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第109話「主のスタンスに合わせてやるわ!!」

金、宝石、採取、それも「拾って取り放題!」という状況に……

俺は幼い子供のように夢中となった。


ひどく夢中になった俺は、つい、リミットとした時間を失念していたらしい。


いらっとした波動とともに、ケルベロスが声をかけて来る。


『おい、(あるじ)! そろそろ「45分」が経過するぞ!』


ああ、そうだった!

オーガ100体を討伐後、最短1時間で、再び魔物が湧き出て来る。

なので、「45分」という作業時間を設定したんだ。


『りょ! 了解!』


俺は鉱石を入れた袋を収納の腕輪へ仕舞う。


金、宝石とも結構な量が採れた。

しかし、まだまだ袋はある。


後でもっとガンガン採ろう。


『ロッジまで、撤退し、スタンバイしよう』


『うむ、分かった!』


とりあえず様子見だ。


ケルベロスは期待しているようだが、

万が一、上位種のドラゴン数百体が現れた場合は本当にヤバイ。

こっちがたったふたりでは無理ゲー、さすがに洒落にならない。


幸い、次元の裂け目の位置は分かっているし、魔物どもが完全に出現するまで、

若干のタイムラグがある。


とりあえずオーガ100体との実戦経験を積み、レベルアップしたし、

金と宝石も結構な量を回収、当初の目的は果たしている。


ケルベロスがどう言おうが、撤退の一手あるのみだ。

なので、正門からそう遠くないロッジにスタンバイするのが正解なのである。


まだ少し余裕はある。

数分作業しても大丈夫だろう。


俺は河原に落ちている流木を数十本抱え、ロッジまで走った。


抱えたこの流木は焚き木用だ。

煮炊きとかがり火用に使うのである。


ロッジの敷地内へ戻った俺とケルベロス。


オーガ全滅から1時間経過まで、後8分。


……後、5分……3分……1分……ゼロ。


何も起こらない。


と、いう事は、あと2時間、もしくは4時間は大丈夫だ。


俺はケルベロスへ話しかける。


『俺が知るセオリーで行くと、確実に2時間は魔物出現がない。俺は河原で作業するが、ケルベロスはどうする?』


『ふむ、このエリアをぱっと1周してくるか。ついでに主が欲する金と宝石も探しておく。後で位置を教えよう』


『よし! じゃあ、1時間45分後にこのロッジに再集合だ』


『うむ、了解した。今度は時間を失念するでないぞ』


おお、先ほどの事があったから、釘を刺されたか。

今度は首から、チェーンをつけた懐中魔導時計を提げておこう。


……という事で、俺は引き続き、金と宝石の採集。

ケルベロスは公地内の探索を行ったのである。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


さすがに今度は、リミット時間を失念しなかった。


超高速で移動する俺は、河原に落ちていた金塊、宝石はほぼ採り終え……

何往復かして、流木をロッジへ持ち帰る。


頃合いと見て、作業を終え、ロッジへ戻り……

懐中魔導時計を見れば、時間はまだ1時間30分。


後、15分余裕がある。


お茶でも飲むか!


ロッジのかまどを使い、湯を沸かす。

沸いた湯で、ポットとカップを温める。

ポット、カップの湯を一旦捨てた上で、ポットへ紅茶の茶葉を入れ、湯を注ぐ。


少し置いてから、紅茶をカップへ注ぐ。


そうこうしているうちに、ケルベロスが戻って来る。


『ふむ、人間が好む茶か……』


『ああ、今淹れた』


『ふっ、余裕だな』


『そんな事はない。……ああ、言っとくけど、万が一、上位種のドラゴン数百体が現れた場合は、逃げるからな、ケルベロス、お前を連れて。俺はまだ死にたくないから』


こういう事はしれっとでも、事前に伝えた方が良い。

いきなり黙って逃げるのが、最悪なやり方だ。


案の定、ケルベロスは、


『ふん! 臆病者め!』


と、にらみつけて来た。


しかし、俺は全然平気。

全くの想定内。


そしてここは、ストレートに胸の内を告げた方が良い。


『いや、ケルベロス、俺さ、さっきの戦いでレベルアップしたけど、まだレベル15だし、ドラゴンなんて無理っしょ。それも上位種数百体なんて、絶対に無理ゲーだもの』


対して、ケルベロスは無言。

何も、答えない。


『………………………………』


『せっかく転生して、すぐ死にたくないし、前世より1億倍幸せになるって決めてるし……』


『………………………………』


『戦うのが嫌なわけじゃない。でも意味のない蛮勇的な戦い方は遠慮したい。逃げるが勝ちって言葉もある』


『………………………………』


『但し、俺ひとりでは逃げない。ケルベロス、お前を抱えて逃げるからな』


俺の話をず~っと無言で聞いていたケルベロスは、


『はははははははははは!!』


といきなり大笑い。


『分かったわい!! 主のスタンスに合わせてやるわ!!』


本音で話して良かった!


仕方ないという感もあるが、最後にケルベロスは折れてくれた。


……こうして、俺とケルベロスの絆は一層深くなり、

再び現れるであろう、魔物どもの群れを待ったのである。

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