新たなる幼馴染登場
目の前に蒼脊が俺に連れてきた女の子。その子は昔俺が引っ越した小学校での1人目の幼馴染……何でその子がこの場所に?
「ええ!!何できちゃったの!まだ2月も先だったのに!」
何か東小橋川さんが勝手に驚いて勝手に困ってる。何かまた妙な事でも企んでいるのか…
「ごめんなさい。でも早めに話しておきたくてというより我慢できなかったの…このままだと私が腹いせに何をするか分からないから早めに宣戦布告をしたくて…」
「いやちょっと待ってよ。杉原澤野々美あなたいったい一星とどう言う関係なのよ。まずそこから話しておくべきじゃないの?」
「え?何だって…」
名前が違う?確か三枝姫乃という名前じゃなかったか?でも俺が姫乃と最後に話したのは小学校5年の夏だったはず…色々と小学校の時にまた引っ越しがあって別れてしまったから長らく疎遠にはなっていたが…正直見た瞬間…姫乃と思ったのは間違いない。でも美森姉は別の名前で姫乃を呼んだ。何がどうなってんだ。
「どうもです。美森先輩…あまりにも幼馴染愛が溢れる人で正直驚きました。あそこまでめったうちに復讐してやると息巻いといてコレぐらいの事で心配されるなんて…まさに矛盾している事になってしまいましたね。」
「何が言いたいのかしら?私達の事をコソコソと嗅ぎ回っていたあなたにとやかく言われる筋合いはないわね。」
「コソコソなんてしたくてしてるわけじゃありませんよ。頃合いを見て私は影であなた達の行動を見学していたんです。昔々の幼馴染さん達をね…」
ピク!
姫乃?の昔々の幼馴染という言葉に引っかかる山茶花達は体をぴくっと反応させ何かかんにさわる様な事でもあったのか少し鋭い視線で姫乃?を睨む。
「見学って…お前な…はぁ〜」
何というか昔からそうやって人の様子を伺う癖みたいなのは直ってなかったんだな。となればあの時から姫乃は孤立している?でも昔の友達もいた気が……いや待てそもそも他の奴等もいたはずじゃ…
「え〜とまぁ僕が言うのもあれかもしれないけど、君…僕達は神楽坂君との幼馴染関係は昔からそれこそ深く繋がっているんだ。それなのに君は私達を古参と呼んでまるで、薄い関係性みたいな言い方をするが…君は彼に対してどう言った感情があるんだい?僕達は彼の事を心から寄り添うパタートナーだと思っている君みたいな粗相知らずな人間に僕達の関係性に口出ししないでもらえるかな。」
「ああ〜もしかして癇に障りましたか?でも事実なのは変わりないですよね?あなた方が神楽坂君に幼馴染という好意を抱いていた。そうそれはもう過去形の話のはずです。だって彼はあなた方を昔々の幼馴染だって気付いていなかったじゃないですか。」
「で、でも!それでもちゃんと一星君は私達の事を大事に思ってくれてるんだよ。あなたが一星君の知り合いかもしれないけれど、私達は彼に色々と救われて…」
「救われている?何を?復讐を考えての行動にいったい何に救われていたというんですか?ふんただの戯言にすぎませんね。幼馴染という名前だけの由来ごっこなら別でやってほしいですよ。」
「うっ……」
痛い事を言われて若干心の傷を抉られてしまった顔をする山茶花。山茶花に討論は無理なのは本人がよく知ってるのに何では歯向かおうとしたんだ。
「ちょっと先から何なのよあなた。私達に変な当て癖つけて文句が言いたいの?それならこっちだって色々と言う事はあるわよ。あなたは神楽坂君のなんなのよ。幼馴染でも何でも無い癖に色々と口走らないでもらえるかしら。」
そんな意気揚々に最も自分が正しくてどんな正論を言われても自分達が一星の幼馴染だという事には変わらないという強い意思を持って髪を靡かせてカッコをつける。だが…
「え?もしかしてまだ知らないのですか?私前の学校では神楽坂君と同じ学校の幼馴染なんですよ。それもあなた達と別れてから一緒に5年間一緒だった唯一気持ちが揺らいでいた時に仲良くなった至高最大の幼馴染ですけど?」
「ガーン!そ、そんな!し、至高最高…」
え?驚くべき所がそこ?幼馴染の部分じゃなくてそういうレッテルに驚く宇佐木田さんが俺にはよく分からなかった。
「まぁあなたとの幼馴染との歴はあまり変わらないかもしれませんが…私達はちゃんと記憶がある形での5年間を共にしています。それと比べたらやはり私達の絆の方が1番高いと思いますがね。」
「ちょっと待った待った!それは聞き捨てなりませんよ。イックンの幼馴染は私達5人だけです!新たな新参者が入る余地は何処にもありません。」
しれっと蒼脊を抜いたな海未のやつ。蒼脊が困惑してるぞ。俺は?みたいな感じで自分に指さしてるし…
「新参者と言われても…寧ろあなた達と離れた事で彼にどれだけの心の傷を負わせたのかあなた達に何も分かっていないでしょう?彼の心の傷を癒したのは他ならぬ私!パートナー云々の前にあなた達は今の自分の立場をよーく弁えるべきだと思いますよ。」
幼馴染達はぐぬぬという声を漏らす者もいればほほうと納得する者もいたり何でこんなに偉そうなんだろうという達は振る舞いの彼女にこれ以上何を言ったらいいのか分からず沈黙での睨み合いの戦いが始まった。
「………いやその何というか別にお前だけのおかげじゃないだろう。他の奴等にも色々と励まされて俺は水泳をやっていたんだが…何でそこまで過信した物言いをしているのか訳が分からないんだが…」
え?
