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俺の幼馴染達が復讐を終えるまで姿を現さない件について  作者: Phantom
第ニ章 残る2人の幼馴染による復讐じゃない私情
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paradise Sky 2nd

この学園で凄い所は東小橋川さんがやるイベント形式ゲームをちゃんと行えるというのがこの学園において融通がきき何より設備を瞬時に変えるというまるで超人並みのやり方で全てをまるっと変えてしまう。それを周りの生徒達は驚きもしないし凄いという単語すら表さない…つまり何が言いたいのかと言うと…


「さぁさぁ!ついにやってまいりました。paradise Skyいやパートナーとの恋愛発達模様になるかならないのかの色恋沙汰イベント!いざ爆誕!」


ヒューーーン!

ドドン!

パフパフ!


「勝手すぎるにも程があるだろう!あの無鉄砲負けず嫌い幼馴染が!」


俺達は最初のブロックの会場で空を飛びながらそれぞれの生徒の出場者が集まるまで待機していた。していたのだが…案の定こんなブロックの分け方での東小橋川さんの唐突な妙なイベント形式によるゲームのネーミングセンス。完全に私利私欲で始めたとしか思えないアナウンスを耳にし頭が痛くなる。


「まぁまぁ本人もコレといって悪気があってやってるわけじゃないんですから。」


「いやいやコレが悪気がないって?そんなわけあるか!ほとんどの連中がカップルで出場って単なる遊びで来てるじゃねぇか。」


「そうでもないみたいですよ。ほら変態先輩あそこを見てください。」


「え?」


香澄ちゃんが指す方向に視線を向けると…カップルっぽい生徒の2人がやたらと楽しそうにしながら話していた。


「……ただのカップルじゃないのか?」


「そうですね。側から見ればただのカップルですね。しかしあちらの2人は天才候補と言われてるお二人なんですよ。しかもそれだけじゃあありません。周りにもそれかしか初めての出場者と経験者との組むパートナーがチラホラいます。林音さんが単に私利私欲の為に催しただけとは到底思えないとは思いませんか。」


「………まさかそんな事。」


「単なる憶測ですから、私からしたら林音さんの事なんてまだよく理解していません。ですが、変態先輩ならわかるんじゃないんですか彼女の事…」


「………まぁ幼馴染だからな。」


しかしそれでもアイツが関与してなさそうなイベントで、いったい何をどのようにしてこの催しを開いたのかはサッパリわからん。わかるとしても前回の幼馴染形式バトル…アレでの再戦なら分かるが…今回その東小橋川さんがでないならあまり意味ないはずなんだが…


「とりあえずは東小橋川さんの考えは分からないという結論でここらどう作戦をたてるのが肝だな。」


「そうですね。やるなら徹底的にやりたいですけど…まずはどう動くべきか…」


「あれれ?アンタも出るんだ?ビックリしたな。」


「!?」


この声は…


「あれ〜私の声聞こえてるよね?香澄ちゃん。もしかして私達が参加している事に驚いて声もでないのかな?」


君津家(きみつか)茉莉奈(まりな)やっぱり出てきたか…


「そ、その……」


「ふふ、私が出るって分かってたのに何でアンタが出ているのかサッパリ分かんないわね。気でも狂ったのかしら?ああ元々狂ってるから仕方ないかあははは!」


「………」


言いたい放題だな。まぁここまで拗らせてしまった本人に理由があるせいではあるが…あからさまなアピールに少しばかり腹が立つな。


「何ですか先輩その気に食わないみたいな顔は…言いたい事があるなら言ったらどうですか?」


「いや別に……」


「……ムカつきますね。そうやって素知らぬフリをすればその子が助かるとでも思ってるんですか?……ああ〜そうかそういう事ですか、先輩はお情けでその子と組んであげたんですよね。ちょっとでも自分が味方につければその子が先輩に靡くと…さすがは雄って所ですね。所詮は身体目当てなんですから男って単純…」


「おいいい加減に…」


「いい加減にしろ茉莉奈。」


「ちょ!お兄ちゃん何すんのよ!」


「お前のそういう態度前から直せと何回言えばわかるんだ。直ぐに自分の都合が回らなくなったらそうやって偏屈な言い回しやめたらどうなんだ。」


「ふん!五月蝿いわね。ほっといてよ。」


そう言って茉莉奈はこの場から何処かへ移動していく。


「……ふぅ〜やれやれ我儘な妹がいると苦労するな。」


「えーと先輩…」


「ああすまない蕾琵心の件以来だね。元気してたかい?」


「いえその……」


俺の後ろ側でワナワナと震えている香澄ちゃん。その香澄ちゃんに今かけるべき言葉が今の俺にはない。何故ならあの時にちゃんと言い返さなかったからというのもあり、ここでどんな声をかけても今の彼女には何も届かないだろう。


「え〜と、まぁ色々あったみたいだね。こっちも陸上で色々とやらかして停学処分をくらってね。それで自己練習しつつ彼女の悪ノリに参加した結果コレというわけさ。」


停学処分…そうかあまり学園で見なかったのはそういう事か…でも美森姉なら何か処置ぐらいしてそうな気がするんだがな。まぁコレは3年の問題だ俺がとやかく言う権利はない。


