炭売り
『鬼滅の刃』の人気で炭売りがどのような商売か気になる方がいらっしゃるようですね。
端的に言って、ガス器具や電気機器が普及するまでは、ムチャクチャ儲かる商売でした。
戦後、ガス器具や電気機器が普及して炭の需要が急落、多くの炭売りが失業しましたが、かつては家庭の生活を支えるインフラ産業として隆盛を誇っていました。
例えば『鬼滅の刃』の舞台背景である大正十年頃の炭の値段は十五キログラムで一円五十銭程度。一日に使う量が平均して一キログラムですから一ヶ月に三円ぐらいは炭代に使います。
この当時の平均世帯収入が三十円から四十円ぐらいですから、現代の光熱費に換算すれば月々三万円程度も使っていることになります。
売る側としては代八車の積載量が百二十キログラム程度で、一回の輸送で十二円の売り上げが見込めます。
代八車は二人で扱うのが基本なので、一人当たりの売り上げは六円です。
もっと簡単に言えば、三百キログラムを売れば三十円、つまり二十軒の家と専属契約で供給契約を結べば、二人が当時の平均世帯収入を得られます。
私の曾祖父が大正時代に炭売りをしていて「炭屋のオッサン」と呼ばれていたそうです。
家業は材木屋でしたが、端材を用いて炭を焼き、それを街で売っていたようです。
その後、兄弟を使って商売を広げ、炭売りから運送業に転身して、今でも貨物を扱う会社として存続しています。
経営者は祖父の従兄弟に代わり、その血筋が今でも社長を務めていますが、曾祖父の三人兄弟の子ら全てが土地付きの豪邸を建てたそうなので、ガッポリ儲けていたのが窺えます。
市内の住宅地図を見ると、我が一族が駅周辺に散らばっていますから、炭売りは儲かる商売と分かります。
炭焼きは大変な作業ですけど。