表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

125/257

第125話「ふうむ、しかし困った事になった」

俺は、冒険者ギルドの業務担当トリッシュさんから託された書類を、

グレゴワール様へ提示した。


「これが、冒険者ギルドから出されたオファーの内容を記載したものです。ご覧になって頂けますか」


「うむ、拝見しよう」


グレゴワール様は、俺から書類を受け取ると、じっくり丹念に読んで行く。


そして……遂に例の件が記載してある部分に目が行った。


その瞬間、グレゴワール様は驚愕し、目を「かっ!」と大きく大きく見開き言う。


「な、な、何!!?? こ、こ、これはっ!!?? ほ、ほ、本当か!!??」


さすがの鬼宰相も俺が成し遂げた事の重大さに、戸惑い、噛みまくっていた。


「はい、本当です。俺、使い魔と協力して、ドラゴンを10体討伐しました」


「う~むううう……ド、ドラゴンを10体……か」


「はい! 10体のうち、1体は冒険者ギルドへ納品しましたが、残りの9体は空間魔法でしまってあります」


「お、おお!!」


「もし宜しければ、グレゴワール様へ、討伐したドラゴンをご覧に入れます。この屋敷内にある大闘技場が宜しいと思いますので、『貸し切りという形で人払い』をして頂けますか」


「わ、分かった! ぜひドラゴンを見てみたい! 『ロイク君の根性をふたりきりで再び試したい!』という名目で、大闘技場の人払いをしよう!」


と、いう事で……

俺と革鎧に着替えたグレゴワール様は本館を出て、闘技場へ。


ふたりとも革鎧姿という、俺とグレゴワール様へ注目が集まる。


普通ならいつも護衛がつく超VIPのグレゴワール様だが、


今回の打合せも含め、俺とふたりきり状態は、もう何度も発生している。

なので、騎士達も全然心配していない。


念の為、闘技場内に第三者が居ない事を確かめる。


大丈夫!

俺とグレゴワール様以外は居ない。


ちなみに、ジョルジエット様、アメリー様は学校で勉強中。

現在この屋敷には不在。

乱入される心配はナッシングだ。


さあ!

準備完了!


「では、グレゴワール様、ドラゴンをお見せします」


「お、おう! わくわくするな! 本当に楽しみだ!」


トリッシュさんと同じ。

グレゴワール様は、子供のように目を輝かせた。


搬出!


俺がイメージし、収納の腕輪を作動させると、

でででで~ん!!

と、ドラゴンの死骸が現れた。


体長20mもある巨体はさすがの迫力だ。


「お、おおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


すると!

グレゴワール様は大喜び!


激しく雄たけびをあげ、ドラゴンの近くへ猛ダッシュ。


先ほど提示したギルドの書類とは比較にならないくらい、

じっくりと丹念に見て回ったのである。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


1時間を超えても、グレゴワール様は、ドラゴンを見続けていた。


そろそろ……頃合いだろう。

これ以上、ふたりで闘技場へこもっていたら、騎士達、使用人達から変に思われる。


俺は、グレゴワール様へ声をかける。


「ええっと、グレゴワール様。そろそろ……」


見物終了を促され、グレゴワール様は、大闘技場の時計を見た。


時間の経過を認識したらしい。


「う、うむ! 分かった!」


「じゃあ、空間魔法で仕舞いますね」


「よし、後、ドラゴンの周りを1周する。それで終わりだ!」


「また、お見せしますよ」


「うむ! 頼むぞ! また見たい!」


にっこり笑ったグレゴワール様は、ドラゴンの死骸をじっくり見ながら1周。


満足したように、大きく頷いた。


搬入!


俺が言霊を心の中で唱えれば、


瞬間!


搬出した時と同様、ドラゴンの死骸は煙のように消え失せた。


「おお、見事なものだ。ロイク君の力は計り知れんな」


「はあ……まあ……」


いえ、これ……実は違います。


ステディ・リインカネーションのゲーム知識をフル活用してゲットした、

超レアアイテム『収納の腕輪』のお陰なんですけど。


ま、いいか、この際。


そんな俺に向けるグレゴワール様の顔が曇っていく。


「ふうむ、しかし困った事になった」


あの、もしかして、昨夜の俺の懸念と同じ事を考えてます?


「困った事って、グレゴワール様……」


「うむ! そうだ! 今はまだ冒険者ギルドがかん口令を敷いていても、知れ渡るのは時間の問題だな」


「知れ渡るって、俺がドラゴンを倒した事が……ですかね」


「当然! そしてだ! ギルドが名付けなくとも、ロイク君はドラゴンスレイヤー、竜殺しの名を冠する事となる! 加えて勇者! 否! 単なる勇者ではなく! 10体も倒したなら! 伝説たる! 救世の勇者の名を賜る事となるだろう!」


「うっへえ! 伝説たる! 救世の勇者ああ!!??」


拳を突き上げ、どや顔で叫ぶグレゴワール様の声は、

人払いした大闘技場に、大きく轟いていたのである。

いつもご愛読頂きありがとうございます。


※当作品は皆様のご愛読と応援をモチベーションとして執筆しております。

宜しければ、下方にあるブックマーク及び、

☆☆☆☆☆による応援をお願い致します。


東導号の各作品を宜しくお願い致します。


⛤『魔法女子学園の助っ人教師』

◎小説書籍版既刊第1巻~8巻大好評発売中!

《ご注意!第8巻のみ電子書籍専売です》

(ホビージャパン様HJノベルス刊

宜しければ、第1巻から8巻の一気読みはいかがでしょうか。

HJノベルス様公式サイトでは試し読みが可能です。

お気軽にどうぞ!


◎コミカライズ版コミックス

(スクウェア・エニックス様Gファンタジーコミックス刊)

既刊第1巻~5巻大好評発売中!

コミックスの第1巻、第3巻、第4巻は重版しました!

皆様のおかげです。ありがとうございます。


またこちらの「Gファンタジー」様公式HP内にも特設サイトがあります。

コミカライズ版第1話の試し読みが出来ます。


WEB版、小説書籍版と共に、存分に『魔法女子』の世界をお楽しみくださいませ。


マンガアプリ「マンガUP!」様でもコミカライズ版がご愛読可能です!

お持ちのスマホでお気軽に読めますのでいかがでしょう。


最後に、他作品のご紹介を。


そして下記の作品も宜しくお願い致します。


⛤『外れスキルの屑と言われ追放された最底辺の俺が大逆襲のリスタート! 最強賢者への道を歩み出す!「頼む、戻ってくれ」と言われても、もう遅い!』《連載中!》


⛤『帰る故郷はスローライフな異世界!レベル99のふるさと勇者』《連載再開!》


⛤『気が付いたら下僕!隙あらば支配!追放大歓迎!実は脱出!マウントポジション大好きな悪役令嬢よ、さようなら!の俺が幸せになるまでの大冒険物語!』《完結》


⛤『頑張ったら報われなきゃ!好条件提示!超ダークサイドな地獄パワハラ商会から、やりがいのある王国職員へスカウトされた、いずれ最強となる賢者のお話』《完結》


他の作品もありますので、何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