第78話「長い3日間がようやく終わり……」
食べ放題飲み放題のフードコート風の居酒屋、
『メルカートゥス』で食事を終え、店を出る時……
「ロイク様! 絶対にまた連れて来てくださいませ!」
「私、全部の料理を制覇してみたいですわ!」
と、ジョルジエット様、アメリー様から再訪をせがまれてしまった。
俺とアンヌさん、ジュリーさんは護衛の任務がある。
それゆえ、満腹になるまでは食べない。
しかし、食べ放題デビューをした者が、つい食べ過ぎてしまう事が多いように、
ジョルジエット様、アメリー様は相当食べ過ぎたようだ。
「ロイク様、お腹いっぱいですわあ」
「同じくですう」
ここで魔導懐中時計を見れば午後1時少し前。
約1時間30分、店に居て食事を楽しんだ事となる。
ほぼ予定通り。
立てたスケジュールを、粛々と消化して行こう。
「じゃあ、運動がてら少し歩きましょう。中央広場経由で、広場を少し見物し、ルナール商会へ戻ります」
フォーメーション、パターンは『3』で行く。
俺は手を差し伸べ、右手でジョルジエット様、左手でアメリー様、それぞれの手を握る。
そして手をつないだ俺達3人のやや後方にアンヌさん、ジュリーさんが立った。
俺は気合を入れ直し、周囲を見る。
異常なし。
索敵……魔力感知も張り巡らす。
異常なし。
ちなみに少し前に護衛の先発隊が店外へ行っており、
店の出入り口を見たら、ちょうど後発隊が出て、こちらへ。
これで警備体制もばっちりだ。
一回通った道だから、ジョルジエット様、アメリー様も慣れたのか、
あまりきょろきょろしない。
ちらと、ふたりの顔を見れば、にっこにこの上機嫌。
「アメリー、今着ているこのお洋服、凄く凄く気に入りましたわ」
「うふふ、ジョルジエット様、私もです!」
などと楽しそうに話していた。
やがて俺達一行は中央広場へ到着。
じっくり大道芸を見たいというリクエストが、
ジョルジエット様、アメリー様から出た。
なので、パフォーマンスしている脇をさくっと通った大道芸を、
今度は時間をかけて見物する事に。
……先ほどと大道芸の様子は、あまり変わってはいない。
あちこちに人だかりが出来て、いろいろな鳴り物が派手に鳴り響いている。
奇抜なメイクをした道化師はおどけた仕草で笑わせ、敏捷な軽業師は信じられないほどアクロバティックな動きを見せている。
スタイル抜群な美しい踊り子が華麗なステップを踏んでみせたり、
正装した手品師が帽子の中から数多の魔法鳩を飛ばして、人々は大いに喜んでいる。
「ロイク様。私は今まで生きて来て、一番楽しい休日ですわ」
「ジョルジエット様と全く同じです。これからは、ロイク様と過ごす休日が、一番の楽しみとなりますわ」
ジョルジエット様、アメリー様は、大道芸を見物しながら、
握った手に、ぎゅぎゅと力を入れて来たのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
市やバザー、露店などをさくっと見て……
午後2時少し前、俺達はルナール商会へ戻った。
1時間ほどVIP室でお茶をしながら休憩。
迎えに来るリヴァロル公爵家専用馬車で屋敷へ帰る事となる。
ここで、ジョルジエット様とアメリー様から希望が出た。
大いに気に入ったので、今、着用しているブリオーを買い取りたい!
というものと、選ぶ際一緒に見せて貰った服、小物などを、
購入したいので見せて欲しいと言うのだ。
今後、俺と一緒に外出する時を含め、気分転換になるとも言う。
普段、超が付く上物、高級品を身に着けていると、新鮮に感じるのであろう。
俺は少しホッとした。
いろいろな意味で。
ジョルジエット様とアメリー様が、庶民の服や小物を好きになってくれた事。
そして、お世話になっているルナール商会の売り上げに貢献が出来たからだ。
さすがに購入金は、俺が立て替えない。
他の購入品と一括請求されるそうだ。
……やがて別室で、試着しながらの買い物は終わった。
戻って来た女子4人とともに、ルナール商会社員4名が大きな包みを持っている。
購入した服、小物を持ち帰りにしたいとの事なので、俺達が屋敷に戻るのと同じタイミングで、商会の馬車が届けるそうだ。
買い物はとても楽しかったらしく、
ジョルジエット様とアメリー様は楽しそうに話している。
ここでアンヌさん、ジュリーさんから恐縮して報告が。
ついでにと、ジョルジエット様とアメリー様は、
女子騎士ふたりの服と小物も購入してくれたそうだ。
固辞したのだが、強引に買ってくれたという。
いつも警護してくれる女子騎士達に対し、慰労の意味があるのだろう。
そうこうしているうちに、リヴァロル公爵家専用馬車が迎えに来た。
帰路も護衛の態勢は基本的には同じ。
馬車の距離感はずっと縮まるが。
護衛の馬車2台にはさまれて……無事、午後3時にリヴァロル公爵家へ帰宅。
購入品を積んだルナール商会の馬車も一緒だ
上機嫌のジョルジエット様とアメリー様を見て、もろもろが上手く行ったと分かり、
グレゴワール様も晴れやかな笑顔である。
俺は、アンヌさん、ジュリーさんとともにジョルジエット様とアメリー様を部屋まで送った。
そして自分の部屋で、本日立て替えた分の領収書をつけ、提出用の書類を作成。
時間は午後4時となり、俺はジョルジエット様とアメリー様同席で、
書斎でグレゴワール様と話し、もろもろを報告。
ジョルジエット様とアメリー様は、素敵なペンダントを買えた。
楽しく美味しいランチを摂り、大道芸を見物、楽しい買い物も出来たと、
大喜びで語って貰った。
当然、グレゴワール様からお褒めの言葉を頂戴し、ジョルジエット様とアメリー様からも、改めて熱くお礼を言われた。
万事が上手く進み、俺は請求書を兼ねた書類をグレゴワール様へ提出。
グレゴワール様からは、「また宜しく頼むぞ!」と念を押されたのは言うまでもない。
別れを惜しみ、切ない表情のジョルジエット様とアメリー様からは、
「次回会える時を楽しみに、勉強を頑張ります」という学生らしいコメント。
ちなみに次回以降の依頼連絡は、
実行日の3週間前着で、ホテルあてに通知を出してくれるという。
それなら、他の依頼との折り合いもつけられると俺は安堵。
グレゴワール様から書類を受け取った家令のセバスチャンさんから、
救助報奨金、日当、手当、立替金を含めた、金貨2万525枚を受け取り、
……午後5時勤務終了。
ジョルジエット様とアメリー様を救ってからの、長い3日間がようやく終わり……
俺はリヴァロル公爵家専用馬車で、ホテルまで送って貰ったのである。
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