どうしても許されない勝手な引退の件について三枝姫乃は神楽坂一星に攻め立てる
ひとまず親には色々と説明して帰ってもらい幼馴染達もそのまま家の母親を送っていくと言って一緒に帰っていく。
「はぁ〜とんだ目にあったな。というか東小橋川さんあのままなぁなぁとして帰っていきやがったな。上手く有耶無耶にしてとんずらしやがって…」
俺はそのままベットへグッタリとしながら手を目元に当て頭の中を整理する。
あれは多分間違いなく姫乃本人だろう。わざわざお上品になって親に接触する所…確か小3辺りに親と仲良く接していたのを思いだす。ほぼ本人は無自覚だと思うが家の親は山茶花の次に姫乃を気に入っている。だからよく家の子と一緒になってくれないかしら?とかなんとかほざいてたのを耳にして俺はそれを聞かないフリをしていた。
「本当今思えば何であそこまで姫乃に好かれていたのか俺には分からない。でも姫乃は俺の事を恨んでるとばかり思っていたんだが…」
「うんその通りだよ。私は今でも神楽坂君の恨んでるよ。」
「うお!ひ、姫乃!お前アイツらと一緒に帰ったんじゃなかったのか?」
「お母様にはそのまま途中で別れの挨拶をしたよ。やっぱり神楽坂君のお母様昔と今と変わらないで本当に良かった。あの後あなたとの関係が色々あったからどう話せばいいか分からずにいたからもし嫌われてもしたらと思って内心不安だったのよ。」
「母さんは寧ろお前に会いたがってたからな。嫌いにはなってなかったろう。」
「良かった。それが聞けただけでも心が落ち着くというものね。」
「でだ本題に入ろうか…お前がここに戻ってきたと言う事は…やっぱりお前も…」
「ええ、その通りだよ。私はあなたにどうしても仕返しをしないといけない…それもちゃんとした理由であなたには決着をつけたいの。じゃないと私が抱いていたこの4年間のモヤモヤは晴れないままだから…」
「………まさかまだ昔の事を気にしているのか?あれは俺のせいだって何度も…」
「ううん!そんな事ない!あの時あなたはまだちゃんと泳げる事ができたはず!なのにどうして水泳をやめたの!あんなのただのきっかけで辞めたとしか言いようがないわ!」
「………だからそれは…」
いや今更そんな事を話してどうする。向こうが勝手に決着をつけたいって言ってるだけだろう。この事に付き合う必要性は俺にはないはずだ。俺には別の目的がある。それをこんな私情で付き合う程無駄な時間を割くわけにはいかない。
………まさかちょっとこの病院に用事があって戻って来たらあの子と神楽坂君がまさかの密会していたなんて…それで妙な話しまで聞けるとは予想外だよ。でもどうやらあの子僕に話していた内容とはちょっと違う事を言ってるみたいだけど……う〜んコレはどうしたものか…
「じゃあ言い方を変えるね。神楽坂君は何でこの街に戻ってきたの?未練があるから戻ってきたんだよね?」
「未練?……いやまぁアイツらと約束していたからな。絶対にまた戻ってくるって…」
……そうか神楽坂君はちゃんと約束を果たす為にここへ戻ってきたんだ。なのに僕達は彼が裏切ったとか何とか言って都合よく言い訳のある使い回しの言い分を作ってあちらコチラへと引っ掻き回してしまった。……まぁ3人は本当に復讐的な事で許さなかったからお互い様って事になるかな。
「それが神楽坂君の約束なら私だって同じだよ。私も約束はちゃんと果たしにここへ来たんだ。ううん私だけじゃなくて他にもいるから。」
「え?他にもって…いや待てまさか!」
「今はまだその事は言えないけど確実に神楽坂君に会いたがってる子たちはいる。そしてその中でも神楽坂君との架け橋となる夢を果たす為君に復讐をする為この街に私達はきたんだよ。」
「意味が分からない…架け橋となる夢を果たす為俺を復讐しにきた?じゃあそいつらはそのうちひょっこり目の前に現れるわけか?」
「うん。だけど皆んな神楽坂君が知ってる皆んなじゃないって事だけは覚悟して欲しい。それぞれの天才的な発覚をしてしまった君の幼馴染達はその姿を隠して君の前に現れる。私みたいに昔の面影を素直に露さないようにね。」
つまり猫を被って俺に接触すると言う事か?いや少し違うかもしれない。コイツの言う姿を現さない幼馴染というのは…外見は昔の容姿としてニュアンス的に分かると言う所までは俺でも認知できると姫乃はそう言ってるんだと思う……となればその中にある面影が完全に遮断してでの姿として俺の前に現れると言う事か……だからさっき姫乃がどうかあやふやな感覚があったわけだ。
「そんなまどろっこしい事をしていったい何をする気なんだ?」
「さぁね。私曰く他の子達が神楽坂君に何をしようとしてるのかなんて定かじゃないから分からないよ。でもね私のことだけはハッキリ伝えておくよ…私の本当の姿実は神楽坂君にはまだ見せてない部分があるん。それを私はまだ本当の姿を現していない…コレがどう言う意味かわかる?」
