故郷の街は危ない街?
俺はたまたまナンパしている人達から女の子を助けようとした子に何故かひょんな事で自分が住む家の道案内をしてもらう事になり彼女の言葉通りに俺はアパートの場所まで辿りつく。
「うぉーー!!ここだここ。いやぁ助かりました本当にありがとうございます。」
「…………」
「あ、あれどうかしましたか?」
「ねぇあなた名前は何ていうのかしら?」
「ああそうですねせっかく助けてもらったのに自己紹介しなかったのは失礼でしたね。俺の名前は神楽坂一星今日からそちらの学園船橋高校に通う2年生です。」
「!?どうして私と一緒の学園に通うなんて分かったの!まさかエスパーなの!」
「………えーと、それは何かのぼけか何かですか?久々にこの街に帰ってきたので感覚が分からないと言いますか…」
「もしかしてナンパですか!」
「違います。その制服今度俺が通う高校の制服と同じ生地で作られたやつですよね?もし知らない高校ならわざわざ自分の学園と一緒ですなんて発言はしませんよ。」
「ああ確かにそうね。私ったらうっかりしてたわ。てへ!」
クソ!何かあざとい気はするが可愛いなこの人。
「あの〜因みに何年生ですか?」
「ああごめんなさいねまだ自己紹介がまだだったわね。私の名前は…」
同じ学園に通う事になった事をその女の子に告げると何やら覚悟を決意した感じに一度呼吸を整えてから改めてこちらに面と向かって自己紹介をする。
「私は蕾、蕾琵心。学年は3年生よろしくね。」
「蕾琵心……あ、あれ?何処かで聞いた気が…」
「それじゃあ私はここで、また学園で会いましょう編入生の神楽坂一星君!」
「え!あちょっと!」
彼女はそのままそう言ってこの場から去っていきとても普通の女子とは思えない速さで帰っていく。
「あ、足早!なんつうスピードだ!まるで競技場とかのリレー選手並の速さ………ってあれ?もしかして…」
…………それから暫くして
「やっぱりそうだ!あの先輩短距離走で有名な蕾琵心だ!」
女子短距離50メートル、100メートル走女子の中でもずば抜けて物凄いスピードでタイムランクを更新する高校生。その名もタイム破壊女王と呼ばれている。
「いやネーミングセンスよ!何だよタイム破壊女王って厨二病心くすぐる名前だなおい!」
けど、あんな先輩と先に顔見知りになるなんて世の中狭いのかな?また学園で会えるって言ってるしもしまた会う事があったら何か奢る事できたらいいな。
「まぁ俺みたいな中途半端でダサダサな男の相手なんて向こう側は嫌だと思うけどな。」
でも短距離走か……そういえば美森姉も何か小学校から短距離で早かったって母さんから軽く聞かされていたけど、その時の俺確かもう既に水泳やめてんだよな。
俺はスマホをベットに投げ出し横になって昔の事を思いだす。
もう5年になるのか俺が水泳をやめて5年。
向こうで仲良くしていた女の子がいじめられているのを見て耐えられなかった俺は虐めていた男子にやめろと止めつつ庇ったりしたおかげで、その男子にぼこすか殴られ反撃をしまいと頑なに防御した結果肋の骨に損傷が出た為治るのに全治3ヶ月はかかると言われた。その時はもう試合に向けての万全を施したつもりだったがやむなく試合を放棄し俺はそのおかげで水泳のリハビリすらもやめ今こうして露頭に迷い込んでいる。
「なのに何でかな〜あの時はもう引っ越し続きだったしあの男子や学校の関係者達とも関わりがなかったんだが……どうして親父は俺をこの街でまた水泳関係に携わらせようとしたんだ。」
自分の父親の目的なんて単なる勉学でやり続ける分には何も問題はないからと言われこっちに戻って、まさかの指定編入先を決められ俺はその学園に受かってしまった。まぁ元水泳の金メダル候補の人間だからってかもしれながもう俺は泳げない。いや泳ぎたくないんだ。だからもし水泳を無理矢理やらせるような事があれば俺は断固として水泳の道は進まない。
「な〜んて変な事を考えるのはやめよう。ここでの新しい生活が始まるんだ。まずここで俺がやるべきとする事は明日の学園に俺の幼馴染達がいるかどうかだ!」
そう船橋高校は俺の幼馴染達が通ってる学園なのだ。しかも5人とも何かしらの名跡をあげてその学園では活躍しており俺と会う事は難しいと母さんから聞いていた。
「でもちょっとばかり幼馴染に会いにきてくれてもいいと思うんだけどな。やっぱり12年も離れると少しばかり恥ずかしいのかガチの気まずさで会えずらいのかもしれんな。」
そしてその船橋高校は単なる普通の学校ではなく個人のポテンシャルとされているものを引き上げる高校。つまり一躍有名になる為に選考された学園なのだ。普通のしかも何の取り柄もない人間が通える高校ではない為普通の一般入試で合格するのはまず不可能。それなりの実績や功績を小さい頃から何かしらかじっていたり高評化するようなものがあれば確実に受かる事ができる。いわば利益があるような人間が選ばれるわけだ。
「よくよく考えてみればクソみたいな学園だよな。そんな場所に何で幼馴染達はその学園に行ったのが不思議でならない。」
でも俺もその学園に受かったのだから何も人の事を言えたぎりじゃない。あくまでもそんな不適合者とされる様な学園に何かしら求めてる訳ではないが、一応俺の中では楽しい学園ライフを送るという願望があるのだ。まぁ引っ越しばっかりやらなかった奴らには分からない気持ちかもしれないが、俺にとってはこれはとても重要な事、少なくとも一生と言われる友達関係が続けられるやつと仲良くなりたい。
「それも夢を見過ぎか……」
俺は僅かに重たくなる瞼が閉じかけていき眠たくなるのに我慢が出来ずそのまま微睡の中へと誘うかの如く眠るほんのちょっと疑問にあった事を頭の片隅で浮かびながら眠りに入る。
あ、あれ?そういえば何であの先輩俺が編入生なんて事を知ってたんだ………
………引っ越ししてから一週間が経ちとうとう学園に通う日がやってくる。
キュ!キュ!
