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時、既に修羅場②

評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)

 ゼウスがどうにかして誤魔化そうとしたまさにその瞬間。

 低レベルな争いを繰り広げていたキリカとエミリアは途端にぴたりと動きをとめてしまいーー


「もうその手は食わん!」

「もうその手は食わねぇよ!」


 咆える様に、くってかかるように、目を見開いてゼウスへと一斉に大声をあげた。


「よくも今まで隠し通してくれたな! くそっ、何故私はもっと早くに気づかなかった! そうしていればこのような女狐などに邪魔されることなく、今頃はゼウス君と……ッ!」


 キリカはそう言い切ると、心底悔しそうに拳をぷるぷると震わせながら奥歯をぎりりと噛んだ。


「なぁ、ゼウス? よく考えてみろよ? あいつと結婚なんてしたら最後、女のアタシがドン引きする程のすっっっっっげぇムッツリだからさ、どんな変態プレイを要求されるかわかったもんじゃないぜ? この前なんてな、二人でお前としたいことを話してるときなんか……」


「せっ、せせせせせっ、せっ! せんわそんなことッ!? なんたる言い草だこの馬鹿女ッッッ!!!」


 ニヤニヤと悪戯っ気のある可愛らしい笑顔を浮かべながら、心底愉しそうに語るエミリア。

 一方キリカは、これ以上余計なことを喋られてはまずいと感じて、普段より高くうわずった大声を上げて、慌てて言葉をかき消してゆく。

 普段の凛として整った美少女の顔を、彼女史上最上級に真っ赤にさせながら喚き散らして抗議する。

 そんなキリカを見て、エミリアは内心で「慌ててる顔、めちゃくちゃ可愛いな……」と、少し嫉妬してしまう。

 しかしそんな考えは決して顔に出さないように気を付けながら、エミリアはゼウスへと視線を戻してニカっと笑った後、彼に耳に手を添えて囁きかける。


「それに引き換え私と婚姻を結べばな、お前は毎日私に好き放題出来るんだぜ? お前が望めば私はなんだってしてやる。そうだ! 公爵家令嬢の私が没落子爵家のお前に何だって言うなりのご奉仕メイドってのはどうだ? なかなかに悪くないと思うけどな~?」


 エミリアはゼウスの耳元で妖艶にそう囁いて、しなをつくりながら両手で腕をとってしまう。


「なんと品のないふしだらな女なんだ、下劣極まりない! それでも誇り高きカッセルフェルト公爵家の令嬢か! 恥を知らんか、恥を!!」


「アタシがふしだらな女なら、お前はエロスの化身だ、化身! おぉ~、エロスの化身様よ! どうかそのおエロな本性をこちらのゼウスに包み隠さずお明かし下さいませ~~~!」


 心底小馬鹿にしたようなわざとらしい口調で、エミリアは絨毯の上に正座して、両手を大きく動かしながらキリカへと座礼を繰り返してゆく。

 それを見たキリカは顔を真っ赤にしながら「◎△$♪×¥●&%#~ッ!!!」と、声にならない声を上げながらエミリアを組み伏せて再び頬をぐいぐいと引っ張り、エミリアも負けてなるものかと頬を引っ張り返してゆく。


 絨毯上でごろごろと上下を交代しながらお互いを組み敷かんともみくちゃになっている、つまりはシルエットだけを見れば完全にキマシタワー!!!案件の最中、二人の学院指定スカートの中身は、ゼウスの位置から丸見えになってしまっていた。

 察したゼウスが顔に似合わず紳士的にさっと目線を逸らすことで、ようやくにして二人は自分達の状態に気付き、ぼっと顔を赤らめ羞恥を覚えて取っ組み合いをやめる。

 

 暫くして、息を整えながら先に立ち上がったのはエミリアだった。


「ハァ……ッ、ハァ……ッ! とにッ……かくッ……なッ、ゼウスッ! あっちに行ってもさ……? 古臭~い躾でガチガチ縛られて、毎日まな板と対面するだけだぜ……? 何が哀しくて思春期真っ最中の男がそんな苦行を強いられなきゃならないんだよ、なぁ……? それに比べて……ほら、どうだ? 自分で言うのもなんだけどさ、結構……柔いだろ……?」


 エミリアは息を切らしながらそう言い切ると、ふにゅりと自身の豊満さをこれでもかと、ほんのりと可愛らしい顔を赤らめながら、ゼウスの腕へと主張する。

 その光景を見たキリカとルルイはぶちりと怒り心頭し、抗議のために介入しようとするがーー


「ま、待ちたまえ、キリカ嬢! エミリア嬢! 何故そのようないかにもやられ役悪人面、かつ没落子爵家の男などへと媚び諂うのだ! こんなつまらない男は放っておいてこの僕と……ッ!?」


 誰が見ても外見はモテ男、クレルード侯爵家嫡男、アドニス=グレアム=クレルードが慌てて先に割って入る。


 だがーー



「もう私の婚約者はゼウス君に決めている! 邪魔だからどいていろ!」

「もうアタシの婚約者はゼウスに決めてる! 邪魔だからどいてな!」



 これが燃え盛るような恋路を邪魔された乙女達の逆鱗に触れ、更なる論争の火種になるとは誰も予想していなかった。


(どうしてだ!? どうしてこんなことになった!?)


 渦中の人物であるゼウスは、外面では平然としていながら、内心では頭を抱えたくなる程に、ほとほとに困りながら打開策を模索してゆくのだがーー



 そもそもの発端は、彼が地上に舞い降りたおよそ15年前まで遡るーー

次回は明日3/2 夕方あたりにアップします!

ゼウスのズッ友(?)、ケラウノスちゃんが登場です!


ここまでお読みいただきありがとうございます!

作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!

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