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異世界メディア論〜外れ領地でも情強なら無双〜  作者: ⅶ
season2 ダンジョンマスター
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センタクルの報せ

 会議二日目、会議は二日に一回で明日は休みとなるので今日頑張ればゆっくり出来ると思うと少しはやる気が出る。

 やはり偉い貴族や王の前で真面目な話をするのは精神的な疲労が大きい。ましてや自分の屋敷に来たらそりゃ緊張する。夜はぐっすり眠ったので身体の疲れはしっかり取れていた。

 相変わらず頑丈な肉体だ、労働するにおいて賢さや知識、金なんかよりも体力が最重要だと感じている。


 しかしながら、休みと言っても会議がないだけで、予定はある。サロンの打ち合わせや、ソレイユ様のゾートロープの話し合いによるお茶会、オーガによる魔術大会の指導、確定してるだけでもこれだけあり、ここから更にイレギュラーな予定が追加されるだろう。

 そこまで親しくない貴族とも顔を繋いでおくために色々なパーティにも出席しないといけないし、一カ月くらいは会議が終わるまでこの生活を続けるらしい。早く家に帰りたい……。


「なあロウゼ、ちょっと他のやつらに聞いたんやが、街が祭りみたいになってて色んな店出てるって話やけど」


 会議に向かう道中でリュンヌが少しそわそわしながら口を開いた。


「は?なんだ、お前行きたいのか?」

「行きたい行きたい!当たり前やろ!色んな飯食えるんやで!?」

「無理だな」

「なんでやねん!」

「お前の仕事はなんだった?」

「えー街にある食いもんの食べ歩……いや、調査やったかな」

「全然違うぞ!お前は護衛だろ!つまり主に常に付き従って守るのが仕事だ、この俺のどこに呑気に街をウロウロする時間があると思っている?当然ない。つまりお前は街をウロウロ出来ない!」

「そ、そんな……」


 リュンヌ用に作られた金がパンパンに入った布袋を握りしめて悲しそうな顔をしている。領主の護衛で一族のリーダー、ダンジョンでもかなり強い魔獣を余裕で倒しているので実入りはかなり良く、小さな店のオーナーくらいは稼いでいるからだ。


「ハッ!これがロランとかエッセンの言ってた金があっても使う時間が無いってことか……」

「そういうことだ。主が働いているのに、護衛を部下に任せて街で遊ぶ部族の頭など、いてたまるか」

「クッ……オートめ!」

「いや、オート関係ないから」


 どんな八つ当たりの仕方だよ。いなくてもそれなりに忙しいっての。


「あ、そう言えばポップコーンが売ってたってマノツァが言ってたな」

「何?昨日の報告では聞いていなかったが?」

「ああ、それでしたライカ達の犬人族の者によるとうちで売られたものを大量に購入して王都で売ってる業者がいるようですよ。なんでもロウゼ様が風呂に一緒に入れと言ったので緊張して言うのを忘れてしまったとか……」


 ヤバ、ロランにバレてるし言葉の裏からチクチクしたものを感じる。


「転売か」

「と言っても、うちからわざわざ買い付けても時間経過と共に質は落ちますし、輸送費にそれなりに負担がありますし、テルノアール名物と言ってるのでうちは何の負担もなく勝手に宣伝してくれているようなので放置しても良いかと」

「うーむ、しかしそれでは出来たての美味しさが分からんだろう?あれは湿気っておらず出来たてが美味しいものだ。買ってみて「なんだ、この程度か」と思われるのが癪だ。そもそもうちから王都までと考えたら保存するようの魔道具か何かがないと品質を保てないはずだがどうやっているんだ?」


