰がウザ絡みしたって言うんですか!」
「お前だよ!お前!自覚ねぇのか!」
「はぁ〜因みに夏姫ちゃんは知ってたのかしら?」
「いえ今聞いた所です。そうか…神楽坂君と蕾先輩は嘘の関係だったんだ。」
「おい東郷この状況で何故ホッとするんだ。あからさまにつんでる状況だぞこれ…」
「それは神楽坂君だけじゃないのかな〜?そもそも私達からしたら嘘をついてまでの付き合いに何の意味があるって思ってたぐらいだしね。」
「うん菟ちゃんの言う通りだよ。私からしてもそんな何のメリットもない関係あまり宜しくないと思うな。」
まぁこの2人に関しては面白くない話しだろうな。そもそも不純異性交遊なんて御法度みたいな奴等だし今までそう言うのを断ってもいたって事だからそれを見ている自分達からしたらなんなんだコイツらって思うけど……てか何でこの2人は俺達にそこまで関与してきたりしたんだ?そこが未だに腑に落ちない点ではあるが…
「お前らがとやかく言った所で関係のない話しだから別にいいだろう。てか蕾先輩今日の放課後って空いてますか?」
「うん?ええ、今日は部活もないし大丈夫だけどもしかしてデートのお誘いだったりするのかしら?」
「はい。是非放課後先輩と二人っきりだけでデートしたいんです。」
…………
「えええ!!!」
「えええ!!!」
「えええ!!!」
「ひょえ!!!」
「ひゅ〜ド直球だね一星もしかして本気で蕾先輩に惚れたとか?つうか1人だけ驚きの仕方違くないか?ほぼ叫声に近かったんだが…」
「………ええ分かったわ。ならまた放課後に会いましょうか連絡はそちらからしてくれるという事でいいのよね?」
「はいこちらから連絡しますので指示した場所に来てくれればそれで問題ありません。」
「了解〜じゃあ楽しみにしてるわね一星君。」
そう言って自分の食べ終えた食器を片付け自分の教室へと戻る琵心の背中に一星は何処か思うところがあったのかその胸に秘めた思いを琵心に打ち明けようと心に決めたのであった。
「………」
「どどどど、どう言う事何ですか先輩!?」
「ぐぇ!!!」
「そうだよ!急に何で蕾先輩の事をデートに誘う気になったの!そこんところ詳しく聞きたい!」
無理矢理胸ぐらを掴んでくる春野原に俺は思いっきり苦しみながら側で東郷が尋問みたいな感じでデートを誘った件について聞いてくる。
「…………」
「どうする火花ちゃん?」
「ふぅまぁ無視してもいいかな。多分私の予想とはちょっとばかし違うと思うんだ。」
「その根拠は?」
「女の勘かな?」
「ふふ、何それ…でも私もそんな気がする。さっきは変な声出しちゃったけれど多分コレは違う問題…あの2人には悪いけどここは敢えて何も言わないでおこうかな。」
「でもようやく始まるんじゃないのかな?最初に始まろうとする琵心ちゃんの思惑が…」
「うん。後で話しを聞かないといけないね。」
2人そう言って食器を片付けにいきながらその場の騒動を無視し教室へ戻る。
「………はぁ〜ようやくか、でもこれでやっと1人目だな。遅いようで早かったそんな感じはするが…まぁこれで俺の抱える問題も1つ減るってわけだが…アイツにとっては多分胸糞悪い事を思うかもしれんなこれまでの出来事の話しを聞いちまったら…」
蒼脊もそそくさとこの場を後にし教室へと戻る。
「ぐぇ〜〜つうか誰か助けてくれ!!」
「話しを聞いて!」
「話しを聞いて下さい!」
「いや俺の話も聞いてくれれ!!」
そうこうしてる内に2人を何とか宥めながら教室へと戻らせそのまま何事もなく俺は蕾先輩にLAMFで約束の場所を伝え放課後その場所で待ち合わせをする。
…………屋上
ギィ〜〜〜
俺は若干重たい扉をゆっくりと押し開きながら夕方の太陽で照らされなが風で髪の毛が靡く蕾先輩の待ってる姿に少し見惚れてしまい遅れてはいる。
「あら?遅かったじゃないの一星君。私まちくたびれちゃったわ。」
「いやそんなに時間経ってませんよ。まだほんの僅かしか経ってませんし。」
「こら、そこは普通申し訳無さそうにする所よ。彼女を待たせる彼氏なんて最低なんだからね。」
何故か若干ムスっとする蕾先輩。だが俺はそこは敢えて触れずに蕾先輩にそのまま話しを続ける。
「先輩ここに来てくれた事ありがとうございます。わざわざデートと言ってここへ訪れるとは思いもしませんでした。」
「いやあなたね…普通は訪れるわよ彼氏彼女なんだからこう言うデートスポットを選ぶのもまぁ悪くないと思ってるわよ。」
「まぁこれで最初で最後のデートになるとは思うんですけどね。あの試合から数日が経って先輩との恋人関係という立場もこれで終わり…先輩自身もそろそろ自分から言おうとしていたんじゃないんですか?」
「まぁそうね。私的には十分に堪能したしそろそろ頃合いかなってとのも思ったり思わなかったり…あ!もしかして私と別れるのが寂しいから延長にしたいとか言いたいからここで改めて告白してくれるって事なのかしら?うんうん意外に可愛い所があるじゃないの一星君。そこまで私の事を想ってくれてるなんて私の美貌はやっぱり男子にとっては毒…」
「あ、そう言うのいいんでとっとと本題に入りましょうか嘘つき先輩。」
「…………嘘つきとはどう言う意味かしら?」
「ふっ俺から言わせるんですか蕾先輩。」
一星は琵心をまるで嘲笑うかの様にして何やら惚けているような感じで琵心を煽る。
「ええ全く状況が理解できないから是非話しを聞かせてもらおうかしら。」
「いいですよ。じゃあこれまでの事の発端で蕾先輩あなたは全部仕組んでいたんですよね俺と疑惑の彼氏彼女の時から…」




