面倒くさい姉と面倒くさい妹の歓迎のおもてなし
東小橋川さんを送り届けそのまま帰ろうとした瞬間まさかの東小橋川さんの姉が登場し、この場をどう凌ぎきろうか考えていると…
「林音ちゃんそちらの男性は?」
「あ、コチラは幼馴染の神楽坂一星君。一応ゲームでのライバルだよ。」
「あら〜それじゃああなたが昔やたらと林音ちゃんのヒーローヒーローと言っていた男の子なのね。ようやくお目にかかれて嬉しいわ。でも林音ちゃんあなた男嫌いなのにこの子は大丈夫なの?」
「え〜とまだ確実ではないんだけど、まだ神楽坂君なら平気という所までは来ているかな。」
え?そうなのか…若干とまでなら言ってはいたけれど、平気という所までは今初めて聞いたぞ。
「そうだ!良かった家に上がっていかない?送ってくれたというお礼も兼ねてご飯をご馳走するわね。」
「ビク!」
「え?本当ですか。」
「ええ勿論よ。だって林音ちゃんがうちに男の子連れてきたのなんて初めてなんだから是非上がって頂戴。」
家………何処から何処までが自分の家なんだろうか…ここのマンション範囲がデカすぎて分からん。
「もうお姉ちゃんいいよ。僕が料理して神楽坂君におもてなしするからお姉ちゃんは大人しくしといて…」
「え〜お姉ちゃんが作りたい作りたい作りたい!」
なんだこの可愛い小動物な大人は…ちょっといいかもとか思ってしまったじゃないか。後無闇に揺らすその胸はやめてほしい。
「もう分かったから…けど妙な物を入れたら即静止するからいいね?」
「は〜い。」
あれ〜どっちが妹でどっちが姉なんだ?何か逆にしか見えないんだが…
「後神楽坂君。」
「な、なんだ?」
「お姉ちゃんのオッパイガン見しすぎ、少しは秩序とか持ったらどうなの?」
「それをお前が言うか?」
「ごもっともでした。でもそれとこれとは話が別だから。」
まぁそうだよな。男と女での視感はやはり別々だって事だよなうん……というかどうしよう美森姉に言われておじゃまされるような事はしないでさっさっと帰れと言われてたんだが……流れに流れるまま家へと案内されてしまった。まぁ食事だけだし何も問題ないだろう。何をそんなに注意していたのかはわからないがきっと単に苛々で言っただけだよなあの時の美森姉は…
…………ピコン!
エレベーターに乗った俺達はこのマンションの何処に自分の家?があるかは分からないがそこへ案内される為にその階へおりながら世間話をしていく。
「へ〜それじゃあつい最近この街に戻ってきたのね。」
「はい。久々すぎてまだ昔の街の馴染みに慣れたいと言いますかやっぱり中々土地勘は戻ったりはしませんね。」
そんな話しをしつつやたらと長い間歩いてる内にようやく自分達のいる部屋番号が書かれた場所に到着したのかそこへ足を止め長い事その場所に視線を寄り付かせ眺める。
……………
「あ、あの〜中に入らないんですか?」
「…………」
「あ、あの〜お姉さん?」
ガチャ!
「え?」
中へ中々入ろうとしないお姉さんに声をかけても反応しないので2、3回程声をかけたのと同時にまさかのそのまえの扉が開かれ人が出てくる。
は?ここ東小橋川さんの部屋じゃないのか?
「…………」
「…………」
今度は出てきた人も含めて2人で何故か視線で見つめ合いながらまるで蛇に睨まれたかのように硬直しながら微動だにせず、俺はつい声をかけようとするのだが…
「ま、またですか?」
「へ?」
まさかの扉を開けた人にそう言われ、何かに気付いたのかお姉さんはコチラへ振り向きながらとんでもない事を口走る。
「ここ私の部屋じゃなかったみたい。どうやら違う階に来ちゃったみたいね。」
「…………」
「…………」
なんだと?
