2人が作った看病料理は風邪を治すのに効果抜群かそれともイマヒトツか
「なるほどじゃあ美森姉と海未は結果を知ってるから、そんな何か躊躇ってる様子が見られるのか……だけどそんな大袈裟な味見だってしてるんだろ?なら何も問題なんて…」
「ないとは言い切れないのよ。その為に海未には念の為のお薬を色々と持ってきてもらったのよ。」
俺病人なんだが腹痛が起きる程のヤバいものがあるというのか?
海未の持ってる物を見たら何か腹痛の薬ばっかなんだが…
「中身を確認してるのに何も言えないというのは単に俺へのサプライズか何かなんだろう。本当はもっと美味しくできていてそれでわざとこんな渋らせる様なお芝居なんかして…」
「はい!そうなんです!コレは自信作なんです。是非先輩にはお腹いっぱい食べて栄養をとってほしいんです。」
「私もだよ。一星君には色々と迷惑をかけたと言う事で私なりの恩返しができたらと思って、栄養満点のうどんを作る事ができたの。本当は小麦粉から作ってちゃんと腰のあるうどんの方がよかったんだけどね。」
その考えは最早職人の立ち位置じゃないだろうか?
そう思って口に出すのは流石に今の状態で突っ込むのはキツイと感じ2人が作ってくれて鍋の蓋を開ける。
ホカホカ〜
ムワムワ〜
「おお〜意外とちゃんとしてるんじゃないのか?」
見た目は何ともないようなうどんの仕上がり…
2つある鍋のうどんには真っ赤なうどんと普通に美味しそうな出汁の効いてる感じのうどん…
どれから先に食べるのかなんて最早わかりきってはいる。
「ひとつだけ何か独特な色をしているのがあるけれど…コレは本当に大丈夫なやつなのか?」
「い、一応はね。ただ問題があるとすれば…」
「あるとすれば?」
「いえその辺に関してはとりあえず伏せさせて頂戴。」
「???」
コレにいったい何を入れたというんだ。
いやまだ分からない見た目等ただの飾りこの赤々しい料理なんて気にしてはいけない…
「ふぅ〜〜よし先に山茶花から作ったうどんを食べさせてくれ。」
「まぁ当然と言えば当然よね。」
「何で私の後回しなんですか!先輩のヘタレ!」
ヘタレってそれはつまりこのうどんに勇気を持って食べろといいたいのか?
それはもう自ら自爆しているようなものじゃないか。
俺は先に山茶花の作ったうどん。
そのうどんから食べようと用意してくれた小さな容器に美森姉が装ってくれてコチラの方へ渡してくる。
「本当にいいのね?」
「何でそんなに念を押すようにしてくるかは謎だが、せっかく作ってくれたんだ。食べなければ作ってくれた相手に失礼だろう。このままいただきます。」
「一星君。」
山茶花が半ば嬉しそうにモジモジとしだし照れだす。
本人の勇気等気に目もせずただ単に自分のことを褒められて嬉しがる。
「はぁ〜あなた熱でもあるんじゃないの?」
「美森様実際に熱がありますよ。」
「うぐ……」
熱がある癖に普段より男色が増した一星に対して前の一星とはちょっと違った雰囲気で褒めてたのを美森は心なしか本当に本人なのかどうか疑ってついアホな発言をしてしまったと後悔する。
「え〜とじゃあいただきます。」
一星は一口うどんを啜りながら食べその後に出汁を飲み込む。
そしてその反応はいかに…
「………」
「ど、どうかな?」
「美味い。」
「え?」
「うん美味しいよ。何だか温かな感じがしてとても食べやすい。ありがとう山茶花。」
「よ、良かった〜ほら美森ちゃん。やっぱり大丈夫って言ったでしょう。私だってやればできるんだよ。」
「そうね。やればできるものねあなたは……」
何だてっきり何かやらかしたものかとばかり心配していたがそうじゃなさそうで安心した。
もしかして美森姉それで不安がってただけなのか?
まぁ確かに弁当の時はさんざんだったからな。
けどコレなら何も問題なさそうだしお腹にも優しいな。
「………まぁまだ何ともないわよね。」
「ん?」
まだ何ともない?いったい何が何ともないんだ?
「先輩次は私のうどんですよ!山茶花先輩のおうどんの美味しさは分かったと思うので、次は私のうどんを食べてください!」
ドン!
「うっ……」
グツグツと煮込む真っ赤で地獄のようなうどん…
コレに関して俺は既に危険信号が出されている。
このうどんは危険だと体はちゃんと正直に拒んでいるのだ。
「あはは、イックン無理にとはいいませんが…一応私も一口食べてみてちゃんとした食べ物であるのは間違いありません。だからそこまで警戒しなくても大丈夫です。……多分。」
「多分って……つまり何かヤバい可能性はあるということか…」
「モノは試しです。とりあえず食べていただければと…」
確かに何事にも挑戦。見た目だけでせっかく作ってくれた香澄のうどんに文句を言うのはあまりにも勝手な言い分だ。
……いやまだ文句は言ってはいないが……
くぅ〜目に染みるな〜
海未は熱々と煮込まれる激辛うどんっぽいのを装って、こちらへと隣に座って何やら食べさせようと、あ〜を仕向けてくる。
まじかよ。半ば嬉しさがあって、半ば嬉しくない気持ちが相反して物凄く微妙なラインで躊躇ってしまうんだが…
「ほらイックン口を開けてくれないとこのままの大勢だと疲れちゃいますよ。」
「いやその…1人でも食べられるんだが…」
「駄目です。さっきはそのまま食べさせてしまいましたが、やっぱり手つきが危うかったです。だから私が食べさせてあげたいのです。」
え?
