逆に好都合
「大丈夫、姫羅伎これは私が招いた事…他の皆んなに迷惑かけさせるわけにはいかない。」
「いやだとしても夏姫は何も悪くないじゃない!あの男子2人絶対夏姫に自分達を振った事を思い知らせてやるとか何とか思って怪我をさせたんだと思う。じゃなきゃこんな事…」
「こんな事起こる筈じゃなかったって事か?恐らくこれは必然だったんじゃないのか?」
「神楽坂君?」
「どう言う事ですか先輩?」
「私も聞きたいわねどうしてそう思ったのかしら一星君。」
俺の言ってる事に何でそう言い切れるんだと言わんばかりの反応をする4人組。その事に俺は憶測と言わんばかりの言葉を並べる。
「必要というのは確かだと思う。けど誰が何でそれをしたのかはそこまでは分からない。でも憶測でいうならその誰かが差し向けた可能性が1番高いと俺は思っている。しかも春野原と東郷その2人を怪我させるのが目的として…」
「ちょっと待って神楽坂君!それだとまるで2人には勝って欲しくないみたいな発言じゃないの。」
「そうだよ。だって2人に勝たれたら困るからそうしたんじゃないのか?だから恨みをかってる奴を利用したり小さな子を利用して2人の痛い所をつけ込んでの精神ダメージを負わせるという、やり方が汚いと言わんばかりの行動を起こした。そいつは十分にこの2人の特徴を調べてそう言う手口をしたんだって事になるな。」
「そう言う風に言えば確かに聞こえはいいかもしれないわね。必然が必然を装って偶然に見せかけとする魂胆やり方がだいぶ汚いけれど今は犯人探しをしている暇はないわよ。」
その通り蕾先輩の言う通りこの2人の怪我はギプスで補ったとしても僅かな痛みを和らげただけにすぎない。完全なポテンシャルで走らなければ意味がない…けど…
「多分問題はないんじゃないかと俺は思う。」
「へ?」
「どういう言葉ですか?」
「2人とも俺が以前に教えたフォームや早く走れるコツみたいなのを今までやってきた事を把握してはいるか?」
「は、はい…」
「うん何とか…」
「よしそれなら問題はないだろう。」
俺は2人がやって来た事つまり基礎やそれ以外の事も含めて本領発揮すれば後は何も問題ないと確信しポケットから2つの注射器を取り出す。
「ひっ!」
「ちゅ、注射!」
春野原と東郷は当然の様に怖がり痛い足を引き摺りながら一歩下がる。
「も、もしかしてドーピングでもさせるつもりなの神楽坂君!それは話にならないわよというより犯罪よ犯罪!さすがにそこまでしろだなんて私でも言わないわよ!」
「私も姫羅伎ちゃんの言う通りドーピングは許可はできないわ。というよりもそんな事をする人間なんて私は思いたくないんだれどね。」
まるでこちらの意図する事が分かったかの様に髪をなびかせながら余裕の笑みを浮かべる蕾先輩。恐らく俺の真意が既にわかっているのだろう。
「あ〜大丈夫大丈夫ドーピングなんてセコイマネしないから。さ、2人はそのまま俺に足を差し出してくれればそれでいい…」
「へ、変態!」
「先輩のけだもの!」
「お、おい誤解を招く言い方はよせ!」
2人はああだこうだといいながら全然こちらの話しを聞こうとせずにおり蕾先輩と合河が2人の後ろからは羽交い締めにし逃がさない様にする。
「それじゃあ痛くないから直ぐに済むから大人しくしててくれよな!」
ブチュ!
ブチュ!
ぎゃあああ!!!
2人はそれほど痛くない注射を大袈裟の様に喚きながら痛い痛いと連呼し2人を宥めるのに逆に時間がかかってしまい出場するのがやや遅れてしまう。そして試合の時間となり2人はそれぞれ自分の定位置走る準備を行う。
「てか2人とも同じ部で同じ時間に開催するんだな。そこまで全然気づかなかった…」
「そりゃあ一年と2年だもの学年単位は別々に行う必要性はないでしょう。寧ろ競技に関しては年齢も詐称もする必要なんてないもの、本気さえあれば必然制限なんて皆無、早くて走る者だけが勝者なのよ。」
「え?ちょっと待って下さい今回の競技ってもしかして1年と2年と3年合同でやる試合ですか?」
「あら?言ってなかったかしら?今回の試合は特別に私の頼みを受け入れてくれて合同の試合にしてくれたのよ。同じ時間帯で同じ出場条件なら早く終われるでしょ?」
「でも、なら何で違う会場で分かれてやる意味を?」
「それは私にも分からないわね。」
条件をのんでくれた人達の意図が分からない競技って最早それ開催する意味あるのか?てかそれで蕾先輩の部活が廃部するかどうかの運命もかかってるのにそんなあやふやでいいものか…
「あの、私達はどっちを見に行けばいいでしょうか?正直心配なのは夏姫の方なんですけど…」
「そうねどちらかはついていてあげるのが1番いいでしょうけど、ここで2人同時にみてあげるのも判断ができるから離れられないのよね…」
「でしたら私が夏姫の所へ…」
「いや東郷の方は俺がいく。悪いが合河は春野原の方へ行ってみて行ってくれないなか?」
「………まぁ今回は神楽坂君に任せるのが吉かな…」