周りの幼馴染達のえ?という発言。
それに反応されて姫乃?は何?みたいな顔をしてくるが口に出す言葉は…
「ふ、ふん!カマをかけてあげてやったのよ。もしかしたら神楽坂君…調子に乗ってるんじゃないかと思ってその通りだとか何とか周りのおかげとか思って無さそうだったからこうやってカマをかけてやったのよ。」
動揺が物凄い…
一瞬周りの声が聞こえた気がした。きっと姫乃?は動揺が凄いとか何とか思ってみたいな事を思ってはいるが敢えて口に出さずに心の中できっと押し留めてくれてるんだと俺はそう思った。
「まぁそれが本当にカマをかけていたのならあなた相当墓穴を掘ってるわよ。言い方に関して自分が矛盾な事を言ってるのに気付いてる?」
「はい!?私がいつ何処に矛盾の生じた言葉を言ったんですか!」
「………まぁ気付いていないのならそれで別にいいわ。」
「美森先輩!その辺詳しく聞かせてもらっても?」
ああ無駄な追求心がでちゃってるな〜というか姫乃?は何しにここへきたんだ?何か宣戦布告がどうたらこうたら言っていたが……後幼馴染というワードも出しているがその辺まだ誰も詳しく言ってないから早いとここの妙な空気の流れを終わりにしたい。
「え〜とだな。その俺が連れてきてなんだが…お前達は幼馴染同士の争いというより言い合いをする為にここへ集まったわけじゃないんだぞ。というかまずその子について裏で企てしていた東小橋川がよく知っているのにお前までムキになってどうすんだ。」
「は?」
今何て言った?裏で企てていたことだと?まさか俺があの時東小橋川さんに話していた内容ってもしかしてこの事と何か関係があるんじゃ…
「ああ〜そうだねそうだね。私とした事が幼馴染という単語に弱くてね。つい協力関係という言葉の意味すら忘れてしまうとこだったよ。というより君がここに来る事でだいぶ話が変わってくるんだけど……本当に何しにきたわけ?」
単なる冗談めかしで言う言葉では無い事を察知した俺いや俺達は周りの空気が変動した事に気付いて全員姫乃?の方へ視線を向ける。
「まぁそのね。私的にもあなた達にとっても不愉快な話になるかもしれない…でもここでは神楽坂君にとって1番不愉快な事が起こるのは間違いない。」
「間違いない?どう言う意味だ?俺に何か不幸でも訪れるって事なのか?」
「そうだね。そして君にはコレから私達の償いをしてもらう。まぁ今のその身体じゃ無理だと思うけど…」
償い?俺が姫乃に償い?……いや心当たりはあるが…けどそれはちゃんと理由があったからって自分でも分かってたはずじゃ…
「………やっぱり気が変わったかな。」
「は?」
「事を急ぐとは言ったけれど今の君の痛々しい姿を見て私は情が湧いてしまいました。昔ながらの幼馴染の情けって事で今は話さないであげる。」
「………本当に何しに来たんだい。神楽坂君の様子見に来たのならコソッと裏でも何でも嗅ぎ回れば良かったのに…君そういうの得意だろ?」
「いやだな〜林音ちゃんってば冗談が上手いんだから〜私が得意とするなら水泳だけだよ。それ以上でもそれ以下でも私に得意とするものは何もない…」
「………」
「それじゃあ私はここで失礼するわ。再会してのやっとの思い出の幼馴染との再会…でもその後に待ち受けているのは最も固執している幼馴染の野望が待っているという事だけ頭に入れて頂戴ね。それじゃあバイバイ。」
バタン!
姫乃?はそのまま扉を閉め病室から出ていき掻き回すだけ掻き回して帰っていく。
「………え〜とコレって何がどうなって…」
「もう!何なんですか!あの子は私達に喧嘩を売ってきたのにも関わらず文句へんな屁理屈ばっかだったじゃないですか!」
「ええ!私もこんなに腑が煮え返る程気持ちが揺さぶったのは初めてよ。なんなのよあの子!というか幼馴染ってどう言う事神楽坂君。」
「いやそのどう意味と言われても…俺の中ではまだアイツが本当に幼馴染なのかどうなのか困惑しているというか…」
「けどあの子あなたの事ちゃんと昔から知ってる様な顔で話していたわよ。嘘じゃ無いって事なんじゃないのかしら?」
「だからだよ。だから余計におかしいんだ色々と…」
俺に逆恨みという形で何かするならコイツらに加担する何て事はまずしないはずだし…何よりも俺に執着して色々と引っ掻き回す行動が昔の姫乃?というのが俺がよく知ってる幼馴染の姫乃?なんだ。でも美森姉から出た姫乃?の名前が違っていたコレはいったい…




