リフレクションシューズによる相性が発覚
へーあの子面白い事を思いついたわね。中々に興味があるわ。というかあの子既に一星君がどのシューズが1番適正がいいのか分かってるくせにわざと焦らした感じで言い詰め寄るなんて……本当お人よしなのもいい加減にしないといけないわね。
「全くどうして私が変態先輩と一緒に相性を確かめないといけないんですか。」
「何言ってるの香澄。香澄は私の代わりに出場するんだからちゃんとイックンを支えてあげないとダメでしょう。だからちゃんと2人の相性を見ないといけないんだから。」
「え?お姉ちゃんその事どうして…」
「あ……コレ秘密でしたかね。」
「いいよ別に。そもそも黙ってる必要とかなかったしな。その内バレるというか話すつもりでいたし、それがたまたま今日知ったってだけだから特に隠すという理由もない。まぁ誤算なのはこうして変態先輩呼ばわりする後輩を俺が面倒見る事になったわけだが…」
「な、何ですって!」
「まぁまぁイックンもそんな意地悪な事言わないであげて、寧ろ自分達が練習をしなかった分ここで挽回するのにも役立てるって考えたらいいんじゃないかな。」
「挽回も何も俺は別に汚名返上な事は何もないんだが…」
「あります!私を小馬鹿にした言い方それが解せまん。なので変態先輩はコテンパンやっつけます。」
「いや香澄ちゃんコレお互いの相性だから…別に勝負とは言って……いや模擬試合って言ってたからコレは一応勝負なのか?」
何か変な流れで勝負という形になったが、はたしてコレでお互いの相性なんて分かるのか?
[はーい!それじゃあ2人とも上に飛んでください!]
先に上空へ上がって俺達の審判を務める海未。いやマジでこの状況作り出した本人は何故こんなにイキイキなのか理解に苦しむ。
ピピピ……
「私の方は準備完了です。」
ピピピピ…
「うぉっとと!一応俺も準備はOKだ。」
「本当に大丈夫ですかイックン。バランスが安定しなかったからまたあの2つのどれかに選び直してもいいんですからね。」
「ああ大丈夫だ。」
大丈夫なのは大丈夫。今の所バランス型と相変わらない形で操作ができている。でもこのパワー型…例によっては海未みたいに出力が出やすい形でコントロールできるって事だよな。でも弱点もあると聞く…こんなのがもし俺に合っていたらと思うとゾッとしないな。
「うんうん良好みたいだね。」
………この幼馴染の目はたまに大丈夫か?というように疑りを覚えてしまい一回眼科に診てもらった方がいいんじゃないかと思う時がある。明らかに今の俺は不安要素しかない顔になっているのに何で良好に見えるのか俺には海未の思考を読みとれないなと諦める時がある。
「そしてそして…フフやっぱりそのシューズにしたんだね香澄。」
「はい。」
「………あ、あれ?」
「どうかしましたかイックン?」
「あのシューズ他のシューズと比べて何か独特感が…」
「あ〜それはまた後で話すね。とりあえずまずはお互いバトってからにしましょう。」
今バトってって言ったよな。完全に試合形式じゃないか。
「それじゃあお互い定位置について下さい。」
海未にそう言われるままお互い距離を取りスタートする地点にまで移動する。今回行われる模擬試合では互いの組み手…どれだけのタッチ数によってポイントが計上される。そして計上されたポイントで勝利が確定する。しかしそれだけではという形でリレー的な事も決まる事となった。本来paradise Skyはフラッグ形式バトルでの試合もありリレーによって競う種目もある。今回その2つを行う事が決定し急遽俺達は海未の我儘でこう言った対面になった。……しかし
「………あのシューズはいったい。」
何だか他のシューズとは見た目と違って、より印象深いというか……ブラック?というのも1番他のと違ってカッコよく見えるだけの可能性もある。やっぱり俺の勘違…
「始め!」
ビューーン!
「は!?消えた!」
馬鹿なそんな一瞬で直ぐに移動って、瞬間移動じゃないんだからそんな該当な事…
ビューーン!
「うわ!」
一瞬にして目の前に来る香澄。辺りを見渡すの束の間僅かな秒差でコチラとの距離の間を詰める。
「どういう事だ……移動しただけなんだよな?」
「はい。普通に移動しただけですよ。それも飛ぶという思考を頭の中で巡らしたらこうなりました。」
「ありえないだろう。今の普通に考えたら漫画の様な展開だぞ。お前は忍者か何かか…」
「………本当に変態先輩はparadise Skyを何も知らないんですね。」
「は?どういう事だよ。」
「何でもないです。とりあえず私から一本とって下さいよ。まぁ変態先輩にはまず無理かもしれませんけどね。そんなよろつきなんてしてたらまず相手に触れる事なんて…」
「のわ!」
ポヨン!
バシャン!
