先生からのお見舞い
あれから1週間が経ち幼馴染達は稀に病院に来てくれて俺の体調面やお世話等をしてくれた。(たまに海未が言った事によるプロポーズがどうのこうのと言われたりしたが、とりあえずそこは上手くあしらいながら誤魔化す)こっちは別にいいと言ってるのにやたらと世話をやきたがる幼馴染。あの時…偽名で俺との対話をしていたのが嘘の様にやたらと優しくしてくれるのが何故だかちょっと不本意とそう思ってしまった。
「うむ…まぁぼちぼち日常生活面ではだいぶ体力も戻ってきたし問題はなさそうだね。だけどまだちゃんと身体のバランスが不安定な部分があるしもう少しリハビリは続けていきなさい。」
「わかりました。」
「まぁそれでもちゃんとリハビリが終わったからと言ってちゃんと退院できるわではないがね。残り1週間はちゃんとここで治療を専念して様子を伺う。いいね。」
「はいご心配をおかけして申し訳ありません。」
「いやそこに関しては何も心配してはいない…何せ天才というポテンシャルを持った人間はどうにも身体が化け物並に直ぐに回復してあたかも何もなかったかの様にここを去る。私てきにはこんな事例は絶対に有り得ないと思っているよ。」
「………先生はやっぱり天才がこんな風に大怪我をして入院するのは納得ができませんか?」
「ん?ああ君からしたら私の言い方は少し棘があったかな。いやそうじゃないんだ。別に君や天才だと言われる子達に関して何も卑下しているわけじゃない……単に不可解だなとそう思っているんだよ。」
「けど天才がそこらじゅうにわんさかいるわけじゃありませんよね?俺の通ってる学園では5人の女の子が天才しかいませんよ。」
「それは事実上での話しだろ?」
「え?」
「なんだ君天才と言われて集められてる学園の学生なのに知らないのかね?君の学園はあくまでもそういった事実上では5人?かな…表上ではそう表されているだけだ。けど実際にはまだ表立てにはなってない天才の子がいる。それも学年上の子が多いんじゃないのかね?まぁその5人がその天才とも呼べる子達よりも存在地位がデカければ普通の天才なんて見向きもされやしないと思うがね。」
「…………」
「まぁ君がコレをどう捉えるかは自由だ。ただの戯言だとそう思ってくれてもいいし…単なる年寄りの世迷言だと思ってもいい…もしくは聞かなかった事でも構わない…君がコレからの人生その学園にどう汲み取っていくのか…ちゃんと見定めてもらうよ元天才水泳君。」
「失礼します。」
もうその場での話をしたくなかった俺は早々に診断場から出ようと扉に手をかける。
「あ!ちょっと待ってくれないか…君にちょっとした違和感があって聞きたい事があったんだ。」
「……なんですか?体調面のことなら先生が1番よく…」
「いやそこじゃない…私が聞きたいのは君が起こした事故の話しだ。」
「事故?」
「ああ…君達が行われたparadise Sky。その会場ではいや性格には君が履いてるシューズ…ちゃんと起動はしていた。だけど君は葉月さん達を助けようと何とかして救いだそうとした。この事に関して君から何か訂正する部分はあるかね?」
何の話だ?それで事故が起こったのは間違いないんだ。今更そんな話をぶり返されて何か意味があるってのか?
「いえ特にありませんが…それが何か?」
「そうか……だとするならコレは色々と事件になってくる可能性があるな。」
「事件……それって…」
「ああいや何でもないコチラの話だ。無駄な時間をとらせて悪かったね。もう自分の病室に戻ってもいいよ。ゆっくり体を休めてくれたまえ…」
「は、はぁ〜」
なんか意味がある感じで話されたが…先生はそれをどうやら話す気がないみたいと感じとり俺はまぁいいかとその場を去っていき病室へと戻ってベットへ転がり先生が言われた事を脳裏に浮かぶ。
「…………なるほどな。確かに妙な話だ…コレまでの事を思い浮かべてみたけど…よくよく考えたらおかしな事故だったんだなあれは…でもそれをいったい誰に話せばいいのやら…」
コンコン!
「あ、はい!」
ガラガラ…
「すまない失礼するぞ。」
「小萌志先生。どうしたんですか?」
「どうしたも何も生徒が大怪我をしたんだ。それを様子見にくるのが当たり前じゃないのか?」
「……まぁ確かにそうですね。けどそれなら担任が普通来ると思うんですが?」
「はは、確かにそうだな。けど残念だがお前の担任は来られない理由ができてしまってな。代わりに私が代理として見舞いに来る事になった。」
代わりに?なんでそれが小萌志先生なんだ?