 ブランドイメージってやつが傷つきそうで個人的には迷惑だ。


「よし、ネフェル!」

「ここに」


 名前を呼ぶとすぐに現れた。最近急速に言葉使いが改善されて語尾に「ね」をつける癖が抜けてきて出来るクノイチ感が出てきている。


「ポップコーンの件は聞いていたな」

「はい」

「街でテルノアールで売ってる出来たてのポップコーンの試食をしてこい。そして明らかに質が低ければ、本場の出来立てはもっと美味いし安い。他にもダンジョン街にいけば美味い肉も食えるなど良い噂をそれとなく流せ。目立たない程度で良い。その後輸送方法、どの程度噂が広がっているのかも確認しておけ」

「はい」


 命令を聞いてすぐに姿を消した。元々しなやかで素早いやつだったが訓練されてかなり速くなっている。人混みの街中を駆けずり回るには良い人材だろう。ライカも速いが直線的だからな。人の間をすり抜けて活動するには彼女の方が適任だ。

 聞いたところによると貧しい時代はスリなんかをやっていたらしいしお手の物だろう。


 因みにニンジャ隊は諜報活動をしまくっている。

 嗅覚が敏感な犬人系には商品の材料やルート、人脈の繋がりを臭いを頼りにやってもらっているし。

 耳が敏感な猫人系には街の噂や話を盗み聞きして情報を集めさせ、街の話題や流行、スキャンダルなんかの表の情報を集めてもらっている。

 壁伝いに移動出来たり気配察知が得意な蜥蜴人系には建築物や地下に侵入して裏の事情を色々調べてもらっている。

 空を飛べる鳥人系には上から王都の詳しい地図を作成してもらったり人の流れを調べたりと広く高い視点でないと得られるない情報を集めてもらっている。


 いや本当に作っておいて良かった。多角的な視点で情報を集められるのはかなり強い。貴族や貴族の従者では出来ない視点で観察し考えてくれるというのも有難い。人それぞれ見ているポイントが違うのだ。

 それらの情報を集め、整理して連絡しているロランの高スペックぶりには頭が上がらないが。はっきり言って情報量が多過ぎて処理するのが大変なので、しっかりこなせる意味が分からんくらいだ。


 そういえばディパッシ族は意外と大人しいみたいな噂も流れてるって報告があったな。舐めて余計なことしなければ良いが、傾向としては悪くない。しっかり教育した成果が出ている。

 それでも血に飢えているやつらは多いし発散の機会があれば良いが……いや、これはフラグか。考えるのはやめておこう。スポーツとかで発散出来ないものか。相撲はめちゃくちゃやってるのを目撃するが、あれはディパッシ族だけでやってるともはや別の競技だな。アクロバティック過ぎる。ジャンプとか高速で背後に回るとか意味不明なんだよな。


「ロウゼ様」


 トゥルーネが少し疲れた声を出した。顔を見るとかなりやつれている。


「どうした元気がないな」

「当たり前ではないですか!」

「何をそんなに怒っている?」

「……ロウゼ様、この会議の間に絶対に婚約者候補を五人はリストアップしてくださいまし。領地の規模や外交を考えれば避けては通れません。流石にコンテ伯の家系の私には領地の女性代表として上級貴族の方々とお茶会をするのは荷が重すぎます」

「ああ、うん」


 それはそうだろう。領主同士ということで領地の格差はありながらもそれなりに友好的な関係を築けている自分と、名うての領地の女性代表として領主夫人や上級貴族に領地のことをあれこれ聞かれたりと社交するのは違いがある。

 それに、そもそも本来はトゥルーネの役割でもない。出来る人材がいないのでやってもらっているだけだ。

 レモンドと婚約の打診でゴタゴタしてから何となく忌避していたが流石にうやむやに出来るような規模ではなくなっている。


 一度、本当にレモンドと結婚して旧フィッツ派と友好にやっていくキッカケとするのはどうか、という議題が上がったが、これは兄のオーガに直接反対された。

 フィッツの貴族を抑えるのは自分達の役割で、急成長するテルノアールの領主夫人はもっと上の領地の領主の娘や上級貴族と婚姻を結ぶべきだと。

 ひと昔前ならテルノアールにとっては大きな繋がりだったが、フィッツ自体がそもそも落ち目で成長を続けこの勢いが失われることはしばらくないテルノアールはもっと先を見る必要があるのでレモンドと婚約するのはダメだと言われて流れている。

