俺の幼馴染達がようやく姿を現して再会の喜びの束の間…新たなる問題が発生する。
何故か呆れた顔でコチラを見る美森姉に何でそんな顔をして呆れているのか全く分からずにいた俺はあっと脳内にある事を思い浮かべ少し視線を逸らして美森姉に改めて言う事を言う。
「その……似合ってるんじゃないのか……夏服。」
「!?一星あなた…」
美森の方も若干照れた顔をしてそっぽを向く。
どうやら正解だったぽく夏服を気に掛けて欲しかったらしい…それならそれで口で言えば良かったのにと改めて思う。
「へ、へ〜あなたにしては珍しく気付ける所はちゃんと気付けたのね。私てっきりそんな事一切気付いて無かったと思ってたのに…」
「いやまぁそう言うのって美森姉は言われ慣れてると思ってたし俺が言っても何も感じないと思ってたからってうお!何だ何だ!痛い!痛い!病人だぞ俺は!」
美森姉らしからぬ枕を使っての猛攻撃。病人ならではの加減のつもりだが普通に痛いし傷口に響く。
ガラガラ!
「ただいまです!あ!何やってるんですか!駄目ですよ美森様!イックンがまた倒れちゃいます。」
そう言っていそいそと俺に枕で叩いてくる美森を止める海未。だが止めても中々やめてくれない美森姉に内心困ってしまう俺であった。
「もう!本当に女心が分かってないんだから!」
「それはイックンが悪いですね。もっと叩かれるべきです。」
「こら海未事情も知らないのに勝手に美森姉の味方をするな。美森姉が悪い可能性だってあるだろう。」
「女心を理解できてないイックンに弁明の余地なんてあるのですか?」
「………」
何だろう今のはさすがに心にグサッとくるものがあったな。俺以外に女子に対する心が無いというので言われると微妙に傷付くみたいた。……いやそんな深くまでとは言わないが…
コンコン!
「お二人さん〜そろそろ私達も入っていいですか?何かと御用入りがあるんでしたらこのまま帰ってもいいんですけど〜」
ピューン!
ピューン!
「うわ〜ん!一星君良かったよ〜本当に無事で良かった!」
「もうバカ心配させないでよ!また何処かに行ってしまうかと思って心配したんだからね!!」
「あららら、こりゃあ僕が入る余地はないみたいだね。」
その後に続く幼馴染達…山茶花と宇佐木田さん。そして東小橋川さんがお見舞いにきてくれて、山茶花と宇佐木田さんは泣きながらベットの布団で泣きじゃくる。
「おいおい!布団が涙で湿っぽくなるだろう。香澄ちゃんと海未もそうやって疼いてたから俺もうこの布団使えないぞ。」
「ほ〜ら2人ともそこから離れなさい。全く目覚めた事を知らせたらすぐそうやって困らせるんだから。ちゃんと患者の事を労わりなさい。」
「………」
それは美森姉も同じ事では?と口で言うのはやぶさかなのだろうか…それを言ってしまったら逆ギレしそうで俺は敢えて言わない様にしたのだが…
「ふふ」
目が笑ってるし圧が凄い…余計な事を言ったら退院した時覚えておけよという顔をしている。やっぱり言わないで正解だった。
「それよりも本当に怪我は大丈夫なのかい?もしかして無理してるんじゃないの?」
「いや確かに普通に歩くまで回復はできてないからリハビリしなきゃならんが、体は至って健康体だな。」
「そう…それなら良かった。」
「?」
何でそんなに露骨に寂しそうな顔をするんだ?いや俺の見間違いかもしれんが、雰囲気が何処となく嬉しそうでありつつ不安がってるのか?何か反応に困る反応してくるからどう言えばいいのか分からない。
「一星君私に何かして欲しい事はない?何でもしてあげるよ。一星君のお世話なら一星君ママから許可をもらってるから!」
俺が寝てる間に何そんな勝手な事を…
「いやその気持ちはありがたいんだが…やっぱりお前らも学校があるし何より2週間あれば退院できるんだ。何とでもなるから大丈夫だ。というよりお前らは部活や仕事だってあるだろう。寧ろ迷惑かけるかもだしやっぱりお世話になるわけには…」
「でも!」
「でも!」
「そうよあなた達に任したら寧ろ一星の治りが遅くなる可能性だってあるんだからここは年長者である私に任せておきなさい。」
「ああそうだその通り……いや何でだよ。」
「何が?」
「美森姉も一者だろう。部活にバイトにそれに受験勉強だってあるんだろ?俺にかまけてる暇なんて…」
「何言ってんのよ。寧ろ年長者だから言ってんのよ。あなたにもしもの事があったらいったい誰がこの子達を慰めるって言うのよ。」
「いやそんな無茶苦茶な。もっと何かしらの理由があるだろう……それに美森姉にやってもらわなくても東小橋川さんがいるんだし何も…」
「それもそうね〜あなたが誰かの為に必死で作ってくるお弁当を死に物狂いで食べられるなら話しは別だけれどね〜」
「………すみませんお願いします。」
ある意味別の死が訪れるのを察した俺はなすがままに美森姉にお世話になる事となった。
コンコン!
