蒼脊の立場
ついああって言ってしまったが、美森様?ど、どう言う事だ?
「美森様ってどう言う事だ?」
「え?イックンも何かこうビビってきたから美森様って納得した感じの言い方をしたんじゃないんですか?」
「いや言わんとすることはわかるが、その美森様という定着した名前は前からあるのか?それはお前が独雄で言ってたりしてるんじゃないのか?」
「ああ〜一星君実はそれね。ちゃんとした由来があるんだよ。まぁコレに関して由来と言ってもおかしな話しなんだけどね。特に海未はそう言う感じの漫画やアニメに興味惹かれて美森ちゃんの事をそう言ってるだけにすぎないんだけど…」
「じゃあ周りからは特に美森姉の事を様付けで呼んでると言う事は無いって事なのか?」
「う〜ん……まぁ2、3年はかな。」
「………え?もしかして一年の間ではそう呼ばれてるという事なのか?」
「みたいだな。まぁ発言した場所を特定するのは直ぐに分かったから別にとやかく聞き回る必要もなかったし、たった1ヶ月でそういった噂が流れてるのも凄いとか思ったりもしたしな。さすがはparadise skyのエースってとこだなって思った。」
「それ関係なくないか?」
つまり海未は美森姉の女帝いやお嬢様でもないな…女王様みたいなのと思ったのか、それで美森様だと認識して様付けをする様になったと言う事か……
「けどそれを実際本人の前で言ったらどうなるんだ?まさか本当に女王様気質になったりするんじゃ…」
「ああそれは大丈夫大丈夫。美森さん寧ろそう呼ばれて困ってる方だから。」
「困ってる?あの美森姉が?」
「一星君…美森ちゃんの事物凄い勘違いの認識になっちゃてるね。」
少し困り果てた顔で話す山茶花。何やらお互いの相違があるみたいらしく、こっちの勘違いがあるみたいだ。しかしそれが勘違いどうかなんて、今のを見て勘違いするのは仕方ないというか何と言うか…
「美森様は困ったりしてませんよ。寧ろ喜んで私がつけた様付けを承諾してくれたんですから。やはりもっと美森様の寛大さを周りに広めるべきだと思います。」
「あ〜俺が言うのもあれだがそれはやめておけ海未。今のでもう大体わかった。うん美森姉はちょっとした純粋の押し付けに負けてしまったという事だな。」
「???どう言う事ですか?」
「いやこっちの話しだ。」
ひとまずここで俺達の久々の幼馴染で集まる会みたいなのを終わらせ一緒に教室へと向かう中俺はこの面子ならあの事を聞いても良さそうだと思い教室へと戻る最中聞いてみる。
「ん?天才特権って何がだって?」
「ああさっきはその天才達が使える特権みたいなのを言っていたが、それだけで俺を強制的に参加させるなんて事普通無理だろう。なのにそれがあれば有効ってどうもその話胡散臭いと思ってな。」
「まぁお前が言うのも分かるな。そんなで自身が縛られるというのも甚だおかしいって言いたいんだろう?それにそんなの何の証拠になるとでも思ってるんだよな。」
「理屈的にはそうだな。」
「それがなっちまうんだよな。この学校では…」
「まさかここにいる3人も含めて権限みたいなのがあるとか言わないよな。」
「正解〜しかも俺がそれを管理している立場である限りコイツらの有言実行は必ず行われる。というかあの東小橋川が行ってたイベントみたいなの覚えてるだろ?アレもアイツの実行係でやれる唯一の立場で動かせるものがあるんだ。まぁアイツのが1番管理したくない物でもあるんだがな。」
「管理って…別にお前天才とかでもないのにどうしてそこまで運営みたな役割に立っていられるんだ?」
「ああそう言えばまだ話してなかったっけか、俺の爺さんここの理事長なんだよ。」
「………な、なんだと…」
蒼脊の祖父がここの理事長だと?そんな話し一回もしていなかったじゃないか。
「お前まさかそれをずっと隠していたのか…」
「侵害だな聞かれなかっただけだろ。ここまで俺が不用意に動いていたにも関わらずお前は敢えてそれを聞かなかった。もしくはここは特別な学校だから聞くだけ無駄だとそう思っていたかもしれんな。」
「察しがいいじゃないか…じゃあ何かさっきの天才特権というのを無視してしまったら…」
「ああ少なくとも立場場おまえがこの学園での居心地が悪くなるかもしくは退学させられる可能性がある。まぁそれがあの2人のやり方だったらな。」
まぁそうだよな。ここにいる3人はそんな事し無さそうではある。けれど、海未は頑なに俺を無理矢理参加させる気で幼馴染達全員を集めて俺をparadise skyへと参加させる様にした。海未はもしかして退学という口実ができたら嫌でも参加してくれるとまさか分かって俺達を集めたとか思っていたんじゃないだろうか……ただの憶測ではあるが…
「………」
し、知らなかったそんなのがあるなんて…ただの紙切れか何かの意味なのかとばかり思っていたからあまり気にしていなかったけれど…私達の立場上ってそれなりに有益に事を噛ませる事ができるんだ。
「というかそれを知っててあそこを集めさせたのなら達が悪いんじゃないのか海未。」
「何の事ですか?私は単に皆んなの同意を貰えたらと考えていただけですよ。それに私イックンを退学なんてさせたりしませんし。何より勉強が苦手なのは私の方ですから…」
「そっか海未って推薦でここに入ったもんね。だとしたら中間はどうしてたの?何もこっちにきてなかったから大丈夫なのかなって心配してたんだけど…」
