本当は知っているのにはぐらかす理由
コイツらのことだ、どうせその部分も知ってて隠しているんだろう。そしてあわよくば辻褄合わせで、適当に分かっててくれるとかそんな魂胆でやり通す気だったんだろう。
「おいおい何でそう思うんだ。あんなアホがそんな事わかるわけがないだろう。それに誰もそんな事…」
「うん知ってるよ。」
「…………あ?」
「やっぱりな。じゃあ何で蒼脊はそれを今日の朝嘘ついてたんだ?何か訳でもあるのか?」
「おい!何でそんなあっさり言っちまうんだ!」
「え?だって黙ってる必要なくないかな?というかまずこの事に関しては聞かれなかったしね。」
「いやその前に蒼脊それは別に隠す理由はあるのか?正直早くに言って欲しい。そうすればさっきのもすぐ様に海未にも来てもらって対応してもらえたと思うぞ。」
「ううんそれはできないんだよ神楽坂君。」
「何でだ?」
「み〜うちゃんは確かにこの件について知ってるし、どうすればいいかも考えていた。でも自分がそれを対応した所でどうにもできないとちゃんと分かってるんだよ。」
「は?いやどうにもできないかどうかはわかんねぇだろ。朝の騒動、蒼脊が海未の名前を出したらすぐ様にあの場から退場したぞ。だとするなら海未が対象として大会までそばにいてやれば…」
「ふぅ〜神楽坂君。君頭がいいんだからコレまでの事をよく考えて思いだして、そうする事ができない理由ぐらい直ぐに分かるんじゃないかな?」
「………妹が虐められて保健室登校しているのに、それができない理由?………部活関係か?」
「お!そうそう、なんだ普通に分かってくれてるじゃん。その通り、み〜うちゃんは今の部活で今名を轟かせる有名人…それに今流行りのスポーツで妹ちゃんが虐められているのに構っている状態が続けば今の部活メンバー達はどう思うかな?」
「………連携が取れずに今の部活を辞退せざるを得なくなる。……だけどあのスポーツって確か、団体戦じゃないよな元々…」
「そうみ〜うちゃんの場合は個人戦だね。あの子のハイスペックは他の子と比べて格段上なのは間違いない。周りのスポンサーからは目に留まるぐらいの立役者だ。けれどその大会に出られるのってこの学園に入ってから後の1ヶ月に始まる大会までは我慢しなければならない事となっている。さて、コレがどう言う意味か分かるかな?」
「………君津家か。」
「ふ〜ん、ちゃんと考えたら理解も直ぐにできるんだ。物凄い判断力だね。けどそれを隠す必要性とか本当にないと思うんだけど、何で蒼脊君は隠しているのかな?」
「………単に面倒ごとに巻き込ませたくなかったんだよ。コレは俺達だけでは解決はできない。子どもがやる事に首を突っ込めば後々しっぺ返しが返ってくる。そうすれば俺達学園生での日常生活は壊滅だ。」
「だからそれが僕が何とかするから大丈夫って言ってるのに、本当に蒼脊君は僕の事を甘くみているな。」
「甘くみるつうか、もうこの事に関しては家の事情だ。ガキが関わっていい問題じゃないんだよ。というかガキ風情が何様で学園内で勝手な催し開いてんだよ。余計に事態がややこしくなっただけじゃねぇか。」
「そう?僕からしたらコレはラッキーな事だと思うよ。何せこの機会は神楽坂君のおかげでもあるわけだし。」
「俺?」
「そうここまで幼馴染達の正体に気づいてくれたことで上手く事の他の段階が早く進んだ。主に4月中に山茶花ちゃんの事を早く気付けてね。」
「山茶花に早く気付けたから事の他が上手くいったって、まさかお前既にこの事を想定していたのか?」
「まさかあくまでも段階が重なって現れた結果に驚いてるだけだよ。そもそも誰が1ヶ月以内で幼馴染3人の正体が判明されるなんて分かるかな。あんな妙な手紙だけじゃ普通そこまで辿り着く事は不可能だよ。」
それをしたのはお前達なのに、何故かありえない言い方をする東小橋川さん。当然と言えば当然なんだが、半ばそれを裏切ってコチラに加勢するそっちもそっちな気がする。
「というかお前がそう言うふうに仕向けただけだろ。完全な裏切り行為だもんなお前。」
「ちょっとちょっと僕の話しなんて今どうでもいいでしょう。今重要なのはみ〜うちゃんじゃん。そこまで僕を咎める理由が分からないな。」
自覚なしか…
自覚ないんだな。
「2人とも何か失礼な事考えてないかな。僕は至って真面目に答えたつもりだよ。」
「だとしたら尚達が悪いな。」
「ん?何で?」
「いやだってな〜と言うか言わなきゃ駄目か?」
「いえ!今すぐに言え!じゃなければ僕は君に取り返しのつかない事を起こしてしまう。」
「なら大丈夫そうだな。」
「おい!それはどう言う意味での大丈夫だ!僕を馬鹿にしているだろう。」
寧ろお前は馬鹿にされる立ち位置だと思う。
