脱テスト対策 その七
あ〜そうか。確かコイツらにはもうバレてしまってるのか俺が不可解な点をとっている事に…
「そう言えば神楽坂君って、全ての教科を五点ずつ繰り上げてとってるんだよね。それも赤点は必ず回避するやり方でとっている。川兎ちゃんから聞いた話によると必ず50点という数字から上手く5点ずつ上がってるね?って言われて、私は察したんだ。こんなピンポイントで取れるテストのやり方はおかしいって……君は本当に水泳を辞めて何も目的もなくあの学園に入ったのかい?僕からしたらとてもじゃないけどそう言う風には…」
「全ての教科がオール100点。東小橋川さんだってあまり人の事言えないんじゃないのか?ゲーム形式が得意と言ってしまっても天才である人間が全て高得点が取れるなんてマネ早々やれるものじゃないぞ。」
「……へ〜どうやってそんな話し聞いたのかな?私が全ての教科の点数が何点取れたのかはシークレットになってるはずなんだけどな。」
「ああだから聞いたんだよ山茶花にな。」
「山茶花ちゃん〜〜」
「えへへ〜」
「山茶花あなた褒められてるわけじゃないのよ。」
「幼馴染に隠し事なんてもう無理だと言う事は重々承知だろうに…お前達の復讐を暴いたの誰だと思ってるんだ!」
「それを誰が協力してあげたと言うのも誰だと思ってるんだ?」
「………」
「………」
「さて、それじゃあそろそろお得意の教科が全員ハッキリしたというわけで…」
「いやいやちょっとちょっと!」
無理矢理話を切らせようとした瞬間東小橋川さんが勢いついたツッコミを入れてくる。
「何だもう話は終わったんだしそろそろ始めようと思ってるんだが…」
「ちょいちょい!そんな簡単に話を終わらせる問題じゃなくない!今ものすごく重大な話をしてたよね!ね!」
しつこくコチラへ前のめりする東小橋川さん。たまにこうあったイラッとする行為をしてくるので正直めんどくさい。
「重大かな?いやそうでも無い気がする。」
「んだよ!今美森さんが物凄く気になる事言ってたじゃん!それでそのままスルーってどんだけ自己中なんだよ!もっと構えよ!」
「うわ〜これ林音ちゃんがめんどくさく絡む時の性格だね。」
「そうね〜そうなるとどっちかが折れるまで続行戦になるとは思うのだけど…まぁ神楽坂君なら多分直ぐに折れさせるでしょうね。」
「美森姉は単にカマをかけて俺にあんな事を言っただけだよ。それにここにいる幼馴染達は全員知ってる事だろうに…」
まぁ何のカマなのかは知らんが正直どうでもいい…
「あ、因みに何が得意かと言われれば特にないな。お前と違って…」
「ちょっと!教科分野で揚げ足取らないでもらえませんか!普通に絡みづらくなるんだけど!」
「じゃあほとんどお前が教えればそれでいいんじゃねぇの?変な質問等答える時間は今ないと思うけどな。」
「くっ!変に言いくるめられた気がするけど……もういいよ!分かったよ!せっかく久しぶりの質問応答バトルができると思ってたのに…」
「そんな時間あるか。それじゃあ早速…」
ガチャ!
「あの〜皆さん晩御飯ができたので、下に降りてきて欲しいとお母さんが…」
「ナイスタイミングだよ!香澄。ほら皆んな下へ降りて一緒にご飯たべよ!私もうお腹ぺこぺこだよ〜」
「もう海未ったらはしたないよ。女の子なんだからそこはもうちょっとお淑やかにしないと…」
「でも海未ちゃんらしくていいんじゃないかな。何だか昔の海未ちゃんの素のままが見れてるから少し安心する部分もあって私は変わってないなって思えて落ち着けるのがあっていいや。」
それは単に人見知り部分が……ああいややっぱりやめとこ妙な考えをすればまた変なしがらみができそうだ。
ひとまず食事の時間が来てしまったので、そのまま下に降りて夕食をご馳走してもらう事となり、この日は結局幼馴染達4人で海未の勉強範囲を知る為の実力テストを行い結果は明日になるまでどうなるか俺は分からずまま家へ帰宅する。
「さすがにお泊まりまではいかんだろうしな。女子がいる中で男子1人はさすがにいたたまれる。」
でも久々に美味しかったな海未のお母さんの料理。またいつでも食べに来てねと言われたらさすがの俺でも断れないしな。さぁ帰って風呂入って寝るか。
………翌日
「………」
な、何だ朝から体が重い。まさかこんな時に風邪か?いやでも風邪のだるみじゃないんだよな。眠たすぎる怠さなのか?……いやそれも何か違う何かに体が縛られてるそんな感覚が…
「ってお前かい!」
「むにゃむにゃ。」
何故かロフトの上で寝ていた俺の布団の中に海未が潜り込んで俺の体をがんじがらめのようにして抱きつく姿がめにうつり何やってんだと体を引き剥がそうとしたいのだが…
「やばい完全にロックされてやがる。全然腕と足が動かん。」
いややろうと思えば無理矢理にでも引き剥がせるが…朝っぱらから無駄な体力を消耗したくない。
「はぁ〜起きるまで待つしかないのか…」
「う、う〜ん……」
あ何か起きそう。………ん?ちょっと待てこの距離で目が醒めてしまったら大変なことにならないか?