「よし!」
俺は学園の制服を着こなしながら靴紐をきつく結びとうとう学園初日どんな結果が待ち望んでいるのかを胸に抱きながら玄関の扉を開ける。すると…
ガチャ!
ドシャン!
「イッターイ!!」
「え、ええ?」
何故か玄関前の扉前にいたと思われる女の子に思いっきり扉をぶつけてしまい物凄く痛そうにオデコを抑える。
「だ、大丈夫ですか!お、お怪我はありませんかって……うちの学園の制服?」
何で見ず知らずの学園の制服を着た子がうちの玄関前に?
「グスン!酷いですよ〜せっかく久しぶりにこの道を通ったのに扉をぶつけてくるなんて、何様なんですかいったい!」
「いや君の方がいったい何様なんだ。ここ俺ん家なんだけど何か御用ですか?」
「は!?そうだったんですね!てっきり空き部屋かとばかり思っていたので誰もいないかとそう思っていましたしなによりもこんなアパートに誰かが引っ越すなんて思ってみませんでしたからね。ふふふふ。」
何を根拠にそんな事を言ってるのか分からないがとにかく今頃物凄く失礼な事を言われた気がする。いや確かに失礼な事を言われた。こんなアパートに住んでいて悪うございましたね。つうかそんなにくたびれてもないからねこのアパート。
「おっと!いけないいけないこんな事してる場合じゃありませんでした。それじゃあまた会いましょう編入生君!」
そういいながら名前も分からない突如現れた制服着た女の子は嵐の様に過ぎ去っていくわけのわからないまま俺はただ呆然と立ちすくんでいた。
「何だったんだあの子。つうかここへ何しに来たんだ。変な子だな………んあれ?」
俺は玄関の扉を閉め鍵を掛けると同時にふと思った事を頭によぎりながら口に出す。
「あの青髪ポニーテールの子何で俺が編入生だって知ってるんだ?」
その疑問を抱いたままそのまま俺も学園に向かって登校する。
ブォォーーーン!
さすがは都会だけのある街だな。中々横断歩道の距離もある。
けど昔と違って何処か違和感があるとしたらこんなに横断歩道の距離感ってあったけって今頃になって不思議に思う。
ピピ!
横断歩道の信号の色が変わり立ち止まっていた人達が歩きだしたの同時に自分も歩き出す。
「あ、やっべ!」
たまたま鞄の中身を確認して財布を持ってきてたかどうか今更鞄の中を探り出した俺はある物をなくす事に気付き先程渡った横断歩道の方に戻り鍵があるかどうかを確認しに戻る。
「あった、あった!危ねぇ学園初日に鍵無くすなんてバカな事さすがに笑えねぇからな。見つかって良かった。………ん?」
鍵を見つけたのと同時に横断歩道を遅くゆっくりと歩くお婆さんを発見しやたらと車で立ち止まっていた人達の様子を伺いたくはなかったが相当キレかかってるのを目の当たりにした俺は胃がもたれるというぐらいなんだか見過ごす事ができず…
「ああ〜もう!これじゃ初日から遅刻しちまうな!全く最悪な1日だ。」
俺はそのまま赤信号に変わりそうになるのを何とかギリギリ間に合いおばあさんと一緒に横断歩道を渡りながらゆっくりと手を上げながら渡り切る事に上手くいく。
「ふぅ〜おばあさん渡り切ったよ。大丈夫?」
「ああすまないね〜おじいさんや、手間をかけてしもうたの〜」
「いや違う違う。俺はあなたのお爺さんじゃないですよ。単なるただの高校生です。」
「はえ?………お、おまえ、だ、誰じゃ!いったい何者なんじゃ!爺さんは何処にいったんじゃ!」
「いや今の今まであなた1人でしたよ?それにゆっくりと横断歩道歩いてたじゃないですか?記憶ありません?」
「おい!今ワシをボケ老人と言ったのか!これでもまだまだ現役じゃぞ!舐めるなよ小僧!」
な、なんだこの婆さんめっちゃ喧嘩腰じゃんか。うわ〜これは俺余計な事しちまったな。……いやいや何を言ってるんだ俺は例えボケている婆さんでも困っていた事には変わらないんだきっとここから優しいお婆さんになってありがとうって言ってくれるはず…
「誰か!誰かワシの爺さんは知らんか!この小僧にワシの爺さんが殺されてしもうた!!」
「やっぱり訂正!誰か助けてくれ!!!俺じゃ手に負えないレベルだコレは!!」
渡り切った横断歩道で騒ぎ立てる一星とボケて物騒な事をいうお婆さんを見ていた人達は何だ何だと言わんばかりの騒ぎが起き関わっていいのかどうか誰も踏み込んでもらえずただの傍観者として様子を見ていたのを更に別側で見ていた女の子が一星の事を気に掛ける。
「あの人……もしかして。」