問題とするべき点
本人無しでの事後報告は正直答えられる範疇を掴むのが中々難しい…何となくのニュアンスで答えるしかないな。
「ではまずその場での状況できる限り詳しく説明して下さい。」
「できる限りと言われても……周りの人達が、下駄箱付近近くのトイレで、何か騒いでるのを聞いてふとその場へ近寄ったら香澄……葉月さんが女子3名にリンチに合ってるのをみただけだ。」
「まぁおおよその範囲内での答えですね。」
おおよその範囲内って、他にどんな範囲での答えがあるんだ。
「それでそこからあなたはどうしたんですか?」
「周りの生徒から話しを伺っていたなら、知っているんじゃないのか?その場で見てもたってもいられなかったのを俺が声をかけたんだ。あまりにも周りの奴等は何故止めないのかと気掛かりになって我慢できなかったからな。」
「つまりその中にいる君津家さんに全く知らずに声をかけたという事ですね。」
「それはあれか?そいつが財閥関係だからなのか?」
「へ〜その話は誰から聞いたのですか?少なくとも私はその話をした覚えはありませんが?」
「俺が教えたんだよ。一星が何も知らずに声をかけてるのを見かけてな。それで俺が介入したんだ。向こうは向こうでちょっとばかりカマをかけたら引いてはくれたがな。」
「成る程あなたなら確かに教えていたとしても話がつきそうですね。財閥関係でいきなり素性を出すのは禁物でしたよ神楽坂さん以後気をつけて下さい。」
理由を聞く必要はありますか?みたいなドヤ顔をしやがって……けど今のは確かに俺が迂闊だった。向こうも当然しっての事だから早めに話の解決を持ち出そうとしたまでの考えはいい…でもその辺に関しては予め知っていたのではと疑いをかけられて首謀者ではないかと疑心暗鬼がかけられる。まぁあくまでも向こうの考えで想像しているだけだが…遠くはない考えだろう。
「後お前そう言ったカマをかける様な質問はやめろ。ここにいる集められた俺達に対して何とも思わないのか?」
「カマ?何を言ってるのかさっぱりわかりませんね。私は単に質問をしているだけです。勝手に憶測な事を言わないでいただきたいですね。」
「だとさ、宇佐木田お前の書紀ちゃんはこんなにも憎たらしいやつなのか?」
「う〜ん……そう言うわけじゃないんだけど…でも何だか木葉ちゃんらしくないと言うか…切羽詰まってる感じはするわね。と言っても本当にさっきの流れではただの質問しかしてないかもしれないよ蒼脊君。」
「まぁ普通ならそうだな。けれど、朝に見かけた生徒から話しを聞いてるならわざわざこの質問の流れはおかしい、聞く必要性もないし、なんなら疑われる筋合いもない…何故なら大半の奴等は権力を翳した相手に刃向かった一星が1番正しいというのをそこの書紀ちゃんが1番理解しているはずだからな。」
「ぐっ……本当にやりにくい相手ですね。少しは空気を読めないんですかこの人は……副会長と火花先輩のお友達だからと少し遠慮していたのに、こうもめんどくさい人とは…やはりこの人といたらまわりくどいやり方はできませんね。」
「俺がいようがいまいが関係ないがな。一星の方が周りの情報判断に長けている。それをお前も1番よく知ってる筈だと思うけどな書紀ちゃんなら…」
「ええ、神楽坂一星さん稀にいるかいないかでの、編入試験で驚くべき合格点をとった人です。先生や生徒会の人達にとっては注目の的ですよ。」
「………」
「え?神楽坂君ってそんなに頭良かったの?」
「何で副会長が知らないんですか…資料送ったじゃありませんか…」
「そ、そうだったかな〜あはは…」
復讐の事と神楽坂君がこの学園にはいる事での嬉しさで完全にすっぽ抜けちゃってたわ。後で確認しておかないといけないわね。
「いやそこまで大した点数は取って…」
「謙遜はよせ、この学園での編入は相当頭が良くないと入っては来れない。ましてやただの転入生が取る点数ととは訳が違う。私からしたら水泳の天才がお前の骨頂部分だと思っていたんだがな……いったい何をしたらあんな妙な点数を取れる。」
「………あまり昔の事については話したくありません。でも強いて言うなら親にできるだけ勉強だけはしとけと、水泳を辞めるなら頭を賢くしとけと言われたので、粉骨砕身我が身をかけて必死に努力してきました。」
「………ふっ笑わせてくれる。お前が努力という単語で片付けてくるとはな……こりゃあ才色兼備の生徒会長もおめがねにかなうわけだ。」
「あの〜俺の話しより今は葉月香澄の話しなのでは?」
「おっとそうだそうだ。まぁ変に勘ぐりを入れてしまったが、ここからが本当の本題というわけだな。」
単に疑われて確かめられただけか…挙げ句の果てに勝手に人の頭が良いやらどうたらこうたら言ってくる。何なんだ本当に…
