脱テスト対策 その六
ビューーン!
プププププ!
「う〜ん!やっぱり空は気持ちいいですね。このまま美森様達が諦めてくれればいいのですが……いえそもそもこのまま上空で待機していれば問題ないんじゃ…」
家に帰る頃には恐らく皆さん諦めてくれていると思いますし…よしそれならば大体夜の8時ぐらいまでは何処かで暇を潰しましょう。
「はぁ〜イックンがいたらもっと楽しい空でのデートだったのにな〜」
そういいながら海未は夜の8時になるまで家には帰らず空を飛びながら時間を潰す。
………夜の8時・海未の家
「ふぅ〜ただいまです!」
「こら海未!あなたまたリフレクションシューズを履いて帰ってきたわね。危ないからやめなさいっていってるのに…」
「ごめんなさい。でもどうしてもリフレクションシューズを履いて帰ってこないといけない理由ができちゃったからお母さん許して!」
「許すも何も…あなたたまにそうやって帰ってくるから叱っても叱っても同じだというのをちゃんと反省してほしいのだけれど…」
「もう分かった分かったから。あ、お腹空いたんだけどごはんまだ?」
「もう普通はちゃんと反省をした態度を示すでしょうに…」
「だから謝ってるって言ってるのに…あ、香澄ご飯できたら呼びに来てね。私ちょっとやる事があるからって聞いてる香澄?」
「え!?あ、う、うん。わ、分かった。」
「じゃあ頼んだよ。」
「あ!海未!」
タタタ!
海未はそのまま有無を言わさず颯爽と自分の部屋と上がっていく。
何か香澄元気なかったな。凹んでるというか何か気にしてて俯いていたというか…後何かやたらとテーブルに置いてあるたくさんのおかず……今日何かのお祝いとかあったかな?まぁ後で香澄に聞けばいいか…
ガチャ!
そんな事を考えている間に部屋へたどり着いた香澄。部屋の電気をつけ部屋の明るさと同時に唐突に硬直してしまう海未。
ボトン…
「へ?何で…」
海未は部屋の電気の明るさでその場に何人かが座っているのに驚きつい鞄を下に落としてしまい動揺する。
「やっほ〜」
「もう遅いよ。」
「み〜うちゃんさすがに浅はかだったね。」
「ふぅ〜無事に帰ってきてくれて良かったわ。」
「よ!」
「どうして皆さんが私の部屋にいるのですか!」
そう何故か海未の部屋に集まる幼馴染集団。その事に驚く海未はどう言う事なのかさっぱり分からずにいた。
「え〜ちゃんと言ったじゃないの。今日は勉強会を兼ねてのお泊まり会だって…」
「お泊まり会って…そんな部屋がでかい場所じゃないと……は!?」
「その通り〜あなたのお部屋地味に広いじゃない。だからここで勉強会をしようって皆んなで決めたのよ。それにちょうどいいでしょう。あなたの為でもある勉強会だものね。」
「ぬぬぬ!まさか!」
ダダダダダダ!
「香澄!」
ビク!
「ど、どうしたのお姉ちゃん…」
香澄は何処かバツが悪そうにしながら視線を逸らし誤魔化す。
「やっぱりその反応…イックン達がウチに来てることをサプライズしてたんだね!」
「サプライズというより…」
「あら私からお願いしたのよ。こんなにたくさんのお友達が泊まりにきてくれたんだものきっと驚かせてあげたら海未喜ぶだろうな〜と思って…」
「お母さんが元凶だったの!というよりその大量に作ってあるご飯ってまさか…」
「ええ!せっかくだしパーティーみたいな形で私張り切って作っちゃったのよ。ちょっと多すぎたかしら…でも男の子もいるんだし大丈夫よね。」
「………大丈夫じゃないよ!」
「お姉ちゃん…」
「何?」
「頑張って!」
「裏切り者!!!」
唐突な家族の裏切りにあいせっかくの作戦が無駄になってしまう海未。晩御飯ができるまでの間結局海未は自分の部屋で幼馴染と一緒にテスト勉強をする事となってしまった。
「う〜〜せっかく晩御飯までには回避できると思ったのに…どうして皆さんが私の家で待ち合わせなんかを…部屋が広いならまだイックンの家の方がいいと思うのですが…」
「まぁそうね。一星の家ならば何の気兼ねなく勉強できるし遠慮なんてしなくてもいいのは確かだけど…」
少しは遠慮してほしいな。家が近いからとか、単に気兼ねない友達なのは分かるんだが…美森姉はそれさえも関係なく凌駕してしまいそうだしな。
「はい!イックンの家ならば何の問題もなく勉強できます!私の美貌で妙な気分になるイックンでなら何の問題なくいけます!」
チラッ
「おい待て海未の言葉をそのまま間に受けるな!俺が何で海未何かに惑わされるのが確定で訝しまなければならないんだ。それに例え天変地異が起こったとしても海未に手何か出したりしねぇよ。」
「酷い!」
ジトー
「あっ…」
しまったそれはそれで女子としてのプライドが傷つくやつだった。言葉選びは難しいな。いや女子に対してはの話か…
「まぁ一星が海未に色目で惑わされる事は確かにないとし…」
「美森様〜それもそれで酷いですよ。」
俺に対しても酷くないか?色々と……今になってという話ではないんだけどな。
「男の子の家でお泊まり…そんなの私以外の女の子はダメに決まってるでしょう!」
…………
うん皆誰もが思った事だろう。何故美森姉が許されて他の奴はダメなんだと…
「いや美森姉でもだめだからな。」
「え〜そんな事言っていいのかしら?」
「何でだよ。」
「一星私の事最近意識し出してるいるわよね?」
「自意識過剰だろう。」
うんうん!