「はぁ……そうですか。」
「なんだ?その妙にどうでも良さそうな顔は…お前の為にわざわざプリンまで買ってお見舞いにきたんだぞ。普通そこは喜ぶ所じゃないのか?」
「喜ぶところね〜………じゃあ言わせてもらいますが、そのお見舞いになんで1週間も先生が様子見に来られないんですか?俺が目が覚めたというのはもう病院の先生から伝わっていますよね?なのに今更1週間後にくるって…どう考えても学園の先生が後回しにする問題としておかしいと思いますよ。俺が言うのもあれですけどね。」
「ふっ中々勘が鋭いというか何というか…まぁコチラも色々と事後処理があってだな。それで見舞いに来るのが遅くなってしまった。その事について私から代表としてお前に謝ろう。」
「……まぁそれは構いませんが……で?単にお見舞いに来ただけなんですか?」
「ああ単純に見舞いきただけだが?」
「………見舞いに来たにしては廊下で見張りをしている人達はいったいどう言う意味で配置されているんですか?」
「おいおいおかしな事を言うな。なんでお見舞いに来ただけなのにそんなボディーガード的なものを配置しないといけないんだ。」
「………先生もしかして見張られてますか?」
「………本当に勘がいいなお前。ああちょっとした訳ありで今私達は2学期が始まるまで観察対象として見張られる事になった。主に学園の外での勤務時間での限定だけだがな。」
「どう言う事ですか?いったい何があったんですか?」
「神楽坂今ここでお前とこうして話しているのには向こうでは理由をつけて面会している事で許可を得てここに来られている。だが実際の理由は他にあるんだ。」
小萌志先生は真面目な顔をし先程より小さな声で俺に話す。
「今回ここでの面会でお前に話す事は2つある。ひとつ目はお前達が起こした事故についてだ。」
「………」
「お前は身を挺してあの姉妹達を助けようと必死になってリフレクションシューズによるダイヤル調整を弄って何とかして助けた。結果的には2人は軽い怪我だけで済まされた。まぁ話し的に言えばお前はアイツらの命の恩人になる。周りからしたらお前はちょっとしたヒーローだな。良かったじゃないか妙な浮気レッテルが剥がれて…」
「つけたのは勝手に噂を広げた奴等ですよね?俺はそれを受託した覚えありませんよ。」
「まぁその話に関してはどうでもいいとして…」
いやアンタから吹っ掛けた話でしょう。勝手に言って勝手に終わらせるなよ。
「私が言いたいのはお前達が起こった事故…あれは…」
「本当の事故じゃないとそう言いたいんですか?」
「!?お前気付いていたのか?」
「いえ今日医者の先生にその事の話しをしていてベットで横になって考えていたんです。先生が言うあの事故は本当にただの事故だったのかと……まぁそうは言ってはいませんが、ニュアンス的な意図で伝えたかったのか…俺が助けたかどうかの確認をしていました。本当はそれだけで確信を得たと言うわけではありませんでしたけど…小萌志先生からその話題を振られた時もしかしたらと思って…今確信へと変わりました。」
「じゃあそれが意図的に仕組まれた事故だというのを?」
「はいそうですね。誰かしら仕組んだ事なんでしょうね。小橋川が設計したparadise Skyそれに上手く仕組ませ企てた犯行のある事件。でもコレをする意図が俺にはさっぱり分からないんです。何でこんな事をしたのかって…」
「さてな…その辺に関しては今はまだ確認中だ。ようやく理事長も帰ってきて学園では落ち着きを取り戻した。そのおかげでやっと小橋川のやつの勢いが止まってくれて助かったがな。」
「はは…まぁアイツの天才的ゲーム思考には周りが踊らされてばかりでしたからね。理事長さんがストッパーとして紐づけているならそれこそ本当に良かったかもです。」
「ああ…まぁお前からしたらこんな話し学生にする方がおかしいとは思うかもしれんが…お前自身あの事故は納得がいかないと思ってこうやって見舞いついでという形で面会へきたんだ。」
「………因みにあの設備された会場はもう取り壊したんですか?」
「ああ…既に小橋が撤去した。だからさっき調べ中とは言ったのはあくまでも現場写真でのおおまかな範囲による考察での話しで事件の推測を行っている。あの会場に仕向けられた範囲でわかる事と言えば…お前達が上手く使わされていた事ぐらいにしか考えはよぎらなかったからな。」
あの事故が俺と海未そして香澄ちゃんを事件として成り立たせる方向へ向かず本当に単なるシューズによる事故を起こさせた奴がいるとすれば……シューズを使った本人が怪しいと言う方向になるんじゃないか?だとすれば…
「先生……俺の推測かもしれませんが、paradise Skyでのお店の人、橘美智子さんという人が怪しいんじゃ…」
「美智子か…」
「え?知り合いなんですか?」
「ちょっとした交友関係があってな…アイツとは中学からの友人だ。」
「あ……その。」
「な〜に気を使う必要はない。何せアイツも勘繰られている状態でな。今はお店が大変な状況となっている。少なくともアイツが開発したリフレクションシューズが欠陥で売り出したとか何とかの言い草をつけられて今はちょっとしたトラブルが起こっている。まぁお前の推察はそう思ってしまっても仕方がない…とりあえずこの件に関しては私達大人に任せておけ…」
はい分かりました。なんて単純な返事で返す事は俺にはできなかった。何故ならあの事故を起こさせさらには2人を助けられる必勝法を教えたのは他でもなく美智子さん本人なんだ。
「………」
コンコン!
「うむどうやら時間みたいだな。悪いが今日はコレで帰らせてもらう。面会と言ってもそう長く話す待遇は今の私達にはもたらせていないからな。疑いは私達教師にも降りかかっている。だから変な行動を起こせばそれはもう警察沙汰だ。」
教師にまで疑いがかかってきてるのか…だとしたら今回の起こった事件はかなり大事だな。
「それじゃあ失礼する。」
「あ!先生まだ何かもう一つ言わないといけない事があったんじゃないんですか?」
小萌志先生は鞄を片手に持ち上げその場を去っていこうとするが、その場で歩みを止めゆっくりコチラへと振り返り俺の質問に答える。
「………恐らくお前にはまだ知らない事だと思うし動揺もする可能性もある。本当ならちゃんとした万全の状態で言いたかったんだが…次は多分ここに来られるという保証がないだろう。だからもうお前に伝えておく…… 君津家妹と一緒にいた小林飛鳥、林道杏奈……この2人が行方不明になった。」
「………は?」




