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第170話「ルナール商会における俺の立ち位置は分かった」

「ははははは! ウチのシャルロットは当然、ジョルジエット様、アメリー様についでの妻! という立ち位置は、重々承知しておりますぞ!」


セドリック会頭はそう言うと、俺を見てにっこりと笑った。


うお!

そこまで言うんですかあ!

と驚いた俺が、シャルロットさんを見れば、

肯定します!とばかりに、頬を赤くして「こくこく」と頷いている。


ああ、昨夜ジョルジエット様が人生の決断を迫った時、

シャルロットさんがにこにこして、余裕だった理由がこれかあ!


彼女は既に!

俺と結婚する事を決意していたんだ。


セドリック会頭のコメントを聞き、笑顔のオーバンさんも同意とばかりに、

大きく頷いている。


て事は、この話、商会中に通ってるって事か!


さすがに王女ルクレツィア様『参戦』の件は、

セドリック会頭達へ、知られてはいないようだ。

秘書達へかん口令を敷いているから、シャルロットさんも身内とはいえ喋れない。


ただ、セドリック会頭達は、それ以外の内部事情は熟知しているという事。

ジョルジエット様、アメリー様が、俺の嫁になる前提で、

『序列』の事も認識している。


そして、将来の計画もしっかり立てていた。

シャルロットさんの『夫』として、商会のイメージアップは勿論、経営にもかかわらせようとしているのだ。


さすが、王国でも名うての商会。

戦略が半端ない。


俺はもう一度、シャルロットさんを見た。

彼女は整った顔立ちをした栗色髪の美しい乙女である。


ここで、セドリック会頭が問う。


「シャルロット、商会の会頭である前に、身内の祖父として、お前には告げたな?」


「はい、お祖父様。血がつながった身内からのアドバイスとして、しかとお聞き致しましたわ」


「うむ! お前の結婚相手としてどうかと、ロイク様を勧めてみたな。一緒に暮らしてみてどうだね?」


対してシャルロットさんは、


「はい! お祖父様。一緒に暮らしてみて良く分かりました。ロイク様はお強いだけではありません。私はお人柄を知って、よりお慕いする気持ちが強くなりました」


「おお、そうか!」


「はい! お祖父様がお勧めするだけの事はあります! ロイク様は真面目で、努力家。驕らず、威張らず、控えめで、男女、年齢、身分等に分け隔てせず、優しく接し、お話しされる。とても誠実な方だと思います! 加えて健康だし、結婚相手として申し分ありません! 私、大好きです!」


わお!

賞賛の嵐!

俺、凄い褒められよう!


……というか、これシャルロットさんからの、愛の告白じゃないか!

気付かないうちに、俺と彼女の『お見合い』が進行してたって事か?


今度は、セドリック会頭は俺を見つめる。

真剣な眼差しで。


「ロイク様」


「は、はい」


「シャルロットは、ふつつかものですが、私にとっては、目の中に入れても痛くないくらい可愛い孫娘です。ロイク様の妻として、何卒宜しくお願い致します」


「は、はい! わ、分かりましたあ!」


って、これまで散々お世話になったセドリック会頭のお願いなら、

OKの返事をするしかないじゃないか!


「おお、素晴らしいご返事を頂けたぞ。良かったな、シャルロット」


「はいっ! シャルロットは嬉しゅうございます!」


完全にはめられた!

って、感じだが、まあ良いや。

シャルロットさん可愛いし、性格良いし。

俺の事をひどくほめてくれたけど、彼女こそ結婚相手として申し分ない女子だ。


全てが見え、一気に脱力し、「はあ」と息を吐いた俺。


他の秘書達は?と見てみれば、やっぱりトリッシュさんは、にっこにこ。

そして、シルヴェーヌさんは、やはりしかめっ面だったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


俺とシャルロットさんの結婚話がひと段落つくと……

『これから』の具体的な話となる。


セドリック会頭、オーバンさんからは、改めてルナール商会の方針を聞かされた。


まず……

俺の仕事は、あくまでも『王国執行官』が優先だという。


ふたりから話をいろいろ聞いていると……

将来はシャルロットさんがセドリック会頭の跡を継いで新たな会頭となり、

中心となって、商会を動かして行く。

顧問の俺は『夫』として、『様々な形』で彼女をフォローすればOKとの事だ。


セドリック会頭は、王国との兼ね合いも考え、気を遣ってくれたのだと思う。


という事で、シャルロットさんが商会を継ぐまでは勉強期間になる。 


当面はシャルロットさんとともに『修行』をしながら、

商人とはなんぞやを基本に学び、更にルナール商会の経営に関して学ぶ。


これまで俺が遂行したような案件は、緊急のもの以外は、手の空いた時でOKだとも言われた。


成る程。

ルナール商会における俺の立ち位置は分かった。

王国執行官、冒険者ギルドの顧問を務めながらでも折り合いはつきそうである。


よし!

今度はこちらからの話だ。


内容自体はまだ詳しく言えないと前置きし、

俺と秘書達は『王国執行官』としての、大掛かりなお披露目イベントを行うと告げ、セドリック会頭とオーバンさんへ、『協力』を要請した。


ファルコ王国王家主催武術大会の運営は、冒険者ギルドが行う。

いろいろな契約もあるが、確認の上、ルナール商会に協力して貰えそうな部分もあるからだ。


対して、セドリック会頭とオーバンさんは「出来る事であれば」と快諾してくれた。


うん!

現時点ではこれでOK!


最後に……

ルクレツィア様を念頭に置き「俺の結婚相手が増えそうだ」と予防線を張っておく。


その後、ルナール商会のホテルからケータリングで、

商会内の特別会議室へ料理が届けられ……

そのまま6人でパーティ形式の昼食会となったのである。

⛤『異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!』をお読み頂きありがとうございます。

※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

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