俺と扉を開けた住人が声を揃えてなんだと?と答え何言ってんだこの人と俺は思い逆に向こう側の人は恐らくもう何回目だよと言わんばかりの目で頭を抱えこんでいた。と言うかこのマンション自体東小橋川家なんじゃなかったのかよ。
てか向こうも同じなんだよ?とかの発言はきっともう呆れてのなんだと?なんだと思う。
「2人とも〜勝手にいなくならいでくれるかな。勝手にズンズンと言っちゃうんだから。家の鍵を探している間ちょっと待ってて言ったじゃん。」
「いや知らんし聞こえんかったぞ。いつからそんな事言っていたんだ。」
「靴紐直してる時。」
「…………」
「な、なんだよ!その残念な者を見る目は!」
「もういいから早いとこ、え〜とお前ん家に行くぞ。ここでは恥ずかしさが目立ちすぎる。」
「あ〜うんそうだね。何かうちの姉がご迷惑おかけしました。」
扉から出てきた人は大丈夫大丈夫もう何回もだからと最早あきはめついた言い方をして尚且つコチラの姉の方はどうしたんだろうというまるで詫びれもなさそうな顔をしながらキョトンとしておりほぼ関係のない俺が代わりに謝る事となった。………何で俺が謝らなきゃならんのだ。
…………東小橋川姉妹の家(部屋)
「お、お邪魔します。」
「どうぞどうぞ〜」
中へと案内する事もないような返事をする東小橋川さん。まぁそんな感じだろうなとは思っていたけれど、逆にお姉さんの方はスリッパを出してきて丁寧にご案内する。コレがどうこの姉妹での中身が違うんだとそう感じつつも俺は絶対に口には出さず喉の方へと飲み込みつつ我慢した。
「…………」
「ん?どうかした?」
「何かもうどっちが姉でどっちが妹なのかわかんねぇなと思ってな。」
「ちょいちょいそこんとこ詳しく聞こうじゃないか。僕とお姉ちゃんとの違いについて詳しく聞こうじゃないか。」
「そこ重要か?単に性格がまばらだなと思っただけだよ。お姉さんの方は清楚正しいのに妹の方はなんというか大雑把というかなんと言うか見た目だけは上級並みなのにな。」
「見た目だけは上級並って、それなら僕のお姉ちゃんだって同じじゃんかよ。」
「そうだな。でも何処か天然ではあるけれど、やはり清楚な部分は違うなお前と違って。」
「おい喧嘩売ってんのか?」
「はいはい2人とも喧嘩しないの〜ご飯作ってあげるからもう少しだけ待っててね。」
「あ、何かすみません。」
「いいからいいから今日はシチューだから楽しみに待っててね。」
「あっ待ってお姉ちゃん今日も僕が料理を…」
「だ〜め。いつもお姉ちゃんの邪魔するんだから林音ちゃんは。今日こそお姉ちゃんに任せて。」
「…………」
え!?何でお腹を抑えなが悶えてるの。何…あのお姉さん何か変な物でも作る気なのか?いやでもさすがにコレはフリだよな。妙な物を作るという見せかけの本当は美味しいシチューが出てくるというパターン…
ドン!?
「お〜の〜」
「…………」
出てきたシチュー?みたいなのが役30分程で出てきて俺はつい驚愕しつつ東小橋川さんは溜息を漏らしながら困った顔をする。
「2人とも食べて食べてお姉ちゃん特製シチューだよ。コレを食べた子達は度肝抜いて倒れちゃうんだから。」
それは多分あまりにも思いがけない味で倒れてしまったと言う事ではないのだろうか。いや今自分も今まさにその体験を味わうわけなのだが…
「神楽坂君無理して食べなくてもいいんだよ。お姉ちゃん自分の料理がゲロまずだって事に全然気付いてないから。」
「林音ちゃん〜聞こえてるよ。」
笑顔のまま声色ひとつ変えずに東小橋川さんの方を見るお姉さん。………普通に怖い。
「くっええいままよ!覚悟を決めろ俺。男ならコレぐらいの窮地乗り越えてみせる。」
俺は熱々のシチューっぽい物をさましながらゆっくりと口の中へと放り込みそのまま噛み締めるようにして食べるのだが…
「す、凄いお姉ちゃんのよくの分からない不出来なものを躊躇いもせずに食べるなんて、まさに笑い頂点の鏡だね!」
「林音ちゃん〜後で私の部屋でゆっくりとお話ししようね。」
誰がお笑いの頂点なんだ。そんなものを目指した覚えはないぞ。……というかよく噛み締めたら特にコレと言って何かまずいという訳でもないな。あれ?じゃなんなんだこの妙な物体の味は?
「モグモグ……うっ!」
「ど、どうしたの神楽坂君!そんなお腹に何か刺さったような顔は!」
「ねぇ林音ちゃん本当にいい加減にしないと怒るわよ。」
ひゅるるる〜
ドサ!