「しまっ…」
「………!?」
あれ?今何か…
俺がバランスを崩しそのまま前のめりになって香澄の方へと倒れていった瞬間。僅かに触れる何か柔らかいものに触れそのまま電磁が起こってお互い距離をとる事になる。いったい何に触れたのかまでは慌てて確認できなかったが、あっち側の様子を見る限りどうやら俺は香澄が顔を真っ赤にしてこっちを睨む姿を見てみると触れてはならない場所に触れてしまったらしい…
[イックン……スケベですね。]
[ち、違う!今のは不可抗力だ!決してわざとじゃ…]
シュイン!
パン!
「おわ!」
パン!パン!パン!パン!
そこから香澄は顔を膨らませて、おそらく内心怒りつつ言葉にすれば余計に怒りが込み上げてくるのか、言葉等交わさずに俺は香澄に傍若無人に背中の方へタッチされ最早模擬試合とは何かと言わんばかりの結果となり組み手に関してはモロボロ負け……はて相性とはいったいなんかのかと思いつつ次のリレー形式に回される。……しかしそれによって俺はある事に気づき出しそのままリレー形式の試合へと進む。
「………一方的にやられた。というかあんな動き反則だろう。」
主に香澄がコチラの後ろへまわられる前になんとかして、磁場による反射ではねかえそうと思った矢先、香澄はこっちの考えを一手読み取って、直ぐ様に違う別角度からタッチをしていき連続猛攻撃を受けてしまった。
「そりゃあそうですよ。女の子の胸をあんな鷲掴みにされて、いったい誰が許すと思うんですかいったい!」
「それはそうだが…アレは本当に不可抗力で、それにワザとじゃ…」
「は?言い訳ですか?それとも私の胸に弾力が無かったとでもいうのですか?やっぱりお姉ちゃんの方が大きいとそう言いたいのですか?それは私に対しての宣戦布告として受け取っていいのですね。それなら遠慮なんてしませんので手加減無しでこの勝負も私が取らせてもらいます。変態先輩。」
「うっ……」
あ、圧が圧が凄い…というか喋りが物凄い念を込めた言い方で否定しようにも一切聞いてくれないのがひしひし伝わる。クソ…コレじゃあ本当に相性がいいのかどうかすらなんて測れないぞ。
「え〜まぁさっきの事故はとりあえず置いておくとしまして、2人ともここからは引き締めてリレーに挑戦してください。下手すれば事故にも繋がるので、その辺要注意してくださいね。」
「分かってますよお姉ちゃん。」
「ああ。」
でもさっきのバランスが崩れて少し気になった事があった。香澄ちゃんには悪いがある意味コレは不幸中の幸い…今までの違和感あった場所がまさかあんな所で気づく事になるとは俺でもまず思わない。でもおそらく俺はこのリフレクションシューズでなら…
「よーい!」
「………」
え?嘘でしょう…変態先輩の構えって、もしかして…
ピーーー!!
ギュィーーン!!!
ドシュン!
「嘘でしょう!」
「す、凄いですイックン!」
予想通りだ。パワー型でもしかしたらと思ったけど、海未と同じ様に一気にスピードを出して飛ばす事ができた。俺が感じた違和感それはシューズでの調整がイマイチピンと合わなかった事…でもそれがこのパワー型だと今の調整でしっくりとくる。でも問題なのは…
デュイーーーン!
「調節でうまく合ったとしてもコントロール調整が曖昧なのが欠点。おわ!」
グィーーン!
デヒューン!
コントロールが上手くいかない?いやでも変態先輩は普通に風による向きを上手く利用して曲がり角でのインの角度をちゃんと考慮したうえでバランスができています。普通あそこでならまっすぐに飛んでバランスが崩れるはずなのに…変態先輩まさかパワー型のセンスが…
「って私もそんな悠長な事を考えていられませんね。このまま差が開いてしまったら確実に負けてしまいます。それはいくら何でも私のプライド的に許せまんので、遠慮なんかしませんよ!」
ビューーン!!
香澄も負けず劣らずのスピードを出し一星へと確実に近付いていき距離を詰めていきだす。結果勝利したのは…
「やった!私の勝ちですね!変態先輩に勝ちましたよ!」
この子手加減というのを知らないのか…俺が慌てふためく姿なんて思いっきり無視しながら冷たい視線で追い抜きやがった。やっぱり香澄ちゃんはparadise Skyでの天才なんだな。
「でもイックンも凄かったですよ。アレだけ香澄と距離を離せていたのは初心者にしては凄かったです。というよりも香澄は実力を隠ししすぎなのも問題ありけりですね。」
そうか…海未は確か香澄ちゃんとの真剣勝負を求めているんだったな。でもそれは単なる噂だけの話しだったから本当に香澄ちゃんが強いかまでは今の今まで見た事がなかった。それを目の当たりにして呆れつつもあり少し嬉しそうにもする。……正直今の今まで隠さなくても良かったんじゃないかと俺は改めて思った。