「………」
俺は飲みたくも無い片唾を飲みながらそんな事は思いたくも無いと思いつつ昔の残響が脳裏に浮かぶ……本人はそう隠しているが俺は彼女がまだ本当の姿を現していないという意味を実は既にもう分かっているのかもしれないという心の奥底で胸騒ぎを感じながらそれをできるだけ否定しようとなんとかして留まる事にした。
「………まぁ今は何も考えなくていいよ。君にはまだ解決しないといけない問題があるんだよね?それをまず解決してからゆっくりと考えたらいいよ。」
そう言って姫乃は扉の方まで歩いて行き出て行こうとする動きを静止しコチラへ振り返る。
「あ!コレはちゃんと言わないといけなかったんだ。」
「え?」
姫乃は指先を唇に押し当てコチラへウインクをしながらアピールする。
「私君の元幼馴染達に何か負けたりしないし君の事はちゃんと私が君の心を射止めるつもりでいるからその辺はしっかりとマーキングさせるつもりで攻めるから覚悟しておいてね。」
露骨なアピール。何処までが本当で何処までが嘘なのかちょっぴりドキッとさせられて胸が高鳴るというのが男のサガなのだが……今はそれどころじゃなくまた妙な面倒ごとが起きてしまったのを噛み締めながら頭を悩ませる。
「はぁ〜コレが俺が昔ちゃんと終わらせてなかった末路か……不憫だ。」
………なるほどね〜つまり彼女は僕達を使って実験台にしていたわけか……僕達に負けるつもりは毛頭なく彼の心を射とめさせ元幼馴染じゃなく旧幼馴染達で恋の発展へ移行させる。
そういうわけか……まぁコレは僕が思う恋の恋愛相談役者の考えなわけだが……多分十中八九当たってるはず…彼女いや彼女達の目的までは聞かずにいたけど…僕達に復讐の提案とその実行に何も触れずにいたのはそれを品定めをしての判断だったんだろう。
そしてそれが上手く事を運んでいたから段階が整い自分達もそれができると発覚して僕達とは少し違った趣向での復讐劇を始めることを決定した。
「………ふっ恋愛相談マスターである僕がこうもみくびられてしまっては…さすがの僕も見ずにいられないわけだよ。……よし決めた。僕がもてるやり方を尽くしてこの復讐劇どうにかしてやろうじゃないか!」
…………
「………まだ解決していない問題か。……そうだなまだ残ってる問題があったな。」
そう言って口に出し完全に1人忘れ去られている1人を俺は思い出して廊下から勢いよく走ってくる存在を俺はまず1人目を解決させようと心の準備を整え待機する。そして…
ガラガラ!
「お、お待たせしました!というより酷いですよ!いったい何処まで買いに行かせるつもりだったんですかお姉ちゃん……ってあれ?」
「ようやく来たか……いくら経っても来ないと思ったからおおよそあまり頭を使わない海未が何とか拵えてフル活動させようと香澄ちゃんを遠くのコンビニまで行かせて中々売ってない物買いにいかせたんだろう。そして…それが今上手いことに事が運んだ。結果を聞かせてもらおうか香澄ちゃん。paradise Sky結局の所どうなったんだ?あの後リフレクションシューズでの爆発によって海未と香澄ちゃんはそのまま落ちていったのはちゃんと覚えている。そして2人とも助かった。試合は恐らく有耶無耶になった可能性がある。となればこれまで行った経緯は無駄になってしまったというのが仮定の話しになるが…」
「……そうですね。確かに変態先輩の言う通りです。あの後どちらかが勝ったか負けたかなんて些細な話はそれどころではありませんでした。何せ人の命が関わっているんですから。お姉ちゃんは急いでリフレクションシューズを脱いで変態先輩の所へ駆け寄ったそうです。」
「寄ったそうです?そうか香澄ちゃんもまだ意識がなくなって…」
「いえ途中で目が覚めてはいたんですが…あの後衝撃でまた意識が失ってしまいました。」
「そうか……まぁその後俺がどうなったかは大体の事は察しがつく…問題はお前達の問題だ。有耶無耶になったという事は海未のコレからの事とお前の虐めによる問題それはどうなるんだ?」
「え〜と……何といいますか。そのかなり申し訳にくいといいますか…」
「なんだ。どんな事でも俺はちゃんと受け止める覚悟はあるぞ。遠慮しなくてもちゃんとお前らの事は解決させてみせる。まぁこの有様だが、ちゃんとリハビリして体が元に戻ったら…」
「いえそうじゃないんです!」
「………そうじゃない?」
何だ俺じゃどうにも解決できない問題とかになっているのか?2人の格差による問題…はたまたお金とかか?
「その非常に申し訳にくい事なんですが…あの試合どうやらただの本当に私情による問題形式でして…私達自身勝手に盛り上がっていたといいますか……上手く踊らされてしまったといいますか……全部まるっと解決してしまったといいますか…」
「………な、なに?」