 同様の理由でトゥルーネの兄、ルークからも賛成出来ないと言われている。


 つまり、婚姻を結ぶ相手は他の領地から見つけなくてはいけない。実際、ギーズにもオルレアンにも妻を持たないのかと聞かれたことがあった。彼らは大きい領地で、様々な政治的な要因で夫人がいっぱいいる。王ほどの夫人の数ではないが、確か五人くらいはいた。

 五人の女性と夫婦の関係になるというのが異次元過ぎて全く意味が分からない。

 というか、彼らの話を聞いてると早かれ遅かれ娘や妹の辺りを紹介されてテルノアールとの結びつきをより公式なものにしようとしているのは感じている。

 逆に格上過ぎて、あなたたちの家族自分と婚約しろと言われたらブチ切れるんじゃないか?という卑屈な考えが出てしまう。


 とは言ってもだ、結婚する相手の候補を考えておくというのは領主として急務だろう。他領の貴族となると、会う機会も少ないし会議で王都に来ている今しかないと言っても過言ではないだろう。

 残念ながら良いと思っても家臣の会議によってありかなしかの判断がされるので、自分の意見がそこまで反映される気配はない。領主命令を発動したら無理でも無いだろうが、領地に関わる一大事をこの世界の理を大して理解していない自分の一存で決めるのは怖い。


「聞いているのですか!ロウゼ様!」

「あ、はい、聞いてます」

「なんですかその言葉使いは!あなたは領主なのですよ!」

「……はい、いや、ああ」


 物怖じせずハッキリと発言するトゥルーネを見て、妻は大人しい癒し系の女性が良いな。なんて思ったことがバレたらさらに怒られそうだ。

 尻に敷かれるタイプなのだろうか?


 トゥルーネに来年は絶対にこのような荷の重い仕事は勘弁だと言われてお茶会へ向かった。



 さて、会議二日目、気合いを入れていこうと思った矢先様々な領主から食事の誘いがあった。というか囲まれた。バレンタインでめっちゃモテるやつみたいな感じになったが一体何があったんだ?

 さしずめ、昨日の会食の噂が流れて上位領主注目の人物には媚び売っておくかって感じで来たんだろうと予測は出来るが。


 取り敢えず、オルレアン派閥、ギーズ派閥両方とも誘われて、派閥同士での食事会ということになり交友の機会が持てた。

 ギーズ個人とは仲良くしてるが一応敵対派閥なのでそんなの誘って良いのか?という疑問は残るが派閥のトップが良いというし、あちら側としても敵情視察出来るチャンスがあるのだから不快に思っていても嫌だとは思っていないようだ。


 会議が始まるまでは雑談などをして少し和やかな雰囲気であったが、王が入るなり、かなり緊急の事態でどうにも良くない空気が立ち込めた。

 貴族の挨拶をして全員が着席し、何事かと思っているもの、事情を知っていそうなものなど混沌としていた。

 そして宰相が口を開く。


「今朝方、ある書簡が届いた。火急の案件である為詳細を省きまずは事実を述べる……隣国、イェルマ王国が我が王国領地に侵入し攻撃を仕掛けたことで宣戦布告がなされた」


 イェルマ……西側に位置し、国自体が貧しく情勢が不安定で、策略が巡り王がコロコロ変わっている国か。まあ、目的は比較的豊かなうちの領土を奪うってところだろうけど。


「兼ねてより、国境では小競り合いが発生していたがとうとう侵攻してきたようで、早馬によって伝えられたが発生したのは一週間も前だ。現地の村は街は既に占拠されているやも知れぬ」

「そ、そんな……!」


 顔を青くして声をあげたのは隣国との国境に位置する領地の領主、センクタル卿だ。自領が侵攻されたとも知らなかったのならこの驚きようは理解出来る。自分の留守の間の襲撃など怒りが収まらないだろう。

