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第156話「俺ひとりって……おひとりではさすがに危険ではありませんか?」

俺は、シルヴェーヌさんとランチを終え、紅茶を飲んでいる。


改めて見ても、綺麗なプラチナブロンドを肩まで伸ばした、スタイルの良い女性。

切れ長のダークブルーの瞳、鼻筋がすっと通り、唇が小さい。

ちょっと冷たい感じはするけど、相当の美人。


こんな人を部下にして、一緒にメシを食べて、お茶を飲む時が来ようとは、

夢にも思わなかった。


彼女の25歳という年齢は、転生前のケン・アキヤマと同じ。

ケンから見れば、シルヴェーヌさんは同年齢の魅力的な女子。


しかし今の俺は16歳の少年ロイク・アルシェ。

シルヴェーヌさんは、9歳も年上。

大人のお姉様だ。


俺はぼうっとして、シルヴェーヌさんを見ていたらしい。


「うふふ、ロイク様。どうしました? 私をそんなに見て」


「ええっと……」


「トリッシュさんやシャルロットさんがあんな事を言うから……私も変に意識しますよ」


……トリッシュさんやシャルロットさんが言ったあんな事とは、


「うふふ♡ 私、シルヴェーヌさんに大賛成! じっつはあ、ロイク様に、あつ~く片思い中ですからあ♡」


「私も祖父から! ロイク様は理想の男性だと言われておりますわ♡」


というコメント。


しかし、そもそもふたりの導火線へ点火したのは、シルヴェーヌさんだと思う。

何故なら、ジョルジエット様、アメリー様の結婚話をきっかけに、


「現状で、私達とロイク様は、主従関係。全員年上だし、まだ恋愛関係ではありませんが……もしも恋愛感情が生まれ、ロイク様と結婚したいとなった場合、ジョルジエット様と良く話し合って、私達は第三夫人以降になれば、宜しいと思いますわ。私は元々、グレゴワール様の第三秘書でしたし!」


とか言っちゃったから。


まあ、前世とステディ・リインカネーションの価値観は違うし。

一夫多妻制が認められているなど、社会環境も違う。

変な雰囲気にならず、逆に親近感が生まれ、

全員が互いにフレンドリーになったから、結果良し……なんだけれど。


つらつら考える俺へ、シルヴェーヌさんは話題を変えて来る。


「ロイク様」


「はっ、はい」


気合の入ったシルヴェーヌさんの目に、つい俺は慌ててしまった。


「国王陛下直属の栄えある王国執行官としては、負けられませんね、絶対に……王立闘技場のトーナメント。予選もあるし、集まるのは強敵ぞろいだと思いますわ」


成る程。

勇者に匹敵する俺の立場なら、トーナメントでは確かに負けられない。

また、未知の強敵が出て来るやもしれない。


エキシビションマッチでは、魔物とも戦わないといけないし。


油断は禁物だ。


「ああ、貴女の言う通り、負けられないさ。だからトレーニングするよ」


「トレーニングですか」


「おう」


「ですが、兄と私も含め、ファルコ王国の騎士、兵士では、ロイク様の相手として、少し力量不足かと」


「ああ、そうかもしれない、失礼ながら。だからトレゾール公地を含め、俺は各所へトレーニングをしに、赴こうと思う」


「え!? トレゾール公地ですか? まさか!」


「うん、そのまさか、さ」


驚くシルヴェーヌさんに対し、

俺は柔らかく微笑んでいたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「ふうう……」


俺の言葉を聞き、驚いて大きく息を吐き…

目を丸くするシルヴェーヌさん。


「さすがにびっくりしました。またトレゾール公地でドラゴンを倒すおつもりなんですか?」


「ああ、トレーニングがてら倒すつもりだ。トレゾール公地なら、依頼の遂行がてら、強敵と戦えるし。お金もたくさん稼げるからね」


「でも、相手はドラゴンですよ。トレーニングがてら、お金もたくさん稼げるって、事もなげにおっしゃいますね」


「いや、別に油断してるってわけでもなくてさ。万全を期したいんだ。鍛えて、経験値を稼いで、レベルもあげたいし」


これは本音。

ドラゴンを倒すと経験値がたくさん入る。

レベルもパラメータも大幅にアップするだろう。


「成る程ですね」


「それに、トレゾール公地以外でも、魔物討伐を行いたい。トレーニングは勿論、人助けにもなるからね」


「人助けですか、まあ、確かにそうです。ちなみに、案件のあてはおありですか?」


「ああ、冒険者ギルドの依頼もあるだろうし、ルナール商会の案件もあると思う」


「そ、そうですか……あの、その際。私達秘書はどうしたら宜しいのでしょうか? 私は元騎士ですからともかく、シャルロットさん、トリッシュさんは、同行が危険だと思います」


「大丈夫。貴女達には留守番を頼みたい。俺ひとりで行くから」


「俺ひとりって……おひとりではさすがに危険ではありませんか?」


「大丈夫さ。今までひとりでやって来たし。それに仲間が居る」


「仲間?」


「ああ、仲間。ジョルジエット様、アメリー様をお助けした際、フォローして貰った」


「あ、それ、アメリー様からお聞きしました。召喚した使い魔の、狼みたいな犬……ですよね?」


「うん! 彼にはドラゴン討伐の際も、大いに助けて貰ったんだ」


しかし、シルヴェーヌさんは俺の単独行を心配しているらしく、

なかなかOKを出さない。


他にも確認事項がある事もあり……秘書の同行に関して、結論は持ち越しとなった。

夜の合同連絡会議において、話の続きをする事となったのである。

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