第79話「スケジュールを調整すれば、全て受諾出来そうだ」
ジョルジエット様とアメリー様を救ってからの、長い3日間がようやく終わり……
俺はリヴァロル公爵家専用馬車で、ホテルまで送って貰った。
「777号室の、ロイク・アルシェです。ただいま戻りました」
いつもの通り、フロントへ帰った事を告げると、もはや顔なじみとなったスタッフさんが、
「お疲れ様です、ロイク・アルシェ様。 各所から手紙と伝言が届いておりますよ」
と言い、5通のホテルの封書を渡して来た。
手紙ならば、宛先を確かめ、付箋をつける。
伝言ならば、スタッフが記載したメモを入れるのだ。
「ありがとうございます」
とお礼を言い、俺は封書を受け取った。
5通って、結構な数だ。
手紙と伝言って、どこからだろう?
と思いつつ、部屋へ……
アランモーリアの初期設定で気力体力とも自慢の俺だけど、さすがに疲れた。
だが、俺は請け負った仕事をやり遂げた!
グレゴワール様からお褒めの言葉を賜り、ジョルジエット様とアメリー様は、
大喜びしてくれた。
それが何よりも嬉しい!
プロというのもおかしいが、冒険者として、大きな一歩を踏み出せた。
このままベッドに寝ころびたいのを耐え、回復魔法をかけつつ、革鎧を脱ぎ、
シャワーを浴び、さっぱりし、平服のブリオーに着替えた。
レストランへ行くか、ルームサービスにするか、少し迷ったが、結局レストランへ。
定番となったビュッフェ形式の夕食を摂る。
え?
それじゃあ、昼も夜も変わらない、芸がないだろうって?
いやいや、同じ食べ放題でも、
昼間の居酒屋『メルカートゥス』の雰囲気とは全く違う。
片や屋台風のフードコート、こなたホテルパーティー風の趣き。
どちらが良いのか?と聞かれるかもしれないが、
それぞれ良さがあるから、後は好みだ。
唯一違うのは、護衛という仕事がない分、今は腹いっぱい食える事。
美味しい料理を食べ、デザートを楽しみ、俺はレストランを後にし、部屋へ戻った。
ルームサービスで紅茶のポットを頼んだ俺。
やがてポットとカップが届けられたので、適温の紅茶を飲みながら、
まずは渡された手紙と伝言5通に目を通す。
順番から言えば、ルナール商会の依頼書からだが、
万が一、緊急的な伝言があったら、宜しくないからだ。
ええっと……入っている封筒の表に差出し人、伝言者と、
届いた時間が書いてあって、早い時間順になっている。
しょっぱなは、クラン『猛禽』のリーダー、ジョアキム・ベイロンさん。
おお、何だろう?
まだ俺のクラン入隊の件をあきらめていないのかな?
ええっと……
いつでも臨時メンバーとして加入してくれ……か。
ありがたいな!
2通目、3通目、4通目は全て冒険者ギルド総本部から。
冒険者ギルド総本部経由で大手クラン入隊の誘いが2件、断っても問題なしで、
興味があった場合、詳細は、要問い合わせか。
そして冒険者ギルド報奨金支払い新システム加入の説明をしたいか。
どちらにしても、明日、冒険者ギルド総本部に顔を出そう。
そして最後の5通目がルナール商会会頭のセドリック・ルナールさんから。
ご多忙でしょうが、依頼書の返事をください……か。
了解です!
と俺は、先に受け取ったルナール商会依頼書の封を開けたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
教えられた通り、封筒の中にルナール商会の依頼書は3通入っていた。
依頼1件ごとに1枚という形。
地図と資料も添付されている。
1件目は……王都郊外10kmの位置にあるルナール商会経営の牧場警備。
王都で人気のブランド牛、豚を、広大な牧場で飼育しているが、
ゴブリン、オークなどが襲い、被害が出ている。
警備をするとともに、牧場周囲の魔物を一定数討伐する。
報酬は種類に限らず、魔物を100体討伐し、金貨100枚。
150体以上討伐すれば金貨50枚が、200体討伐すれば金貨100枚が、
追加で支払われる。
2件目は……王都郊外15kmの位置にあるルナール商会経営の農園警備。
王都で人気のブランド果実を、広大な農園で栽培しているが、
高価な為に、盗難が頻発しているという。
仕事は、ひと晩警備して、報酬は金貨100枚。
賊を捕らえた場合、人数生死にかかわらず金貨50枚が追加で支払われる。
3件目は……王都から南方100㎞の町ジェム鉱山へ重要書類の配達。
折り返し、鉱山より上質の宝石100個を王都のルナール商会へ運搬。
行き帰り、無事に届けた場合、報酬は金貨100枚。
3日以内に完遂した場合、インセンティブとして金貨20枚が支払われる。
万が一、宝石を紛失した場合は弁償する事。
全ての依頼において、自己責任、自己負担により、
他者へ応援を依頼するのは可能。
……成る程。
魔物討伐、警備、配達&運搬か。
俺の戦闘能力、俊足さなどが評価されての依頼に違いない。
幹部社員のオーバンさんが、セドリック会頭へ報告を入れたのだろう。
また、冒険者ギルド総本部へ、問い合わせをしたかもしれない。
俺は3度、依頼書を丁寧に読み返し、資料もチェックした。
ルナール商会の依頼は、スケジュールを調整すれば、全て受諾出来そうだ。
明日は冒険者ギルド総本部とルナール商会へ訪問しよう。
依頼書と資料を読んでいて、だんだん眠くなって来ていた。
俺は依頼書と資料を封筒へ戻し、ベッドへ潜り込んだのである。
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