「それは勿論根性ですよ!根性でなら何事も乗り越えられるんですよ。」
「まぁ赤点ギリギリを回避したんだから本当に根性で乗り切ったんだろうな。」
「う〜次は赤点回避できるかどうか自信はありませんが、それでも頑張ってやってみます。」
「…………」
不安しか感じ取れんな。でも天才が赤点ギリギリと言うのも正直笑える部分があるから敢えて言わないが…でも一年の内からこの調子じゃ先が思いやられるな。
「まぁだから俺がいての天才特権回避役でもあったりするんだがな。」
「どう言う事だ?」
「お前が無理に参加しなくても済む方法もあるって言ってるんだ。」
「えーー!!それはどう言う事ですか!」
いや寧ろ叫んで驚きたいのはこっちの方なんだが…いや叫ぶ程の驚きはしないが…でもそれが可能なら…
「だ、ダメですよ!それじゃあさっきの話は何だったってって話しになるじゃないですか。」
「まぁそうだよな。だから少し趣向を変えたやり方で天才特権を別の主軸で使えばいい、例えばお前らが付き合ってる程で使うとか…」
「それはダメ!」
「それはダメよ!」
「ええ!ダメなんですか!」
「いや意味が分からんしそんな使い方で誰が納得するんだ。……ん?今何か誰か疑問ぶつけなかったか?」
「まぁそうだよな。意味分かんないよな。ちょっとおふざけを入れてみた。ひとまず変に乱用しない様にはするとして、一星悪いが今回は付き合ってやってくれ、他の奴等の復讐に付き合ってるんだ。今回もその体でって思ったらまだ納得いくだろう。言ってしまえば海未の埋め合わせとでも思ってくれればいい、あまり天才特権の事で深く考える事はねぇよ。」
「いやそう言われたら…こっちも何も言い返せなくなるだろう。というか別に海未は復讐どうのこうのってわけじゃないからそう言う割合方は本人にとってあまり乏しくないんじゃないのか?」
「いえ!イックンが参加してくれるのならどんな理由でも構いません。それが私の望んでない復讐だとしてもそれで大丈夫です。」
「い、いいのかよそれで…」
「決まりだな。まぁ天才特権は今回不問という形にしておくから気にすんな。」
「いや気にすんなって言われても…」
「あの2人がそんな物を使ってお前を無理矢理退場させると思うか?もっとアイツらを信頼してやったらいいんじゃないか?」
「………あ。」
そうだ俺はあまりにも幼馴染に対して用心深くに注意を払っていた。にもかかわらずそのせいで信頼性を少しばかり疑う癖がついてしまって昔の関係性をあやふやな形にしてしまった。
「すまん。お前の言う通りもっと幼馴染の事を信頼すべきだよな。仮にも俺はたった少しの付き合いでも長年ずっとお前が側にいたんだ。そりゃあお前が美森姉達の事分かってて当然だよな。」
「そんな事ないよ!」
「そんな事ないわ!」
「うわ!ビックリした。」
突然前のめりにコチラの顔を覗き込む山茶花と宇佐木田さん。コチラの言う事に思いっきり否定の言葉をぶつけてくる。
「神楽坂君は私達の事確かに約束は破ったかもしれない。でもちゃんとこの街に帰ってきてくれた。それってここで一緒に過ごす価値観と向こうにいて私達の事を思う価値観は違う筈だよ。」
「うん。火花ちゃんの言う通り私達はどんなに離れてても神楽坂君がいつでも側にいると思ってここに帰ってくるのを待ってた。だから過ごした日数や年数なんて関係ない。大事なのは相手を思う心だと思う。別に蒼脊君がいたから幼馴染の事を見ていて分かるというわけじゃないのよ。見ていて分からない事もあるの…だから神楽坂君はコレから私達の事を見て、それで昔の私達を重ねて今の私達に何かを感じ取れるなら、それはきっと別の意味で幼馴染の事を本当の意味で理解したと言う事になるんじゃないかしら。」
「…………2人とも」
そうかそんな解釈もできるのか…俺はもう離れていてただの厄介者扱いだとばかり思われていたが…復讐という口実を生み出して今の自分達をより見てほしいと言わんばかりのアプローチ……なんて考え方は安直かもしれないが、今の流れだとそう思っても仕方がない解釈にはなると思う。だからコイツらには何があってももう一度昔の幼馴染という概念を俺に植え付けさせていたのかもしれないが、それはまぁ後々に取り戻せばいい…今はまだ解決していない幼馴染の案件があるからまずはそれを片付けてからにはなるがな。
「うん!うん!やっぱりイックンは私達のリーダーでありヒーローですね。ね蒼脊君。蒼脊君?」
「ああいや何か地道に傷付く事を言われたなと思ってな…そうかアイツら俺の事そんな風に思ってたのか…というか俺が一星にフォローした意味よ……」
「そんな事ありませんよ。蒼脊君は蒼脊君なりで良い役回しにもなっています。十分に誇っていいと思います。」
「お前のその天然な発言には試みる事があるよ本当…コレが悪意がないんだから尚更だな。」
「???私何か変な事いいました?」
「いや何も…」
逆の意味で捉えれば俺は立役者として必要にしか聞こえないんだよな。この空気の中で意図すればな。
「………は!私蒼脊君に脇役だって言ってしまったと言う事ですか!」
「うん別に気づく必要もないしそれをわざわざ口にする必要もないな。というかいい加減に物事への発言の遠慮無さを覚えろお前は…」




