幼馴染形式バトルその9
な、なんなんだこの目つきは何か欲情みたいなのを漂わせるかの様な瞳…まさか俺東小橋川さんが…
「はぁ、はぁはぁ…」
「ふふ、息が荒いけれど大丈夫?もしかして熱でもあるんじゃないの?」
「いやそう言うわけじゃ……」
確かにさっきから妙だ。あのヌルヌルを浴びてから妙に体が熱くなったと言うか…いやでもそれに関係なく昼休み辺りから少し熱っぽい感じはあった。でも何でここまで急に熱っぽく…
「ふふ、どうやら上手くいったみたいだね。」
「!?まさか何か仕組んだのか!このヌルヌルみたいなのに何か!」
「残念だけど、コレは関係ない。あるのは昼休みに食べたお弁当…その中に何が入ってたと思う?」
「弁当だと?何か入れたのか?それで俺の体は熱くなったというのか?」
「そう人間誰しもが、一時的に体の体温があがってしまいそれに我慢できなる現象…男の子にはよくあるものじゃないかな。特に女の子に対しては効果的面な物を入れたんだよ。」
「女の子に効果的面…体の熱さ…僅かに何か情欲みたいなのが湧いてくるこの感じ……え…ちょっと待てまさか東小橋川さん弁当に何か興奮剤みたいなのを入れたんじゃ?」
「ああ〜やっぱり分かっちゃったか。そう僕が入れたのは興奮剤然り、性欲剤かな。」
な、なんて物を入れやがったんだ!道理で胸を触った瞬間何か抑えられない気持ちが溢れ出すわけだ。それにこのヌルヌル俺の予測が正しければコレはローションじゃないか。違う意味での挟み撃ち攻撃…東小橋川さんは何がしたいんだ。
「何でこんなマネをしたんだ?一歩間違えたら一線越える可能性があったかもしれないんだぞ。」
「一線越えるか…でも君はそれをしなかったじゃないか。つまり君は今ある情欲を押し留めている。それには理由があるからじゃないの?」
「理由も何も、いくら好きじゃない女の子にやっていい行いじゃないのはお前自身だって理解しているだろう。それを半ば挑発みたいにして何がしたいのかさっぱりだ。」
「このゲームは僕と君との真剣勝負…それに恋愛式バトルとも言ったはずだよ。」
「いやいやコレの何処に恋愛要素があるんだ。もろ違う方向でのバトルじゃないか。」
「いやいや残念だけど、もう始まってるんだよ。君は今僕に対して恋愛感情はなくてもドギマギしている。僕自身も君に対して動揺が隠せないでいる。と言う事はどちらかが自分の欲情に何処まで逆らえられるかが決めてになる。2分いや5分間耐え切れられれば君の勝利は確実だけど、僕の胸を触った事で君はかなり心拍数が跳ね上がってるはずだよ。」
「はぁはぁはぁ…」
「ほら、息もだいぶ荒ぶってる。コレは完全に狼になったのも当然…」
ツルン!
「おわ!」
ドン!
咄嗟の不意打ちの発言で息を荒くしながら東小橋川さんの言う通り自分の動揺が隠し切れずにいた俺はついお互いに掴んでいた手が滑ってしまいそのまま地面に向かって手打ちし壁ドンみたいな形へとなる。
「………へへ、もしかしてコレも君の企てた勝負なのかな?」
「………東小橋川さん。自分が今やってる事での勝負正直あまり良くない形式だと思う。やりようならもっと違うやりようがあったはず、それをこんな悪ふざけたやり方をすると言う事はあまりにも悪どいやり方じゃないのか?しかもこんな形式は相談されていたやつにはなかったぞ。」
「当たり前だよ。だってこんな事話したら他の幼馴染の皆んなは黙っちゃいないからね。それに…」
「それに?」
「こういった格好の方が君的にはそそるんじゃないのかな?男の子として…」
「うっ…」
確かに水着姿での柔らかそうな肌を露出している彼女に対して欲情がないわけじゃない。それを今俺は必死になって堪えている。胸を触ってしまったのはとんだミスではあるが、興奮剤を身体の中で巡る中でもこの刺激には何とか耐えぬいてはいる。でも…
「ふふ…」
何でそんな情欲を煽るような仕草で誘ってるんだ。しかも何かエロい!
僅かながらに水着のブラの片側の紐が解けそうになり色っぽい感じでこちらを見つめる東小橋川さん。……普通に誘ってるとしか思えない状況なんだが…
「…………」
「…………東小橋川さん。」
「な、何かな…」
「体思いっきり震えてる。」
「へ?」
自分自身気付いていないのかこの状況で東小橋川さんは妙なフェロモンを出してコチラを誘っているかの様にして勝負を挑んではいるが、どうやら度胸という名の中身に関しては臆病になっているみたいだ。多分このゲームでどちらかの優勢に立ちたかったとは思うが、自分を犠牲する形ではまだ覚悟が足りなかったらしい…
「こ、コレはただの武者震いだよ!単に震えているのはワクワクが止まらないから…」
ドン!
ビク!