 因みにオルレアン派閥は国の南と西、ギーズ派閥は北と東を支配している率が高い。

 テルノアール領は国の南でやや西寄りだがほぼ真ん中辺りで、ギーズ派閥だった旧フィッツやオートが近くなのはそういう理由だ。


「恐らく、この統一会議の時期を見計らったものだろう。領主が王都に向かえばその分戦力は落ちる。故に会議の開催は直前まで極秘であるが、何処からか情報が漏れていたと考えられる。情報の出所に関しては目下調査中である」


 他国に通じているやつがいるのか、スパイが潜り込んでいるのか。いずれにせよ敵は既に国の中にいるのだろう。


「宰相、発言よろしいか?」


 オルレアンが挙手をして発言の許可を乞う。


「許可する」

「確かに、会議によって兵力は中心である王都に集まり国境付近は下がるが、国全体の力を考えれば力量は差は歴然であるし、あちらも勝ち目はないことは明らかなはず。だとすれば一体何が目的だとお考えで?」


「それは国全体を狙うのではなく徐々に範囲を拡大するのが目的、もしくはこちらの兵力を削りやすい時に出来るだけ削っておきたいのではないか?」


 ギーズが発言した。なるほど、ヒットアンドアウェイ作戦か。取れる時期に取れるだけの量を狙い撃ちして国力を下げるのが目的なら今回の侵攻も理解出来る。

 正面から戦っても勝ち目はないのはあちらも分かっていての行動か。


「うむ、我々もギーズ卿とほぼ同じ考えである。問題はイェルマを鎮圧する為に兵を移動させることでこの機に便乗してくるであろう周辺国の対処の方が厄介であろう」


 宰相は少し頷きながらこの先に起こるあらゆる事態を想定しておりその懸念が僅かながら表情に現れていた。


「であれば、国の為にセンタクルは捨て早めに周辺の守りを固めた方が良いのではないか」

「そうだな」


 などと、ギーズ派の領主たちが小さな声で話し合っている。


「なっ!我が領地を見捨てるというのですか!」


 センタクルは慌てて立ち上がり勝手なことを言うなと憤った。


「しかし、センタクル卿、宰相殿のおっしゃる通り周辺国がこの機に乗じて行動するのは予測出来る。国のことを考えれば全てが滅びるか、一つの領地を捨てるかではどちらの方が利があるかは明白であろう」

「ッ……このっ!」


「よさぬかセンタクル!座れ」

「……はっ……失礼致しました」


 宰相に諌められ着席しながらも貧乏ゆすりが止まらないセンタクルの苛立ちは明らかだった。


 そして威厳のある咳払いの後、王が口を開き皆が注目した。


「貴公らの言い分にも一理あるとは言え、何もせずセンタクルを敵に渡すのは国の威信に関わる。何かしらの報復をせねばならぬのも事実。その解決法を皆で考える為に呼んだのだ。誰か何か案はないか?」


 そしてしばらくの沈黙の後、オートが挙手した。


「よろしいでしょうか」

「オート卿、何か考えが?」

「はい……僭越ながら……。我が国の兵士をセンタクルに集めるのは周辺の防衛に綻びを見せる為良い考えとは思えません。この場合、少数かつ精鋭で短期に決着をつけ周辺の国が便乗するよりも早く解決させるべきかと」

「……それはパラディンと近衛兵を出兵させるべきという考えか?」


「オート卿、其方王族直属の貴重な戦力を動かせと言っているのか越権行為だぞ!」


 宰相がこめかみに青筋を立てて叱責する。


「い、いえ滅相もない。王の兵を動かすなど危険な真似は考えてもおりません。しかしながらそういう人材がいるのは確かです」

「ほお、というと?」


 そしてオートはこちらをちらりと一瞥した。

 ああ、なんか嫌な予感がするな。


「ディパッシ族です」


 ほら、やっぱりそうだ。


「ディパッシ族は現在テルノアール卿の配下にあり、センタクル卿はオルレアン卿の一派でありテルノアール卿もそれは同じ。派閥のものに何かあれば派閥同士で守る。それが派閥というものを作っている意味でしょう。オルレアン卿派の問題はオルレアン卿派の者で解決させれば良いのでは?ディパッシ族の戦闘能力の高さは皆様ご承知でしょうし、これほど以上に適任な人材は私には見当がつきませぬ」