「葉月香澄の今の問題点…まぁ朝の問題も含めての話し合いではあるが……ひとまず捻った話しをしようか、葉月香澄が問題児になっているのはお前達自身知ってるやつもいればそうでないやつもいる。そもそも何故アイツが保健室登校なんてしているのか疑問に思った事はないか?」
「そりゃあやっぱりあの虐め三馬鹿が原因だろ?それも権力を翳してるあのいけすかない奴…」
「まぁそうだな君津家の家は言わば私達学校からしたらお得意様の場所だ。そうむげにできる事はできまい…」
「いやいや教師として言ってはいけない言動ですよねそれ…というか教師なら生徒の事を第1に考えるのが普通なんじゃないんすか?」
まぁ当然と言えば当然だな。春野原の言う通りいくらお得意様というか、学園での立場が上だとしてもその部分ではちゃんと抵抗するのが術だとは思う。それで権力を逆手に好き勝手するのは垢間違いだ。
「ですが、先生その香澄ちゃんをこのまま1か月近くもそのままというのはあまりに酷い話ではありませんか?あっち側がやってくるのなら、証拠さえおさえればどうとだってできるんじゃ…」
「残念だが、ここの教師の一部はほとんどがおざなり状態…かと言って学園長はまだこの学園に帰っては来ていない。」
「?帰って来ていないって、でも全校生徒の挨拶ではいましたよね?」
「ああ〜ちょっとした仕事が学園長にはあってだな。それで今は席を外している。だから今やれる事とはできるだけ、葉月香澄の心を折らない様に何とかしなければならないという結論には至るわけだが…」
「まぁその先生がお困りだからこうして天才と次期天才そして関係者である俺達の意見を聞きたいとそう言うわけですか?」
「すぅ〜はぁ〜察しがよくて助かるよ。まぁそれに関してはお前達でケアをしてくれると思っているから何も気にしてはいない。問題なのがparadise Skyについてだ。」
「???paradise Skyがどうかしたんですか?」
「それにあの君津家が参加募集に応募した。この事をお前達に伝えたくて今回先に集めさせた経緯もある。」
「じゃあ朝の件については建前という事ですか?」
「朝の件に関して特にお前達のせいにするつもりも疑う必要性もない。勝手な事をするお前達ではあるが、決して人を傷つけるような事を起こしたりはしないと私は既に把握している。まぁ役一名は除くがな。すぅ〜はぁ〜」
「…………え?それ私の事ですか!?というよりいい加減にしないと追い出しますよ。」
成る程コレと言って裏があったわけじゃなく単にあの子に疑われていただけで合って、勝手にやって潔白の証明をして場を収めるのを待っていたわけか……この人も中々達が悪い…幼馴染達と対して変わらないじゃないか。
「あ〜だったらちょうどいいかもですね。コレこそグットタイミングというやつですよ。」
そう言って東小橋川さんは前へ出てコチラの話しへと加わる。
バン!
「あ?何だこの資料は?」
差し出された資料に目を通す小萌志先生。その内容に目を通し何やら納得した顔で東小橋川さんの方へ視線を向ける。
「たくお前はやりたい放題だな。コレをそのまま通せるとでも思っているのか?」
「はい。その為に持ってきたんですから。」
「悪いが前見たいなゲーム形式を起こさせる訳にはいかないぞ。コチラも首が関わってるからな。」
「成る程成る程。確かにこのまま私が出した資料をそのまま通してしまえば、先生達は藻屑となってしまうでしょうね。そんな大規模な事をこの学園で行えば学園長は黙ってはいられません。でも今更って感じがしませんか?」
「………本当に嫌な奴だよお前は…特に生徒として本当に厄介な部類なやつだよ。」
「………」
やっぱり東小橋川さんはこの学園で何かしらのカギを握っている。それが何かはわからないが先生達を掌握している様にみえる。となればこの学園での何か関係しているとかか?もしくは弱みを握っている。この2つのどちらかの可能性ではあるが、どう考えても裏が取れるはずがないな。
「仮にこの資料を通すとして、目的はなんだ?ただ単にparadise Skyを開催するわけではあるまい。お前の友人の葉月蒼に沿って開催するというのなら…その個人的な趣向はやめろ。やけどするのが目に見えている。」
「ふふ、当然蒼ちゃんの為だけにやるつもりなんて毛頭ありませんよ。コレにはちゃんと裏付けがあります。それも今ここで私達が話している最中としてね。」
「初心者向けのparadise Skyでのバトルロワイヤル。どう考えても話の筋がみえんがな。」
「でしたら今からそれを証明してみせますよ。ほら2人とも入ってきて。」
ガチャ!
「………」
「………チッ」
は?マジかよ。東小橋川さんいったい何考えてんだ。何でこの2人を…香澄ちゃんと君津家を呼んだんだ。