みんなのえ?という言葉に俺同様本当な手つきがあぶなかったのか…
そんな具体的な部分を見ていなかった3人はそうだったのかなと疑問を浮かべる。
「………海未がそう言うならお言葉に甘えて…」
「はい!どうぞどうぞ!」
あの子策士だわ。
上手い事私達に下手な嘘をついて一星にアピールしたわね。
弱ってるからこその看病…
そんな優しくされたら自分の持ち株が上がってラッキーなんて思って咄嗟にそんな事が言えたのでしょうね。
一星は若干恐れながらもわざわざ装ってくれた真っ赤なうどんを食べさせてもらいそのままゆっくりと啜りながら口の中へと食べていく。
そして…
「………か、からっ!コレかなり辛いぞ!いったい何をいれたんだ。」
「薬味関係での辛さ増し増しの唐辛子。あまりそういったのは良くなかったんですけど…最早コレしか手段がなくて…」
「それなら何か辛さを和らげる何か調味料とか入れてくれれば良かったのに!いや水!水をくれ!」
とても耐えられない辛さに一星は水をくれと誰かに言い傍にいた海未がペットボトルの水を差し出す。
「………ぷはぁ。死ぬかと思った。」
「そうなんです。コレが本当の地獄うどんなんです。」
「病人になんて物を食べさせるんだ。余計に熱が上がったらどうする。」
「いえそれは大丈夫かと思いますよイックン。今イックンの体から物凄くアドレナリンが出てますので…恐らくその辺の心配はないかと思います。」
「は?アドレナリン?……もしかして汗の事か?」
「そうです。本来辛いのが無理そうであれば山茶花ちゃんのシンプルうどんをそのまま食べてもらうことになっていたのですが……香澄が作った激辛うどんコレを食べてもらったと言うことで今回話が変わりました。」
「話が変わったって…どう言う事だ?」
「そのままの意味ですよ。いっぱい汗をかいて熱を引かせるという単純なお話です。現にイックンは今物凄く汗をかいてます。コレはその激辛うどんが証拠になってるはずですよ。」
「ま、まぁ理屈的には確かに汗をいっぱいかけば治るという話しではあるが…けどいくら何でもこの激辛うどんは正直胃に来る。」
「ううっやっぱり駄目でしたか。私的にはいい案だと思ったのですが……やはり風邪を引いたときは激辛ご飯系の方が良かったのでしょうか。」
「いやそう言う問題じゃないのよ香澄ちゃん。あなたは何も分かっていないのね。何故激辛系が病人とってきつい物と称されているのかを…」
「ですが!」
「ああもういいわ。これ以上あなたの激辛好きトークを聞きたくないわよ。」
「………にしても。」
「ん?どうかしたの一星君。」
「いや体質的な問題なのだろうか…やたらと体が熱くなってきているなと思って…やっぱり激辛系は熱を帯びさせるんだな。」
「…………」
「…………」
「それは当然ですよ!何せそのうどんには隠しスパイスだけではなくちゃんと先輩の健康を思ってもう一つ私と山茶花先輩はある物を投入したんですから。」
「へ〜つまり体の熱を引かせるための何かの香辛料的なものか?でもこんなやたらと体が熱くなって……あ、あれ?」
「どうかしましたか?」
「いやその……」
なんだ…何か体が熱くなるだけじゃなくて部分的も熱くなってる気が……気のせいだろうか…どこかしらムラッとする部分が出てくるのを感じる。
「…………」
「もしかして体の部分がどこかおかしくなったりとかしてるんじゃ?」
「え?何でそんなことをって……あ、あれ?」
ヤバ体が熱すぎるせいか何だか頭がクラクラして…
「一星君!」
「先輩!」
倒されそうになる一星をなんとかして抱える山茶花と香澄。
「先輩いったいどうした……わあ!凄い熱ですよ。」
「本当だ。頭がヤカンみたいに熱くなってる。」
いやそれはそれでヤバすぎるだろう。
頭がヤカンみたいに熱くなるって…
最早火で炙られてるのと変わらない認識じゃないか…
でも何でこんな事に…今までこんな妙にクラクラする事なんて…
「もしかして例の物が効いたんじゃ…」
「は!きっとそうですね!それに違いありません。」
れ、例の物?それってさっき何かうどんに入れていた香辛料の事か?でもそんなのでこんな事には…
「マムシや精力剤とか大量に入れたからきっと体の中で純和し始めてるんだと思う。だからコレは明日良くなる傾向だと私は思うの。」
「と言う事は風邪薬よりも効果が出始めたってことだすよね!やりましたね山茶花先輩。」
こ、コイツら……じゃああの妙な色をしているうどん2つは精力剤やら何かを入れた色だったのか!
「ああ〜とうとう言っちゃったわね。せめてそのまま気を失って安らかに明日を迎える事を祈るわ。」
「ああ〜少し苦い味を落とす様にちょっとした調味料とかで誤魔化したつもりだったのですが……やっぱり効果ありませんでしたか。」
だから2人とも何やら不安そうな顔をしていたのか……やばコレ完全にヤバいやつだ。だんだんと朦朧して……意識が…