 こいつマジでうざいな。白々しい顔しやがって。俺が合図してリュンヌが首を『トンッ』ってやったら気絶ところか首から上吹き飛ばすくらい出来るんだぞふざけやがって。


「ふむ、どう思うオルレアン卿、テルノアール卿」


 これで嫌です無理ですとバカ正直に言える訳もないしどうしたものか、取り敢えずオルレアンの話聞いてみないと始まらないが。結局は派閥のリーダー、国のリーダーの決定に従うしかない立場にいることは変わらない。


「うーむ、オート卿の言うことにも勿論筋は通っているが、これは内輪での問題でなく国の問題であると私は考えている。解決には私の派閥でなんとかしたいとは思うが、我々だけでやるべきでないとも思う。戦地に赴くのは我々の兵で良いとは思うが、それらにかかる経費は派閥ではなく国に負担して頂きたい」


「勿論、早期に決着をつけることが出来れば損害は少なくなるはずで、周辺から一斉に攻撃された場合の損失を考えれば非常に意味のある戦いとなる。経費に関しては予算があるのでその点は心配あるまい」


「有り難く……それとオート卿、派閥の問題というような言い方だったが、我々の派閥もそちらの派閥も同じ国の民でありそれらは全て王の所有物だ。戦いに行けば少なくない数の命が失われる。つまり王の、国の損失となる。その意味をしっかりと理解しもう少し慎重に発言するべきでは?」

「くっ……失礼した……」


 あまりにも他人事な物言いに腹が立っていたところにオルレアンの厳しい指摘に少しだけ溜飲が下がった。

 雑魚領主が王の所有物に対する人事に口出しをしたのだ、あまり心情は良くないだろう。ディパッシ族だろうが普通に越権だと思う。


「そして、派閥の者の為に自らの民を危険に晒すというリスク、その他の損失それらを踏まえた上で私から聞こう。テルノアール卿、私の兵とともにセンタクルの民を救う気はあるか」

「あります」


 即答した。自分たちの仲間を危険に晒すのは勿論嫌だ。嫌だが、行うべきかどうかは明白で義務がある。今も侵略を続ける兵に怯えている人間がいると思うと安全な場所で呑気に他人事と思えるほど無情にはなれない。


 ふと、リュンヌの顔を見ると恐ろしい顔をしていた。思わず二度見したほどだ。あれはオートに怒っているのではない。一方的に攻撃している敵の非道さに怒り、今すぐぶちのめしてやると血が滾っている顔だ。

 あまり歓迎出来ない状況ではあるがディパッシ族はこういう場面には適しているし、彼らが自体がこういった状況を望んでいることも知っている。戦いたくて仕方がない部族だ。まず死ぬことはないだろうがそれはディパッシ族に限った話でありディパッシ族だけで行くわけにもいかない。戦争には戦闘員でないものもいかなくてはいけないし、無傷でいられる保証は何もない。


 そういったリスクを覚悟した上で、それでも即答だ。


「良かろう、ではオルレアン卿、テルノアール卿、センタクルの件任せても良いか?」

「「はっ!」」


 そして王は席を立った。


「では、オルレアン、テルノアール両名にセンタクルの民の救出、街の奪還、敵の殲滅を命ずる。出発は三日後、それまでに準備し必要なものがあれば何でも言うが良い」

「しかと拝命致しました!」


 そんなわけでこれからの国の全体的な防衛や情報交換に関する話し合いが行われた。

 そして長い会議がようやく終わり、クタクタになりながら屋敷に帰ってきた。

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