脱テスト対策
あれから2週間が経ち7月へと入っていく。入院していた事もあって勉強の遅れがあるのだが俺にはそんなの関係なかった。しかし入院していた分俺は別枠で補講となり仮補修を受ける事となる。
「はぁ〜何でこう怪我した人間が補修を受けなきゃいけないんだ。」
俺はため息をつきながら窓際の方へ座って補修を受けながら先生の補修授業を受ける。しかしそんな内容等既に頭の中で叩き込まれていた俺にはほとんど雑学程度にしか思わずそのままスルーして聞き流す。
「………もう2週間か…」
あの後何事となく過ぎていった2週間。行方不明になったあの2人は未だにまだ見つかってはおらず、やはり学園内ではまだ長い低学処分という形で認識する事になっている。
「しかし何で先生側はそれをまだ不問にしたままなんだ。あからさまに怪しまれていくのは決まってるのにそのままにしておくのはデメリットなはずだ。それに…」
君津家茉莉奈。あの子が登校し始めてまわりからの冷たい視線もあってとてもじゃないが耐えがたい形となっていた。しかしそれをまるで庇い立てる様に香澄ちゃんがフォローする。まぁそれで全てが済むならいい事なんだが……実質それは逆効果となってしまった。周りでは香澄ちゃんがまたいいなりなっててそれを側から茉莉奈が笑ってるんじゃないかと妙な噂が流れだす。……この事に関して俺は甘い考えだったんだなと自分を責め立てた。いや学んだというべきか…人と人との接点はあまりにも難しい…俺の近くには幼馴染しかいなかったがそれとは別であまり親しみ慣れてない者達が絡むとこうも拗れてしまう成り立ちをえてしまうとは…
「……まぁもう遅かったというのが事実なんだよな。」
そう茉莉奈が香澄ちゃんを蔑ろにしていた態度。もうそれが完全に手遅れとなってしまった事による結果。その誤解を解こうと香澄ちゃんや東小橋川さんが協力を仰いでくれたが…その辺に関しての定着が激しく中々とれるのに骨が折れる。勿論生徒会メンバーも協力を仰いでくれたが…
「ごめんなさい神楽坂君。私達ではその辺に関してあまり力になれないかも…一応やれるところまではやるつもりだけど…」
「いやお前達にお願いしてもどうにかなるという考えはこちら側としての浅はかな考えだ。それにこの考えは…」
「香澄ちゃんでしょ?」
鳴神木葉が第一声に発してこちらの意図を理解してくれて話す。
「あああの子が周りの誤解があるからそれを解こうと言い出したな。それで協力してくれる人間を頼んでお願いしていったわけなんだが…」
「ふぅ〜まぁ別に駄目だとはいいません。しかしそれには尾鰭とハヒレがありますので…上手くいかない可能性があると思います。」
まぁそうだよな。普通に考えたら他人がどうこうといけるならそれはもうただの洗脳だ。
「でもそれでも頑張ってみる。せっかくあの子達の溝がなくなったんだしコレから良い学園生活を送ってもらいたいしね。」
「ふ、副会長が!まともな事を!」
「木葉ちゃん〜〜後でゆっくりとお話ししまょうか?」
「ひ!」
事実……コホン!本当の事を言われて腹がたったのか宇佐木田さんは怖い顔をしながら鳴上を追いかけ回す。
「………まぁコレは完全に時間の問題だな。」
「神楽坂一星さん。。」
「………」
「神楽坂一星さん!」
「…はい!」
しまった思いっきりボケっとしていた。まさか先生がいつの間にかコチラにいたとは…
「ぐ〜すぴ〜ぐ〜」
クソ!さっき先生に言われたら声をかけてくれたと言ったのに海未のやつ思いっきり爆睡しやがって…
何故ここに海未がいるのかと言うとどうやらコイツも補修組の1人らしい…学年が違うのに教室で学年違いの補修なんて無理があると思ったのだが…どうやらこの補修は一年の内容を含んだ復讐らしく一年同様より学びやすい形で勉強できる事となっている。最初はそんな馬鹿げた事無理だろうお思っていたのだが…案外わかりやすく説明されていの内容だった為改めてこの学園の凄さを知ったのだが…
「ス〜ス〜ス〜」
自分が補修の中の1人だと言うのに気付いていないのか、普通に授業放棄しているかの様にして安眠している。
「全く…お隣の方である葉月さんも困ったものです。この子はひとまず後にして、神楽坂さん。さっき私が出した問い答えられますか?」
「………」
俺は先生に言われ目の前のある黒板で板書されている内容を確認する。
「どうやら無理らしいですね。全く何の為の補修授業なのか…あなたはまた後で居残り補修を…」
「it's for me not for you…… それはあなたの為ではなく私の為であるのですが答えです。あってますよね?」
「……せ、正解です。」
黒板で書き出されていた内容は2年の範囲で出てくる文法の一種。何の為にどうやったらいいのかという英文法を用いての内容で書かれておりその中での答えの文法が書き記されているもので板書されていた。
「………で、では続きをします。またよそ見をして聞き流さない様にいいですね!」
「はい。すみません。」
「あなたも!いつまで寝ているのですか!次に落第点を取れば留年になるのですよ!少しは危機感を持ちなさい!」
「ふぇ?」
「ふぇ?じゃありません!葉月蒼さん!」
先生にこっぴどく叱られる海未。まぁ単に眠っていては怒られてしまうわな。そしてチラチラコチラを伺う先生の様子…何か申し訳ないというか逆に恥をかかせてしまって申し訳ない……
「……… Who are you doing it for か…」
まさに今それを自分に問いてる感じだな。耳が痛い…いや目が痛いかなこの場合…
先生が書いた文章を俺は頭の中でそれを再生しながら自分にその言葉を投げかけるかの様にぶつけた。別に定着させたいわけじゃなかったのだが本当にそのままの意味で自分に問いてるかの様な感じがあったので…どうでもいい事なのに頭の中でこびりついて中々離れそうにない。
英語の文書の意味
それはいったい誰の為にやってるのですか?