「さて色々と話したい事があるだろうが、ひとまずこのイベントが終わってからでもいいかな?」


「そうですねと言いたい所なんですが、喧嘩を振ってきたのはそちらの妹さんなんで、メンタル的には香澄ちゃんが1番のダメージを受けたと思いますよ。主に日頃の鬱憤を踏まえてね。」


「そうだね。その件に関してはここで詫びよう。申し訳なかった。」


そのまま足をピタリとひっつけ斜め45℃といった角度できちんと謝る君津家先輩。彼の謝る行動に驚きつつもう一つ気にかかる事があり頭の中では色々とごった返しはするが、一応整理をする。


「……香澄ちゃん。ひとまず先輩が謝っているわけだが、さっきの件あまり気にするなとは言わないけど…あまり気落ち…」


「私の事は構いません!謝るなら一星先輩に謝って下さい!」


突然の大声。その大声に周りからの注目を浴びてしまい何事かとほとんどの人は視線を向けてくる。


「か、香澄ちゃん声がでかい…」


「デカくてもいいんです!先輩さっきの謝罪の言葉私じゃなく一星先輩にしてください。彼女の言い分に私はどう反論すれば悩んでしまいましたが、少なくとも一星先輩には関係の無い事です。本当なら彼女の口から謝ってほしい所ですが、先輩があの子のお兄さんなら責任をとって謝るべきなんじゃないんですか!」


「………ああその通りだね。私とした事があまりにも失礼な仕方をした。すまなかった一星君。君には妹の事も含めて謝罪するよ。申し訳ない。」


更に姿勢を低くして物凄い平謝りみたいな形になってしまいコレじゃどっちが悪者なのか分からなくなる。


「顔を上げてください。さっき先輩言ってたじゃないですか、ひとまずこのイベントを終わってからと…今のは香澄ちゃんの一部分の意見なんでそう頑なに謝らなくてもいいです。それだとせっかくこの催しを開いた小橋が可哀想になりますよ。」


「………ああありがたい言葉だ。」


実際にあの美森姉の件がなければきっといい先輩で話が通ったんだろうな。………ん?でもあの食堂での騒動の件は何だったんだ?アレも美森姉と君津家先輩が企てた計画だったのか?けどもうその辺に関してはお開きになってるから関係ないと言えば関係なくなるんだが……また後で君津家先輩に聞いてみよう。


「ああ〜それと君達に言っておきたい事があるんだ。コレだけはどうか勘違いしないでほしい…あの子が……今のあの子がそちらにいる子に喧嘩を振っていた理由…単なる嫌がらせでのイジメではないと言う事だけは認識してほしい…」


「どう言う事ですか?」


「まぁそれはこのイベントが一通り終わったら話すよ。もしくは妹の茉莉奈が話すかどっちかだとは思うけどね。」


単なる嫌がらせのイジメじゃない…そう言えば以前に海未の事を指摘していた事があったな。腹いせか何かと思っていたんだが……まだ何か隠しているって事なのか…どのみち今は何もできない。俺がどうのこうのできるわけではないし…後は本人同士の決着……まぁ妹の方だけどな。


「ご、ごめんなさい先輩私ハッキリと言って先輩にちゃんと謝らせる事ができませんでした。」


「そんな事気にしなくていいよ。それよりももうすぐゲームが始まる。お前が言うように周りは手慣れた人達もいる。ちゃんと本領発揮しないと海未の代わりに出た意味がないぞ。」


「は、はい。変態先輩頑張りましょう!」


さっきまで怖気付いたのがいったいなんだったのか、直ぐにモチベーションを直し目の前の事に集中しここから香澄の本当天才が発揮する事ができる。


「さて、ここから遠くで眺めてる司会者さんは今頃どう思ってんだろうな。」


………司会アナウンス室


「うんうん!いいねいいね!みーうちゃんと神楽坂君には悪いけど、少し私情を挟ませてもらったよ。このparadise Skyでそれぞれの恋愛メーターがどこまで測れるのか…私としては楽しみだね。それに…」


林音はゆっくりと視線を一星と香澄の方へ向けながら思惑のある笑みを浮かべる。


「ふふ、2人とも驚くかもしれないね。このイベントが単なる僕の私情だけじゃなくて、別の意図があるって事に…まぁその為に色々と裏で回したわけだけど……逆に神楽坂君達が最終ブロックまでのぼりつめられる事を祈って後は運に任せる形ではあるけど…果たしてコレがどう天秤に傾くのか楽しみだな〜」


そんな事を思いながらまるで2人の事情等垣間見ずに自分の私情だけでイベントを進める東小橋川林音。コレに関して2人が気付くのは林音の言う通り最終ブロックまでにいくまで現状何も分からずひたすら目の前の事だけに集中する他ない一星と香澄に林音はその時がくるまでずっとほくそ笑んでいた。


「でもみーうちゃんがこのイベントに対してまさかあれだけ渋るなんて思いもしなかったな。……まぁ半ば強制半々でのみーうちゃんの判断だから仕方がないかもしれないけど…まだ本人の気持ちは定まっていないのかな。」

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