武闘大会トーナメント表 074話 試合前
パンダの視点だと、試合前のトーナメント表を詳しくは見ていないので、本編はそれに従って記述しています。
ですから、ここで先にトーナメント表を見ると、本編での発見の楽しみがなくなるかもしれませんので注意ください。
シード枠は、
左側の一番上、左側の上から十番目。
右側の一番下、右側の下から十番目。
シード枠が十番目なのは、
獣人主催のテキトー感を表現してみたためです。
本編に登場しない名前があるのは、
描写を割愛したからです。
★ ★ ★
「一回戦、第五試合。レグホーン・ベンザム選手とパメイド・ギリングス選手が戦います。レグホーン選手は、元Bランク冒険者で、今はメジー商会という商社にお勤めです。あの黄色いマントは商社の制服とのことです。そして、片手剣と盾を手にしています。対するパメイド選手は、昨年の優勝者でもありますし、もうお馴染みですね、大剣を使います。初参加のレグホーン選手が、パメイド選手をどこまで追い込むことができるのでしょうか?」
「せやな。パメイド選手は元Aランク冒険者やし、レグホーン選手の片手剣だと、大剣の間合いに入るのが大変や。お互いにパワータイプの戦士のようやし、先手をどうやって取るのかが、勝敗を決めるカギになりそうやな」
へっ! んなこたあ、言われなくても分かってんだよ。
それにしても、パメイド選手、でっけえな。
俺も大柄なほうだけどよ、パメイド選手は、さらに大きい。
これが虎獣人って奴なのか。
ここで去年の優勝者に勝って、メジー商会の名をジドニア獣国中に知らしめるのが俺の役割だ。
マゼンタの奴め、無理難題を言いやがるぜ。
最初は、出場するだけでいいって言ってたのによ!
でもよ、パメイド選手はこの国の王なんだろ? メジー商会の客なんだからよ、俺が勝つよりも、体よく負けるほうがいいんじゃねえのか? いわゆる接待試合ってやつだ。
ま、勝てって指示だから、全力で行くけどよ。
「戦いの銅鑼が打ち鳴らされました。試合開始です!」
パメイド選手は、開始早々、大剣を上段に構えやがった。
あの構えだと、正面にしか対応できねえはずだ。
俺が左右に回り込むように攻めれば、防ぐことができねえだろう。
「あっ! レグホーン選手、右に回り込むように駆け出した!」
「まあ、あれやね。大剣の範囲に入らないように接近して、間合いのガラ空きの胴体を狙うんやろうね」
「ガラ空きだぜ! ソニック・ブレイド!」
「ふん! 虎影噴炮烙!」
「ああっと! レグホーン選手が刃の波動を撃ちだして胴体を狙いましたが、パメイド選手の体から、虎の形の爆炎が噴出して、それを相殺した!」
「相殺しただけではないで! パメイド選手は向きを変えてレグホーン選手を大剣の間合に入れたんや!」
消されたか!
うっ!?
「甘いわ! 虎裂斬!」
目の前には、虎に覆われた大剣が!!
…………。
「勝者、パメイド選手! 一回戦から、圧巻の強さを見せつけました! いやあ、今年も安定した戦いでした。このままパメイド選手が優勝するのでしょうか!? それとも、それを阻止する選手が現れるのでしょうか!?」
「レグホーン選手も、初手としては良い攻撃だったと思うんや。しかし、パメイド選手の返しが一枚上やったんや。このあたりが、昨年優勝者の貫禄っちゅうことかな。あれを盾で受けられれば、レグホーン選手にも勝機があったんやけどな」
くそっ! 負けちまったか。
そんなつもりはなかったんだけどよ、接待試合したんじゃないのかって疑われても、弁解ができねえくらいにあっさり負けちまったな。
八ッ! そう言うことか!
マゼンタの奴め。俺が全力で戦っても負けると見越して、接待試合をしなくていいって言ったんだな!
なんてこった!
こりゃあ、マゼンタに一杯食わされたぜ。