「た、倒れた!?神楽坂君しっかりして!」
「………やっぱり私の料理は頂点にも昇るくらい美味しいシチューだったのね。」
「何上手いことポジティブ思考で考えてるの!どう考えても食あたりでしょうこれ!ほら神楽坂君水だよ。水飲んで!ってちょっと体温下がってるよ!どうしようどうしよう!」
「………さ〜て私買い出しまだあったのを思いだしたわ。ちょっと出掛けてくるからお留守番お願いね。」
「に、逃げた!さすがの妹の僕でもビックリだよ!」
な、何たが意識が朦朧として…何か騒いでいたりするがもう何も気に留める気がおきん、というかもうこのまま眠って……
…………
「………は!?ここは!俺は今何をして。」
「良かった〜ちゃんと起きてくれて…」
「俺寝てたのか?」
「うん5分程意識飛んでたね。ビックリしたよもう…本当お姉ちゃんのゲテモノ料理は困ったもんだよ。それに挑戦する神楽坂君は本当に凄かったね。まさに勇気の賜物だよ。」
「……とか言いながら笑いを堪えてフォローしても何も感じねえからな。」
「え〜こうやって膝枕してあげてるのにその言い草はなくない?」
「…………」
「あ今可愛くて美人の幼馴染の膝枕も中々悪くないとでも思ったりしたでしょ?」
「可愛くて美人は思ってない。」
「なんだよ〜素直じゃないな。でも幼馴染の膝枕はいいと思ったんだ。このこのスケベなんだから〜」
「………」
「おい膝枕してもらって舌打ちはないだろう舌打ちは…」
冗談でもそんな事口にはできなかった。だから敢えてはぐらかしてしまっといえば聞こえはいいかもしれないが、時たまキャラ変する東小橋川さんがうざったく感じつい舌打ちをしてしまう。……それに一瞬本当にそう思ってしまった自分を殴ってやりたいと思いつつ恐らく今弱ってる状態でそう言った思考に及んでしまったのだと再確認しこの柔らかなムチムチな太ももを堪能する。……いや俺は変態かよ!
「ちょっと〜あまり女の子の太ももを直視しないでもらえるかな〜割と恥ずかしいんだけど。」
「恥ずかしいならどかせばいいんじゃないのか?」
「そうしたいけど、弱ってる君にそんな事はできないだろ。後ここに送ってもらっといてあれだけど、それだと僕が君を送らなきゃ無さそうだね。」
「………いやいい。普通に帰れるから問題ないしお前をここに送ってきた意味がなくなるからな。てか大丈夫なのか?」
「何が?」
「いや男性恐怖症なんだろ?こんなに密着して怖くないのか?」
「そりゃあ平気とは言えないけどコレといって怖いわけじゃないんだよ。何せ君は男の子の中でも特別な男の子だから。」
それはさすがにズルくないか。いくらお互い惹かれているわけでもないのにそんな特別な存在とか言われたら少しばかり浮ついてしまうというのが男のサガだというものだが……まぁ当然この場合での特別というのは…
「ふふ〜ドキッとした?ドキッとした?勿論意味合いでは幼馴…
「幼馴染としてだろ。」
「いやまだ何も言ってないじゃん。というか人が言う言葉を先に言わないでくれるかな。」
「分かりやすい言葉を投げかけるお前が悪いと思うんだがな。あまりそう言った勘違いの言い回しはやめた方がいいぞ。」
「ほ〜ほ〜つまりつまりそれはどう言う意味での言い方なのかな〜」
「…………」
「いやそこでのガチの舌打ちはやめてくれない。さっきの舌打ちと比べて本当に心に何か来るものがあるのでやめていただきたいです。はい…」
あまりにもうざすぎた為またもや冷やかしの言葉で煽ってきた東小橋川さんに俺は2度目の舌打ちをして低めなトーンでやめてほしいとふざけた形で言われる。
「まぁその辺が別に問題ないならいいんだけどな。」
「そうそう問題は特にないんだよ〜と言うか立てそう?」
「ああ何とかな。」
そろそろ大丈夫そうかもしれないという安否の声をかけられ俺は何とかいけると応えながら1人で帰ると選択肢ちょっと考えたい事もありつつその辺は多分賢い東小橋川さんは気付いてると確信する。……まぁなんにせよ今回は東小橋川さんのちょっとした内面も知れた事だし今日はこのままコレ以上何も聞かず帰るとしよう。




