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第191話「すっげえええ!!!!! という驚きの波動が、大歓声とともに広大な闘技場を満たした」

「「「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」


最後には身振り手振りまで入り語る、バシュラール将軍の熱弁に、

3万人の騎士兵士は、大きく大きくどよめいた。


バシュラール将軍は、大きく拳を突き上げる。


「普通ならばあ! 常識的に考えるのならばあ! いくらロイクが強いと言っても、たったひとりだあ! 人喰いのオーガどもにいいように蹂躙され! 喰いつくされ! 骨も残らないだろう!」


バシュラール将軍の言葉を聞き、オーガどもが暴れ、人間を喰らいまくる、

凄惨な光景を思い浮かべたのだろう。


3万人の騎士兵士は、またもしん!としてしまう。


「…………………」


静まり返った闘技場に、魔導拡声器経由で、

バシュラール将軍の声だけが響いている。


「しかあし! ロイクはこの通り! 我々の目の前に! こうして無事に! かすり傷もなく! 無事で居るう! これはどういう意味なのかあ! 君達ならあ! 分かるだろうおお!」


ここでバシュラール将軍は大きく息を吐く。

まるで力を溜めるように。


そして、一気に言い放つ。


「そうだあ! ロイクは勝ったのだあ! 完璧に勝ったのだあ! 首魁たるオーガキング以下5千体のオーガどもを粉砕しい! この大破壊を収束させたのだあ!」


「「「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」


首魁たるオーガキング以下5千体のオーガどもを粉砕!

この大破壊を収束させた!


最後の決めセリフに等しいバシュラール将軍の熱弁に、

3万人の騎士兵士は大興奮、再び大きく大きくどよめいた。


しかし!

ここで、バシュラール将軍はひどく厳しい表情となる。


「だがああ! 問題がたったひとつだけあるう! 今回! 王国執行官ロイク・アルシェはあ、私の指示に従わず! 逸脱する行為をしたあ! 命令違反を犯したあ! 勝手に単身で突撃し! 全てのオーガどもと戦ったあ! そうだなあ、ロイクう!」


バシュラール将軍から問われ、俺は深々と頭を下げる。


「は! 将軍! 申し訳ありませんっ! 確かに自分は命令違反を犯しました!  どのような罰でも、あまんじてお受け致しますっ!」


「ああ、そうだぞ! ロイク・アルシェ!  上官の命令は絶対いい! 違反は許されなあい! お前が犯したのはあ! 厳罰に処される大罪だあ!」


騎士兵士達は全員、訝し気な表情となった。


どうして?どうして?どうして?


ロイク・アルシェは、たったひとりで、

オーガキング以下5千体を打ち破った英雄だぞ!


じゃあ! 仲間を見捨てろと言うのかあ!


今は、非常時だぞお!


という、不満げな波動が伝わって来る。


「…………………」


「しかあし! もしも私がロイクであっても! 危機に陥った同胞を助ける為え! 全く同じ行動をとっていたあ!」


「…………………」


「よってえ! 今回だけはあ! 特別にい! 全軍を統括するう、将軍たる私の責任で許すう! 既に私が謝罪しい! 寛大なる御心でえ! 陛下と宰相閣下にはお許しを頂いたあ!!」


「…………………」


バシュラール将軍に対し、無言の俺は更に深く頭を下げる。


「「「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」


大歓声をあげる騎士兵士達。


「良いぞ、将軍!」「一生ついてくぞ!」と叫ぶ者も居る。


「さあ! 皆あ! ここで論より証拠だあ! 君達へ! 大破壊収束の証拠を見せよう!」


ステージと、騎士兵士達の間には、結構なスペースが空けられている。


いよいよ、最後の仕上げだ。


バシュラール将軍が声を張り上げる。


「さあっ! ロイクう! 見せてやってくれえ! 頼むぞっ!」


「は!」


バシュラール将軍の命令に頷いた俺は、収納の腕輪から、オーガの死骸を搬出した。


でも空いているスペースに全部出したら、キャパオーバー。


……とりあえず1,000体くらいで構わないだろう。


ほい、搬出!


ばばばばばばっ!

と、騎士兵士達の目の前に積み上げられるオーガの死骸。


言葉よりもず~っと重みがある、掛け値なし、論より証拠の証拠だ。


「「「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」


すっげえええ!!!!!

という驚きの波動が、大歓声とともに広大な闘技場を満たした。


「国王陛下、宰相閣下からはご了解を頂いたあ! 大破壊は収束したあ! よってえ! 出撃は中止! 中止とするうう!!」


ここで、アレクサンドル陛下、グレゴワール様が大きく頷き手を大きく挙げた。


「「「「「おおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」」


こうして……

オーガの死骸が積み上げられた闘技場には、

バシュラール将軍の発した、出撃中止命令に応える騎士兵士達3万の大歓声が、

ず~っと響いていたのである。

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』をお読み頂きありがとうございます。

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