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第146話「はい! 問題ありませえん! 住み込みしまあす!」

びし!っと俺へ、直立不動で敬礼したトリッシュさん。


「シルヴェーヌ・オーリク様! 未熟者ですが! 何卒宜しくお願い致しまあす!」


と言い、シルヴェーヌさんへ向かって、深々とお辞儀をした。


顔を上げたトリッシュさん。

にこにこっと、明るく笑う。


「う、うぐぐ……」


対して、シルヴェーヌさんは、何も言えなくなってしまった。


言葉遣いがフレンドリー過ぎる、浮ついた軽い小娘……


シルヴェーヌさんは、トリッシュさんにそんな先入観を持ち、侮っていたらしいが、誤りだったと悟ったからだ。


多分、勘の鋭いトリッシュさんは、

シルヴェーヌさんが、自分をどう見ていたのか、敏感に察知したに違いない。


それで、俺がフォローに入ったという状況を見極め、

「礼を尽くす」という先手を打ったのだ。


明るく可憐な見かけだけではない。

その実体は、理知的で冷静沈着。判断力、決断力に優れる少女。


第一ラウンドは、完全に勝負あり!

という感じだ。


ここは、俺がフォローし、幕引きをはかった方が良いだろう。


「シルヴェーヌさん」


「は、はい」


「トリッシュさんと、握手だ。そして、改めて自己紹介をするんだ」


俺は有無を言わさないという雰囲気で命令した。


「は、はい!」


「トリッシュさんも頼む」


「喜んで~!」


どこかの居酒屋のように、快諾したトリッシュさん。


手をさっと差し出す。

シルヴェーヌさんは、ゆっくりと……


ふたりの秘書は、がっつりと握手した。


まずシルヴェーヌさんが、あいさつ。


「改めまして! シルヴェーヌ・オーリクでございます! このたび、王国執行官ロイク・アルシェ様の秘書に就任致しました。前職は王国宰相グレゴワール・リヴァロル公爵閣下の第三秘書でございました。不慣れな事も多いと思いますが、ご指導ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い致します」


「こちらこそ、改めまして! パトリシア・ラクルテルでございます! トリッシュは、愛称でございます。このたび冒険者ギルドマスター、テオドール・クラヴリーから命じられまして、当ギルド顧問に就任されたロイク・アルシェ様の専属秘書となりました! 不慣れな事も多いと思いますが、ご指導ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い致します!」


おお、やる時はやる。

決める時は決めるって感じで、トリッシュさんは、しっかりとしたあいさつ。


シルヴェーヌさんも、「何、この子?」って、びっくりしている。


よし!

とりあえず、国交樹立。


相性の問題はあるかもしれないが、俺が間に立っても、仲良くして貰わないと。


握手が終わり、トリッシュさんが言う。


「では! ギルドマスターのテオドールを呼んできま~す!」


しかし、俺は室外へ出ようとするトリッシュさんを呼び止める。


「トリッシュさん! ちょ~っと、待った!」


テオドールさんが来る前に、大事な話をしなければならない。


「はい? 何でしょう? ロイク様あ」


「話がある。大事な話さ。……まあ、一旦座ろう。シルヴェーヌさんも座って」


「はいっ!」

「はい」


そう、俺の居住するリヴァロル公爵家別棟に、

トリッシュさんが、住み込む話をしなければならないのだ。


顧問室に置かれた長椅子へ、3人は座った。


軽く息を吐き、俺は、話し始めたのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「まず、ひと通り話すから、聞いて欲しい」


俺が言えば、トリッシュさんは座ったまま、びしっと敬礼。


「分っかりましたあ。質問があったら、最後にしますう!」


「よし! ……トリッシュさんは、知ってると思うけど、俺の現住所はルナール商会のホテル。だけど王国執行官に就任するにあたり、引っ越しする事になった」


「………………」


「新たな住所は、リヴァロル公爵家別棟。俺は、国王陛下直属となるが、グレゴワール様の預かりという形で仕事をする。ちなみにホテルは別宅という形で商会がキープしてくれる」


「………………」


「仕事の割合としては、申し訳ないが、王国執行官の仕事が多くなると思う。ちなみに、勤務スケジュールは、月曜日から木曜日の4日間。金土日は基本休みの週休3日制。月曜日、火曜日は王宮の宰相執務室で王国執務官の事務仕事他、水曜日の午前は冒険者ギルドで顧問の事務仕事他、午後はルナール商会へ出勤し、打合せ他。木曜日は予備日となる」


「………………」


「但し、このスケジュールはあくまで基本、目安にすぎない。随時確認を取りながら、王国執行官、冒険者ギルド、ルナール商会、各仕事の優先順位をつける」


「………………」


「この優先順位をつける為、シルヴェーヌさん、トリッシュさん、ルナール商会の秘書さんとは、毎日情報をすり合わせし、共有したい」


「………………」


「前振りが長くなったけど、俺の秘書は、俺が居住する別棟に住み込んで貰い、毎日情報を共有しながら、勤務先へ通勤して貰おうと思う。トリッシュさんなら、別棟に住み込み、毎日この冒険者ギルドへ通う形だ」


「………………」


「シルヴェーヌさんには、既に住み込みを了解して貰っている。そうだな?」


俺が尋ねると、シルヴェーヌさんは、


「はい!」


と力強く答えた。


「トリッシュさんは? どうする?」


俺が、トリッシュさんへ尋ねると、


「はい! 問題ありませえん! 住み込みしまあす!」


と、即決してしまった。


少し意外と思った俺。


しかし、トリッシュさんは、


「私は、秘書となり! ロイク様のお役に立ちたいので!」


と言い、にっこり笑ったのである。

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