笹子トンネル崩落事故
昨日は中央道の笹子トンネルで天井が崩落し、犠牲者九名が出た事故より八年が経過した日でした。
八年前と言えば平成二十一年九月に鳩山内閣が成立して、その年の十一月に蓮舫議員が「事業仕分け」して翌年の公共事業予算を大幅に削減してより二年が経過した時期でした。
事故の後に総選挙があり、自民党が大勝して安倍内閣の成立に繋がるのですが、この自民党大勝利に影響を及ぼした事故になったと思います。
民主党による事業仕分けのしわ寄せが全国の至る所で噴出し、橋梁の補修工事が行われなかったことで通行止めになった橋梁が全国各地で五千本を超えたと言われています。
事業仕分けにより雪害に備えて地方自治体などが蓄えていた繰越金を見て、国からの補助金を削減した結果、日本海側を中心に平成二十三年豪雪が発生し、予算不足で除雪の手が回らない事態となって車両の大規模な立ち往生が起きました。
自治体は激甚災害の適用を政府に要請しましたが、民主党政府はこれを拒否しています。
このように、公共事業を軽視した姿勢が笹子トンネル崩落事故を招いたと言われても仕方ないぐらいの不手際が積み重ねられていました。
実際はトンネルの構造とその後の杜撰な点検作業にあったとする報告書が作成されています。
杜撰な点検作業の実態把握は事故が発生しないと掴めないのは口惜しいですが、公共事業費の適正な支出が行われているか抜き打ち検査すれば幾つかは指摘されていたでしょう。
そもそも公共事業を悪いことと思うのは間違いです。
公共事業の主たる目的は、国民生活の利便性向上や衛生環境の改善など、我々国民が豊かで健康的な生活を送る基礎部分の整備です。
上下水道、電気、ガス、道路などの整備と保守点検は公共事業です。
例えば田中角栄総理大臣は地元の新潟県に多くのトンネルを整備しました。
これは山間部に居住する国民の生活環境を向上させる公共事業です。
トンネルがない時代、急な発熱で苦しむ子供を連れて峠道を越えて町医者に向かっても「手遅れ」となる事例があったそうです。
医者は「もう三十分、せめて十五分早く連れて来てくれれば」と悔やみましたが、道路事情でそれは叶いません。
その話を知った角栄がトンネルを整備して、山間部と町の往来時間を短縮させようと思いつくのは当然の流れでしょう。
また福井県の原発にしても、その振興予算で道路整備を行っています。
若狭湾のとある集落は半島の先端に位置し、町までは船で渡る生活環境でした。
ここでも救急搬送に手間取り、多くの助かるはずの命が失われていたと言います。
それが、道路整備された後は手遅れが激減しています。
公共事業を減らすことで浮く予算と、失われる命を天秤に掛ける前に、人命尊重を思うのが人の心でしょう。
失われて初めて気付くようでは遅いのですが、それでも人命尊重に公共事業が必要であるとの教訓を得ないならば、笹子トンネル崩落事故の犠牲者は浮かばれないでしょう。
そして反省のない国会議員が在職している限り、我々国民もまた犠牲者に対して礼を失していると思います。
事業仕分けした議員と、その議員や所属政党に投票する者は恥を知れと言いたいです。