「やっぱりな。こうやって床に拳を叩きつけたら体が強張っている。あまりこう言うのには慣れない体質なんだろ?なのになんでこんな勝負なんか…」
「………神楽坂君なら平気かなってそう思ったんだ。」
「俺ならば平気?どう言う事だ?」
「君に恋愛感情とまではいかないけど、幼馴染としてはそれなりに好いてるんだよ。でもたったそれだけで君に近づくというのはあまりにも不本意だと思う。だから何かしらきっかけがあればこうやって君に近づけられるんじゃないかとそう思ってこのゲームを開催した。男嫌いを直す為にね。」
男嫌いを直す?え…それって
「東小橋川さん男子が嫌いだったのか?」
「そう昔ね神楽坂君が引っ越しした後男の子にやたらと虐められてた時があったんだってって言っちゃったよ。隠し事なのにこう言った恐怖と興奮の感情は厄介だね。」
隠し事……つまりあの時まだ話せないと言っていたのはこの男性に対する嫌悪感の事だったのか。でもそれならそれで…
「それなら幼馴染の誰かに相談したら…」
「はは、そうだよね。うんそう思って相談した時があったんだ。でも同い年の幼馴染や下のミーウちゃんには少し抵抗があって相談はできなかった。だから年長者である美森さんに相談したんだ。」
ミーウちゃん?そんな奴いたっけ?もしかして俺の知らない間にできた幼馴染か?たまたまこの学園にいない子の名前が出てきただけなのか?
「美森姉に相談して、それで何とかなったのか?」
「えへへ、うん。美森さん曰くどうやら相手側の子が一方的に虐めてきた理由は単なる僕に構ってほしいからそうしたんじゃないかって言われた。ほら好きな子がいてその子によく虐めるという男の子特有のアプローチの仕方と一緒だよ。」
「一緒って言われてもな……でもそれだけで男嫌いになるのか?東小橋川さんは今恋愛相談式で色々と恋の悩みを解決してるじゃないか。」
「それは建前だよ。僕は嘘つきな人間なんだ。だから男の子が苦手だとしてもそこは平然を装って前へ出るしかないこんな感じにね。」
東小橋川さんは俺の腕に触りながらやたら怖い物を恐れるかの様にしてプルプルと震えながら俺の顔を覗き込む。そんな東小橋川さんを見て本当に男が苦手なんだと改めて実感がわく。
「本当に苦手なんだな。」
「だからそう言ってるじゃんか…まぁコレは僕の苗切らない態度も原因だったからね。それでその子には申し訳ない事をしたと思うし、何よりも僕の事をそんなに好きな子が現れるなんて思っても見なかったんだ。美森さんには厄介な男を垂らしこめる素質を持ってるんだねって言われて…確かにそうかもって思った。でも他にも理由はあったんだけどね僕が他の男の子に対して苦手意識を持ってしまったのは…」
「他にもってまだ何か理由があるのか?」
「そんなの決まってるじゃないの、僕のヒーローがこの街から消えた事だよ。虐められたなら助けに来てくれる昔の君はそうだったでしょ?」
「………」
そうだ思いだした。確か昔流行ったカードゲームで2人で遊んでいた時コチラの事を気に食わないやつが3人いてそいつらに無理矢理からわれてた記憶がある。女子とカードゲームしてるという幼稚的な虐めだ。その事に俺はだからどうしたって反抗して喧嘩したのも覚えてる。東小橋川さんはありがとうと言って俺は気にするなとは言ってたけど……そうかもうその時から東小橋川さんは東小橋川さんの事を好きな男子が既にいて俺がそこからいなくなったから余計に虐めの率が上がっての男性に対してという恐怖…つまり男性恐怖症になったって事なのか。
「………まさかコレが東小橋川さんの復讐なのか?ゲームという形式を利用して昔のそれも男嫌いになった事での俺に対しての復讐…それが今回の主な理由なんじゃないのか?」
「復讐?……ふふ、そうかもしれないしそうじゃないかもしれない…僕言ったよね?そんなのはただの逆恨みに過ぎないって、だからコレは単なる僕の我儘だよ。僕自身のケジメでもある。このゲームでの勝負でコレからも恋愛相談役としてみんなの頼られる私でありたい…それにはどうしてもこの場での催しが必要だった。例えそれが学園や幼馴染を巻き込んだとしてもね。」
「その決断力…どうしてそこまで東小橋川はそんな事で執着する必要がある。俺が原因というのは何となくわかるし罪滅ぼし的なのもしないといけないとは思う。何せここへ帰ってくるのが遅くなったのは他でもない俺の責任なんだ。東小橋川さん達がずっと俺の帰りを待ってくれていたならそれを返すのが筋ってもんなんだろう。」
「…………」
なんて言い切ってはいるが、俺はこんな友達想いの熱意のある人間なんかじゃない。本当は冷め切った人間なんだ。本当ならこんな言葉をかけるのも支離滅裂だとは思う。でも俺は幼馴染達ならちゃんと言える事はある。自分の様に腐った人間にはならない様にと…
「神楽坂君……やっぱりゲームの主人公みたいだね。少しくさかったよ。」
「う、五月蝿い…正直自分でも恥ずかしいんだ。一々辱める言葉をかけんでいい、それとゲームの主人公みたいなのとは違う。それだけは認識を改めてくれ。まだ俺は東小橋川さんや海未に何もしてはやれてはいない。」
「いいや、君のその言葉だけで僕はもう十分に救われたよ。確かに男嫌いは簡単に直ったりなんかしない。でも今の神楽坂君を僕はちゃんと男の子として見る事ができる。それはつまりコレから改善していけるという見込みがあるという事になる。」
「どう言う理屈なんだそれは…単にそうかもしれないという仮定だろ?男嫌いを直すならもっと他の男子と……いやコレただの懸念だな。余計な事を言った。」
「でもその言葉だけでも救われたと思うよ。何せこのゲームはここで終わりで僕の勝ちだとしてもまだ逆恨みじゃない復讐ゲームが始まるんだから。」
「なんだその偏屈な言い回しのゲームの終わらせ方と次のゲーム開催の名は………え?お前の勝ち?」