「ふわぁ〜〜むにゃむにゃ………」
「よ、よう。おはよう。」
「おはよう。あれ?何でイックンがここに………ええ!何で目の前にいるのですか!」
「それはコッチのセリフだ。何でお前が俺の布団の中に眠ってるんだ。玄関の鍵は閉めていたはずだぞ。」
「あ、窓から入らせていただきました。」
「それ不法侵入じゃね?てかこのロックされてる状態何とかしてくれないか?いい加減色々とヤバいのが来たりするんで…」
「ふぁ!ごめんなさい。私ぬいぐるみがないと眠れないのでついいつもの癖で…」
「いつもの癖でロックなんかされてたまるか。後ぬいぐるみの柔らかさではないだろう俺は…」
「…………えへへ〜」
「なんだその浮かび笑いは…いったい何を思いだして笑ってるんだ。」
いや今はそんな事どうでもいいとりあえず先に行かないといけない場所が…
ピンポン!
「ああ?誰だこんな朝早くに…」
チャイムの音が鳴りそのまま玄関の方まで向かい扉を開ける。
「おはよう一星。」
「ああ美森姉……だけじゃなくて山茶花達もいたのか…どうしたんだこんな朝早くに…」
「朝早くにって…あなた今何時だと思ってるの?」
「え?今ってまだ朝の7時じゃないのか?アラームでそう設定していたはず……いや待てよ。そういえばアラーム音がしなかった気が…」
「もう朝の8時よ。急がないと遅刻するわよ。」
「はぁ!朝の8時だと!何で……あっまさか…おい海未。」
バタン!
「バタン?……いや待て今の扉が閉まる音まさか…」
扉の閉まる音。その音に嫌な予感がした俺は真っ先に洗面台へと向かう。
「しまった!」
「何トイレの前でベターなダジャレいってるのよ。」
「違う!海未にトイレを占領されたんだよ!」
「海未?ああ〜あの子朝からいないと思ったら一星の家に来てたのね。全く朝からいなくてメッセージやら電話をしても出てくれないから心配したけれど、まぁここにいたのなら問題なかったわね。」
おおいにあるっつうの。ずっとトイレを我慢しているんだぞ。それが女子が先に入ったとなると早く出したいという欲求がよりますじゃないか。
「おい海未早く出てくれ!俺我慢の限界なんだ。」
「す、すみませんがもう少し待ってくれますか。私もついさっき体がブルブルとしましたので。」
「言い方が犬の感覚で話すのねあの子。もう少し慎みを持ってほしいのだけど…」
…5分後
じゃ〜〜!
「よ、よし次は俺の番。」
「…………」
ガチャ!
トイレの扉が開かれ真っ先にトイレへ直行しようと海未が出てくる間合いを遮ろうとした瞬間後ろから思いっきり引っ張られる感覚があり俺はそれに引き寄せられる。
「な!?何で!」
「何でじゃないわよ。あなたね女の子が使ったトイレの後に入るって正気の沙汰じゃないわよ。そもそもトイレの前で立ってると言う事も非常識ではあるんだけどね。」
「え!イックントイレの前にずっといたの!」
「な、なんだトイレの前にいちゃいけない理由でもあるのか?」
「そう言うわけじゃないんだけど……ないんだけど…」
「なんなんだ言いたいことがあるならハッキリいえよ。」
「はぁ〜デリカシーのカケラもないのね。」
「そうだよ!女の子に何言わせるの!」
「……全く意味が分からん。俺の部屋で俺のトイレで何故文句言われないといけないのか理解できない。」
「もうとりあえずここでのトイレは禁止します。続きは学校でしなさい。」
「いやいや漏れそうなんだって!起きてからずっと我慢してたんだ。さすがにもう限界…」
そのまま堪えきれずにトイレのドアノブに手をかけようとしたのだが…
「だめー!!絶対に中には入らせませんからね!」
「何の権限で俺が入っちゃいけない事になってるんだ!そこを説明しろ。いや説明なんか後でもいいと言うよりどうでもい…早いとこトイレに入らせ…」
「で、でしたら後10分は待ってください!」
「む、無理ださすがにそこまでは待てん。」
「どうしてですか!お願いしますから後生ですから!後5分いえ4分でも構いません!」
「す、すまん…そんなのに時間を割く余裕は俺にはない。」
「そ、それなら!妥協として4分50秒いえ4分40秒待ってくれれば!」
「もうそれただのカウントダウンだから!」
「あなた達そもそもそんな待てる余裕ないわよ。というか本当に早くしないと遅刻確定するわよ。」
「そ、そうでした!イックン早くお着替えしましょう手伝います!」
「その前にトイレいかせろう!!!!」