「おや?また別のお客さんかな?神楽坂君人気者だね〜」
「おい言い方に悪意がある言い方をするな。お前の場合何かと裏があるから肯定しにくいんだよ。色々と…」
「いやいや僕からしたら君に対して何一つ咎めがない事があると言う事を誓って言えるよ。」
「………」
「おいまた鼻で笑ったな。何で笑った理由を聞かせてもらおうか。」
「どうぞ〜」
「こら〜無視するなよ〜凹むだろう〜いいのか!唯一私と同じ趣味の人間に対してそんな態度とっていいのか!」
鬱陶しいな〜
そんな事を心に思いつつノックしてくる人に返事をし中に入ってもらう。
ガラガラ…
「よう!元気か一星。」
「蒼脊お前まで見舞いに来てくれたのか。」
「いや単に用事があって寄っただけだ。」
「いやそこは嘘でも幼馴染が心配だからとか何とか誤魔化す所なんじゃないのか?」
「お前に変な嘘をついたって仕方がないだろう。事実は事実なんだ。お前のした事に比べれたら寧ろ素直に言うのが義理堅き幼馴染って事だろう。」
「それは……どうなんだいったい…」
周りの幼馴染達に確認をするが、コレと言って蒼脊に対して何もフォローする者はいなかった。何か本当に蒼脊に人望があるのかどうか分かんなくなってきたな。いや俺が勝手に思ってるだけであるからだとは思うんだが…
「と言うか……とうとう幼馴染全員揃ったわけだな。結末は悪いかもしれないがお前がようやくお眼鏡にかなった状況となったわけだ。嬉しいんじゃないのか?」
「嬉しいか……まぁこんなんで集まって再会したと言うのなら嬉しいかもしれないな。全員俺の事を恨んでたわけだしようやく本当の意味で幼馴染達が姿を現した。結果満足かもしれん…」
そんなわけないでしょう!
そんなわけないよ!
そんなわけあるはずないでしょう!
そんなわけないよ。
「うぉ、おぉ……」
まさかの美森姉以外俺に言う言葉に納得がいかなかったのか、それは間違いと言わんばかりの反応で返ってきた。
「ふぅ〜あのね一星さっきもいったけれど、周りに関してはあなたが思っているほど繊細な人間じゃないの。どれだけあなたが私達を大事に思っているかなんてそれはあなたでも十分に分かってるはずでしょう?」
「いやそれは……けど一理あるかもな。」
「私達はあなたに復讐をするという目的で名を偽名で使って今まで姿を隠していた。」
「あ!でもそれがめんどくさかった私と林音ちゃんは拒否したんだよ。けど多数決で負けっちゃて…」
「それはそうよ。ただ帰ってきただけじゃ一星は私達に対してどう言う顔で会えばいいかとか考えたりするでしょう。まぁ勿論の事約束は覚えていなかったみたいだけど…」
「そ、それは……」
「もう!美森様ったら普段そんな素直じゃ無い事言わないのに急にどうしたんですか?ここは普通にあなたに会えて私達は心の底から嬉しいんですって言えばいいじゃないですか。」
「あなたは一々茶々を入れないの!皆んなの気持ちを私は代弁して伝えてるのに!あなたが余計な事を言ったら台無しになるでしょう!」
美森様は一々横入りしてくる海未に頬を引っ張ってお仕置きをする。けどどこか嬉しそうに痛そうにしている海未を見ていると…ああ海未が望んでた事は俺と一緒だったんだと心の底から初めて幼馴染と共有ができたと実感した。
「………幼馴染達の姿をようやく現したか……本当はまだ隠している事があるんだけどね。」
「え?何か言ったか東小橋川さん?」
「ううん何でも…」
何か小さな声で呟いてよく聞こえて無かったが、それを聞こえていた山茶花と宇佐木田さんは何処か暗い顔をして下へ俯く。いったいなんて言ったか分からないが、まぁともかく今はちゃんとコイツら話し合って時間を埋めていくのが感じんだな。
「あ〜その、再会しての感度という対面で悪いんだが、少し要件があるんだ…話いいか?」
そう言えば蒼脊は用事があってコッチに立ち寄ったと言ってたな。いったいなんの要件なんだ?
「お前らというよりかは一星にお客なんだ。お前が目を覚ましたって事で話をしたら今日合わせて欲しいと言われてな。本当はもうちょっと元気になってからの方が良かったんだが急という事で早く話したいらしい。」
「俺に客人?」
誰だ?ここにいる幼馴染以外だと他の奴等で急で俺に尋ねるやつはいない筈なんだが……何か嫌な予感がする。
蒼脊が連れてきた客人を部屋に招き入れその顔を見て一星の嫌な予感が的中する。
「………久しぶりね。目が覚めて本当に良かったよ。神楽坂君。」
「え……何であなたがここに?」
俺が1番驚いているのを何故か美森姉が驚く。2人は面識があるのか?いやその事も気になったりはするが…まずは…
「どうしてお前がここにいるんだ…姫乃。」