周りの幼馴染達も酷く俺に同意してくれる。
「あ、あなた達ね〜」
それを美森姉は声を震えながら怒りを抑える。
「けど私にトキメキかないって事はないでしょう。ほらこうやってちょっと密着するだけでも…」
「ちょ!美森さん!」
「わわ〜美森ちゃん大胆!」
「ダメ!!!」
「………」
美森姉がコチラへ近づいて腕を組んで何故かトキメキさせようとするが……なんだろうトキメキどころか恐怖を感じる。それを見ている幼馴染達は必死で美森姉の事を引き剥がさそうとするが……美森姉の圧の方が勝り分かってるわよね?みたいなオーラを放ちそのままそそくさと引き下がる。
「あの美森姉。」
「あらあら〜もしかしてエッチな気持ちになっちゃったとか?もう一星ったらやらしいんだから〜」
「いや怖いから離れてほしいんだが…」
「な!?」
プフ!
怖いという俺の発言で幼馴染達は笑い吹き込み口元を抑えながら必死に堪える。
「な!どう言う意味よそれ!」
「いや何というか…昔の美森姉に慣れているからなのかその反発でドギマギしないというか…いやしないわけじゃないんだが…多分このドギマギは……恐怖なのかなって…」
「………ちょっとそこ!更に笑いが込み上げるのを我慢しない!失礼でしょう!」
「そ、そうだよね。ごめんね美森ちゃん。でも全てが嘘って事じゃないと思うよ。一星君だって男の子だもんやっぱり女の子に触れられて嬉しいわけじゃないんじゃないかな。半分嘘だったとしてもね。」
「おい山茶花妙な指摘はやめろ。お前はカウセリングの医者か。」
「ふふ、幼馴染のそれも仲の良い私達のことならそのカウセリングは間違ってないと思うな。」
指先をちょこんと口元まで寄せ何の変哲もなく得意げに笑う。俺は寧ろそっちの健気さの仕草にドキッとしてしまう。
「何か話が脱線しちゃってるね。み〜うちゃんの勉強会はいいの?恋愛修羅場騒動なら全然何時間でも話せるよ。」
恋愛脳目そうやってまた周りを引っ掻きまわすつもりか…もうその手には食わさせてやらんぞ。
「とりあえず皆んなそろそろ本題の話に移ろう。今週過ぎればもうテストだ。それで今日徹夜というわけではないが海未の実力をもう一度確かめる形で締めようと思う。流石にもうこの暗さだし、誰かさんが逃げ回らなければもっと効率のいい勉強ができたんだがな。」
「ひゅ〜ひゅ〜」
「海未ちゃん口笛吹けてないよ。」
口笛を無理矢理吹かそうとする海未をそっちのけにして俺は話を進める。
「それで45分5教科をひとまず海未に実力テストをしてもらって何処か苦手なのか各々得意とする分野で海未を手伝えられればと俺は思っているんだが…どうだ?」
「うん私はそれでいいよ。けどみんながそれぞれ得意とする教科って何かな?私は料理分野が好きだから家庭科なんだけど…」
「山茶花今回の期末に家庭科は入ってないぞ。後5教科の分野だって言ってるだろう。」
「だったら私英語が得意かも。」
「私は国語かな。」
「私は理科ね。」
へ〜何か宇佐木田さんと美森姉の得意とする分野につい唖然とさてしまった。いやでも宇佐木田さん声優やってるからそりゃあ国語が得意か……だったら何であそこまで人間関係に頓着なんだ。……まぁそれとコレとは別だろうとは思うが…後は美森姉の方ではまさかの理科…これまた驚いた…てっきり山茶花と同じ英語かと思ったんだが……理科……理科、理科ね〜
「な〜に一星その顔は何か私には分不相応って言いたげな顔をしているけれど。」
「おおさすがは美森姉。その通りとても美森姉が理系が得意とは思ってもみなかったんで驚いたんだ。まさか将来怪しい薬を作るとか考えてるんじゃ…」
「ばか。そんなわけないでしょう。私にはちょっと夢があるのよ。それで理系にはそれなりに得意というだけの話よ。」
「ふ〜ん夢ね。」
夢か…将来陸上選手というのが夢なのに理系関係に足を運ばせるとは…まぁ猫被ってるからたまたまそう言う分野が得意だけだとは思うが…
「それよりアンタはどうなのよ。全ての教科に対して奇妙な点数を取ったあなたはいったい何が得意なのよ。」




