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第71話「入ってみれば、すぐに分かりますよ」

貴族街区のリヴァロル公爵家邸を出た漆黒の大型専用馬車。


ひと目で貴族家の馬車と分かる趣きである。


馬車に乗っているのは、御者を除き、

ジョルジエット様、アメリー様の貴族令嬢ふたりに、

護衛役の俺ロイク、女子騎士のアンヌさん、ジュリーさんの、計5名である。


ぱかぽこ! ぱかぽこ! ぱかぽこ! ぱかぽこ!


ぱかぽこ! ぱかぽこ! ぱかぽこ! ぱかぽこ!


ガタガタゴトゴト…… ガタガタゴトゴト……


ガタガタゴトゴト…… ガタガタゴトゴト……


元気に馬車を牽ひく馬のひずめが、車輪の音が、のんびり響く。


本日の外出におけるスケジュールは全て俺が組んだ。

護衛役とは共有したが、守る対象であるジョルジエット様、アメリー様には、内容を一切伝えていない。


当然、サプライズさせたいからである。


しかし、ジョルジエット様、アメリー様は大いに不満。


「ロイク様、どちらへ行かれるのですか?」

「アンヌもジュリーも、行き先を全然教えてくれないのですよぉ!」


アンヌさん、ジュリーさんは相当責められたみたい。

申し訳ないが、秘密は守って貰おう。


ここで、馬車の窓から、ちらと後ろを見る。

地味で目立たない馬車が一台、後をついて来る。


御者は冒険者風。

乗っている男女も冒険者のいでたちをした者ばかり。


彼ら彼女の正体は、冒険者に変装したバジルさんの部下である騎士達……本日の護衛担当の後発部隊の5名である。


同じく冒険者風に変装した先発隊の騎士5名は既に先に出発していて、最初の目的地へ到着していた。

俺が張り巡らせた索敵、魔力感知の気配で分かる。


この騎士達、都合10名が護衛隊で、

俺達5名とともに行動し、つかず離れずで(まも)ってくれるのだ。


正直、どこまで機能するのかは分からない。


ジョルジエット様、アメリー様のふたりに対し、

俺を入れ、トータル13名の護衛は多すぎるかもしれない。


しかし、衝撃的なジョルジエット様誘拐未遂事件があった昨日の今日。

グレゴワール様が安心して、

自分の愛娘と寄り子の娘を送り出す為の安全システムとも言えるだろう。


そうこうしているうちに、俺達を乗せた馬車は、最初の目的地へ到着した。


ジョルジエット様、アメリー様は馬車の窓から見て、首を傾げている。


「ここは?」

「職人……通りですか?」


そう、アメリー様の言う通り、

ここは様々な職人が個人商店を出している職人通りであった。


各店舗は開店はしているが、休日のまだ早い時間だから、まだ客は居らず、

人通り自体が少ない……


「朝の職人通りで、何をするというのですか、ロイク様」

「私達、何が何だか、さっぱり分かりません」


対して俺は、


「まあ、降りて行ってみれば分かりますよ」


と、ジョルジエット様、アメリー様へ、曖昧に微笑んだのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


一旦、馬車を降りた俺達。


通りに馬車は、駐停させておけない。


御者には1時間後、迎えに来るよう話してあった。


馬車は、去って行き、俺達は職人通りへ残された。


ここで打合せておいたフォーメーションを組む。


俺を先頭にし、ジョルジエット様、アメリー様、アンヌさん、ジュリーさんの順番で歩くのだ。


索敵……魔力感知で分かるが、

冒険者に扮した先発部隊も、後発部隊も、少し距離を置き、

つかず離れずで、俺達一行を護っている。


王都ネシュラの職人通り……

鍛冶屋、石屋、宝石屋、アクセサリー屋、金銀細工屋、仕立て屋、靴屋、雑貨屋、

染物屋等々……

看板を見ればどのような店なのか分かるが、様々な職人が店を出している通りだ。


その通りを、半信半疑という面持ちで、ジョルジエット様、アメリー様は歩き続ける。


「ここに何があるというのです?」

「ロイク様と、アンヌ、ジュリーだけ知っているって、ずるいですわ」


という会話もここまで。


俺達は、とあるアクセサリー屋の前に立った。

いろいろな金属、宝石を組み合わせた宝飾品、

……ペンダント、アミュレットなどを扱っている店だ。


この時間に店が開店している事は、確認済み。

俺がアラン・モーリアだった頃と、業務内容が変わっていない事も確認済みだ。


そしてジョルジエット様、アメリー様が買い物をする際は、

基本的に、ルナール商会のような御用達商会を自宅である屋敷へ呼び……

商品の種類を問わず、購入するのが常なのも確認済みなのだ。


俺はジョルジエット様、アメリー様へ、入店を勧める。


「まずは、この店です。入りましょう」


「え? まずはこの店?」

「いくつも回るのですか?」


「はい、いくつも回りますよ」


「でも、何の変哲もないアクセサリー屋に見えますが?」

「どのようなサプライズが待っているのですか、ロイク様」


「店へ入ってみれば、すぐに分かりますよ」


と俺は微笑み、企画内容を知るアンヌさん、ジュリーさんも、

同じように微笑んだのである。

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