その言葉の意味を一星はより頭を悩ませる。
…………補修授業終了。
「ん〜〜〜終わった終わった。コレで後は試験を上手く突破すれば問題ないな。」
「う〜〜私全然頭に入ってきてません。どうしましょう。」
「お前本当に勉強が苦手だったんだな。てかよくこの学園に入れたなって……ああ天才特権か。」
「その通りなのです!私にとって勉強は縦塞がる要塞。しかし私にはどうあっても超えられないんです。だから天才でも超えられない壁があるのはとてもとても非常に仕方がない事なんですよ。」
「現実逃避してないで、ちゃんと勉強はしとけよ。もうテストまで猶予がないんだ。対策無しでやるのは普通の人間には耐えがたい事だぞってうお!」
「そ、そんな殺生な!お願いします!どうかどうか!私にお慈悲を!!」
いきなり足元にしがみ付く海未。自分で頑張る意志はないのか…というか女子としての尊厳を失ってるぞお前。
「はぁ〜なら家で勉強会だな。お前1人なら問題なさそうだし大丈夫だろう。」
「本当ですか!イックン!いやイックン様!感謝感激ヤリあられです!」
「ヤリを降らせてどうすんだ!雨だろ!雨…ちょくちょくそのことわざを間違えるのはいったいなんなんだ。わざとにしか思えないぞ。」
「へへ〜私勉強一般全てが苦手なんで…」
「まぁそれは見たら分かる。」
「………あれ?今私貶されましたか?」
「気のせい気のせい…そんじゃあ明日俺の家に集合な。時間はお昼ぐらいでいいだろう。」
「了解です!ちゃんとオシャレしていきますね!」
「勉強会だっていったんだろう…遊ぶわけじゃないんだぞ。」
海未からのブーイングコールを聞きつつとりあえずはコレからの試験対策という事で諸々の事は後回しにする事に決めた俺は後々頭を抱える悩みが発生してしまうというのをこの時の俺はまだ気付かないでいた。
………テストが始まるまで残り1週間。今日家で急遽勉強会を開く事になり海未を家に招いて勉強をする事になったのだが…
「……おいまじかよ。」
「えへへ〜」
「ほぼテスト範囲が分からないって今まで授業の何を聞きてたんだ。」
「私その勉強よりも体を動かす方が好きみたいで。やろうとしたら咄嗟に空へ飛んで練習していました。次の大会に向けて…」
「お前は空飛ぶスーパー何とかか…いやそもそも昔のお前はそんな事言わなかっただろうに…」
「むむ!昔の私と比べるのはとても心外です!中身だけでなく外見だって変わったんですよ。」
「そうだな〜ならテスト範囲ぐらいはちゃんと把握しないといけないな。ほらここ間違ってるここの問いはそうじゃなくちゃんとした公式を使わないととけないぞ。」
「ふぇ〜イックンに無理矢理あしらわれた〜後どういう形でこの問題を解けばいいのかも分からない〜」
「全く…コレじゃあテストまで危ういな。どうにかして赤点回避をしないとまずいな。とは言っても俺も自分のテストの方もあるからあまり見てやる事はできないしどうしたものか…」
「大丈夫です!やる気さえあればどうとでもできます!」
「今やる気のないお前が言っても全く心に響かないなそのセリフは…それよりもまたここ途中での計算式が間違ってる。コレだとまた途中で計算がミスる事になるぞ。」
「ぷしゅ〜〜」
駄目だこりゃあ完全に理解していませんという顔のショートダウンになってるな。もっと強く言わないとダメかもしれん。
「はぁ〜海未お前本当にこのままだと留年……」
やばい何か急に意識し始めてしまった。
咄嗟に目に映る海未の私服。夏間近だという事があって彼女のさらけだす足と肩が目に入り短パンと肩まで見える白いTシャツに海未では絶対に起こらないドキドキ感があらわれてしまった。