合河は何処か腑に落ちない顔をしながらもどうにか納得しつつここは俺に任せると言わんばかりの顔をした。
「じゃあ私は夢葉ちゃん所へ行くからちゃんと夏姫の事は任せたからね。」
「あ待ってくれついでに春野原に伝言をお願いしたいんだ。」
「?」
そう言って俺に東郷を任すようにしてこの場を後にするのを俺は合河を引き留め伝言を伝えるよう合河にお願いする。その事を伝えとる自分で言えばいいのにと言わんばかりの呆れた顔をしながらそのまま急いで春野原の方へ足を運ぶ。
「さてそれじゃあ俺は東郷の所へ行くかな。」
「頑張ってね一星君。私に出来ることはもうやってるつもりだけど、サポート役であるあなたにしか出来ない事で2人の志気が関わってくると思うから昔のように後悔だけは残さないようにしてね。」
「分かってますよ。俺は2人には絶対に勝てると思ってるからサポート役を引き受けたんです。だから必ず2人が勝って帰る所を見届けて下さい。」
そう言い残し俺は東郷の方へ急いで走っていく。
…………
「………ふぅ…まぁ序盤の段階ではこんなものかしらね。さてどこまでがシナリオ通りにいくのかしらねこの結果は…」
…………
「………」
大丈夫いける。私なら絶対にいける…負けない…必ず勝ってみせる。
「東郷。」
「神楽坂君?どうしてここに…」
「お前にどうしても言わないといけない事があったんだ。」
「私に?」
「ああ…」
僅かながら今の東郷のポテンシャルはぐちゃぐちゃだ。足を怪我した事で走りにくさがまっしてるのは用意にわかる。だからあの時打った注射が東郷と春野原にきいてくれるかどうかにかかってくる。
「東郷まずは足はどうだ?痛みはまだ残ってるか?」
「そういえばあまりの緊張差で気付かなかったけれど、今はそれほど痛くないかも。」
「ふぅ……そんな直ぐに効果があるわけはないと思ったけど、僅かに効いてるならまだいいか…鎮痛剤を足に打ったがそれで暫くは痛さが和らげるはずだ。」
「もしかしてあの時の注射って…」
「コレは内密な知ってる知り合いに頼んでわざわざ昨日送って貰ったんだ。まぁ貸し1つ作ってしまったけれど…」
「神楽坂君っていったい何者?ただの蕾先輩との悪な付き合いしてる関係じゃなかったの?」
「そう言う変な評価の仕方はやめてくれないか。俺と蕾先輩はちゃんと付き合ってるんだ。今更だけどその評価は改めてくれ。」
実際は偽りのお付き合いだけど、それを今言うべきではない。
「だけど、微妙に足の感覚が麻痺しているようにも感じる。コレはちょっと…」
「ああだから東郷恐らくお前にならできる走り方を実践してほしい…と言っても本当に何もアドバイスもクソもないんだけどな。」
「どう言う意味?」
「いいか東郷…」
俺は東郷に今の状況で走れる概ねというより自分の感覚で走れとそう伝えた。そうもうここからは東郷自身での足の感覚でしか走れない。そしてそれはこっちにとっても好都合でもあるからだ。
「今まで通りに走れか…」
夏姫は自分の走る立ち位置に立ち武者震いをしながらもちゃんと走れる様に自分に言い聞かせる。
「何あの子?怪我してるの?」
「怪我をしているなら好都合ね。この優勝貰ったわ。」
「あの子何で参加してるのかしら?怪我をしているのに大会に出るって舐めるの大概にしてもらいたいわね。」
「自身が不利に気付かないとでも思っているならとんだ大馬鹿者ねあの子…」
それぞれ走る選手の達の賛否両論が東郷に聞こえるように独り言じゃない様に言いまるで心を揺さぶるかの様にして東郷の心をズタズタにしようと畳みかけるように一直線へとその言葉を発する。
「大丈夫大丈夫…私は勝てるこれまでの事をちゃんと培ってきた事…そして神楽坂君が私に色々と教えてくれた基本の基礎それさえちゃんとしていればこの試合勝てる。」
…………
ピーーーー!
始まりの合図がなりまず一つ目のそれぞれが走るポーズつまりクラウチングスタートの構えをし危機迫ると言う様な危機感のある顔をして目の前のあるゴールに向かって目線を向ける。
…………
それぞれが走る種目は100メートル走…女子陸上平均での秒数は役11秒台と表されている。だがここにいる面子はそんなスペックをも遥かに超える超越者…陸上に詳しくない俺はそれを蕾先輩に聞いた時唖然とした。ここにいる出場者並びに春野原のいる所にいる出場者もおおよその100メートル走ではその平均を上回る足の速度を持っているらしく今の考えられる状況で東郷達は普段の力を出す事が不利というのは明白だ。だが逆に怪我をした事であの2人には本来発揮されない力が覚醒される。俺はそんな事が起こる筈もないと予期していたのにまさかのここでのどんでん返し…予想する順位はギリギリ3位枠に入れればそれでいいと思ってはいたが逆にこれは…
パン!
走る合図の音と共にそれぞれがクラウチングスタートを切り自身の走りやすいフォームで走り抜けていき、その中でも驚愕に早い奴が一気に並んでいた奴らをどんどんと追い返していく。そうそれは俺が望んでいたものとなり東郷は見事2位を獲得する事ができたのだ。