「話しの腰筋が折れてる。それで、その6月にある大会で海未が勝てば今の状況を覆せるのか?」
「そうだね。でもそれをする前にコチラはある項目を順を追って行うつもり。しかしそうだな〜妹さんが非協力的だと、色々と都合が悪くなってしまう。でもまぁそれは神楽坂君特有の女を手玉にとるというやり方があるからそこは安心だと僕は信じている。」
「おい言葉に悪意というか、俺の事女垂らしか何かと勘違いしていないか。コレでも恋人いない=女難の層があるんだぞ。」
「真顔で威張れるとこかそれ?俺からしらたら憎たらしいったらありゃしないという聞こえにしか思えんぞ。」
「僕はいい意味での言葉を使っている。そう言う風に捉えると言う事は心の中でやましい事があるからそう思うんじゃないかな?例えば幼馴染の誰かに告白されたとか?」
「ないな。」
「そうだよねやっぱりあるよね……え!ないの!?」
「いや一度もないぞ。強いて言えば昔山茶花に好きだと言われた事があるが、あれは単なるゴッコでの言い方だからな。告白とは到底言えんな。」
お前からしたらそうかもしれんが、今の状況でそれを言うか普通。
「………神楽坂君落ち着いて話しを聞いて、君は今周りにいる超絶美人で抜群のスタイルを持つ幼馴染の私と綺麗で可愛い幼馴染が4人いるんだよ。」
「お、おう……というかさりげなく、自分に妙な露骨なアピールをする意味あるかそれ?」
「ないな。と言うか固定されている部分が尚更意味が分からん。そこまで超絶美人ではないし、何よりトラブルメーカーのお前に関しては数100人程度の奴から言い寄られてないだろう。」
「………え?」
それでも数100人なんだ。というか学園の規模からしたらそれって物凄い数なんじゃ?
「あれれ?もしかして妬みなのかな〜僕がモテすぎて、ヤキモチ妬いてる感じなのかな?〜それとも〜ただの悔しかっただけだったりして〜」
「このやろう〜人が1番気にしてる部分にズカズカと介入しやがって…いつか酷い目に遭ってもしんねぇからな。」
「おい話題線が完全にズレてるって、そんなモテたりモテなかったりの話しなんかどうでもいいだろう。」
「どうでもよくない!」
「どうでもよくないだろう!」
「お、おう…」
何故その部分だけ息ピッタリなんだ。もしかしてこの2人本当はそう言う関係なんじゃ……
「第1お前は俺がいつもしようとするところを邪魔してばっかなんだよ。俺が掴んだ情報網をお前は上手く改善して、勝手に誤認の情報が散らばったりするから俺がどんだけ必死こいて情報を掴み直しているのか分かっているのかよ。」
「そんなの知ったこっちゃないもん〜だって僕コレでも恋愛相談者なんだよ。そんなの周りから勝手に流れてくる情報が勝手に垣間見て知ってただけだし、それに蒼脊君が周りに対して無頓着なだけなんじゃないかな?」
「なんだと!」
「何かな?」
………あ〜そうか成る程何かよくある光景を思いだしてしまった。コレ兄妹みたいな喧嘩だ。ただのじゃれあいにすぎないんだな。でもなんかコレはコレで微笑ましい…
「たくお前に一泡吹かせようと一星と一緒にお前の無謀なイベントに参加したってのに、本当に全然上手くいかなくて最悪だったぜ。」
「え?お前あの時のイベントって、東小橋川さんに協力もしてたんじゃないのか?」
「ああ〜アレはまぁ建前だな。ああ言えばコイツは直ぐに承諾する。でも絶対に信頼しない奴には任せたとしても自分で勝手に解決しちまうんだよ。本来ならあの勝負お前と2人合わせで勝つつもりだったんが…上手く誤魔化されてしまったな。」
そうだったのか…あのイベントにそんな裏があったとは……うん?じゃあ蒼脊も東小橋川さんが男性恐怖症の事について知っていたのか?だとしたらそれにつけこんで、いくらでも妥当できたのに、何でそれをしなかったんだ?
「ああ〜いいのかなそんな暴露話しして〜ほら神楽坂君困惑しちゃってるよ。」
「いや困惑というか、疑問があると言うか……いややっぱりいい。」
「???何で僕の顔を見て首を傾げたの?」
「……ああ、まぁそこまで深く考えてるような奴じゃないと今ふと思っただけだから大丈夫だ。」
「な〜んだそうなんだ。………ちょっと待てそれって、軽くいなされてないかな。」
「なんだ今更気付いたのか己の馬鹿さ加減に。」
「蒼脊君には聞いてないよ!プンスカプンスカ!」
「はぁ〜あのさ、真剣な話で色々と脱線させてお前らもしかしてワザとやってないか?」
「そんな事ないよ。寧ろちゃちゃを入れてきてるのは蒼脊君の方だと思うよ。まぁその辺が馬鹿だから仕方がない所でもあるんだけどね。」
「よし、表に出ろ!今すぐそのふざけた脳みそを叩き潰してやる!」
「ふふ、僕に勝負を挑もうとは無謀だと思わないのかな。この単細胞頭め!」
「………お願いだから、話の腰をこれ以上折らないでくれ。」




