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異世界メディア論〜外れ領地でも情強なら無双〜  作者: ⅶ
season1 小領地の領主
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服の支給

今回は短いです、申し訳ない。

 ようやく仕立てられた服が届いた。といっても自分の服はまだだ。貴族の服なので、念入りにチェックが行われる。仮縫いされたデザイン案はどれも面白く気に入っていたのだが、トゥルーネの貴族的な視点からボツにされたものもあった。黒い服に関しては了承してもらえたがそれでも一悶着あったくらいだ。


 亜人と兵士の制服は街の服屋が総出でとりかかり、同じデザインのものを制作した。といっても亜人と人間では骨格が違ったりなど様々な問題があった為、人種ごとにデザインはやや異なる。見た目は同じではあるが、仕立てる時のパターンが異なるので店ごとに担当してもらった。

 自分の服は急ぎではないので、後回しにして制服を用意させたのだが、貴族を差し置いて作るなどと恐縮されたが軍事的に必要なものなので命令して最優先にした。


 服の受け渡しの為に全員を集合させる。門番など最低限必要な人員は確保しているが、ほぼ全員の軍事関係者が屋敷に集まっている。


「服が届いたので、これより支給する。兵士はすぐに仕事に戻ってもらう為先に渡すので、並ぶように」


 わらわらと服を支給する執事たちのもとに並び順番に受け取りを始めた。


 服を支給するというのは実はかなり贅沢なことだ。平民はよほど裕福で無ければお下がりだったり、つぎはぎしながら着古していくものだ。給与から一部引かせてもらってはいるが、服の効果を知ればそれも納得出来るだろう。正直領地の財政的にも厳しいが絶対に必要だと思うので後悔はない。


「新品の服なんて初めてだぜ」

「こんなん着てたら汚すのが心配で仕事が出来なさそうだな」


 嬉しそうに布を触り着替えていく。


「よし、皆ダンジョンで魔石を取ったことを覚えているな。1人1つは必ず持っているはずだ。胸の紋章のある場所に魔石を当てろ」


「胸に当てる……?」

「これでいいのか……わわっ!?」


 胸に当てると魔石は服に吸収されていき一体化した。

 実はこの服、魔道具なのだ。染料に素材を混ぜ込んでインクの魔道具を開発した。トゥルーネは大発見だと言っていたがそれは、まあ良い。魔石を当てると魔道具として完成する。


「これは、魔道具の服だ。魔石の力を使って衝撃を防御してくれる。危険な時に自分の身を守ってくれるだろう。一定以上の力が加わらないと発動しないので軽く殴ったりする程度では効果はないが、致命傷となるほどの攻撃を受ければ無効化してくれる。ただし、魔石の魔力が尽きるまでだ」


「身を守ってくれる服か」

「でもそれ鎧で良くないか?」

「馬鹿!鎧を着なくても守れるってことはその分身動きが軽くなるってことだろうが!」

「あっそうか、その分戦いやすいのか」


「その通りだ、身動きが軽くなるというのは戦闘において優位に立てる。しかもこの服はそこらへんの鎧よりも頑丈だ。刃も通さないはずだ。鎧を更に上から来ても良いかも知れない。さらに身を守れる可能性は上がるだろう」


「おー凄え!」

「……でもこの服高いんだろう……?」

「あっ……」


「お前たちの命に比べれば安いものだ。給与から少し引かせてはもらうが領地の経費として買っているので心配はない」


「まあ、死ぬよりはマシだな」

「確かに。死んだら終わりだからな」


「これからも定期的にダンジョンにて訓練をするので自分の服用の魔石は必ず採取しておくように」


「だから魔石を取っとけって言ってたんだなるほど」

「何使うと思ったら魔法の服とはびっくりだぜ」


「では兵士の諸君は業務に戻り街の安全を引き続き守って欲しい。解散!」


 兵士を長い間留めておく訳にはいかないので服を支給した後に早々に退散を告げて業務に戻ってもらう。何か問題があれば最前線に立つのは常に兵士だからこそ暇な時間などないのだ。それにある種報いる形で服を支給したという意味もある。

 さて、次は亜人たちだ。


「其方たちは学校の基礎教育課程を修了した。これより各地に散らばり諜報活動を行いながら引き続き訓練も行なってもらう。危険な場面に出くわすことも考えられるであろう、その服は自分たちの命を繋ぐものだと思い大切に扱え。また、其方たちの存在は決して誰にも知られてはならない。追い詰められた時、班員を見殺しにして存在を明るみに出すことを私は許さない」


 スパイにとって痛いのは対象に存在を気付かれることだ。気付かれない間に情報を集めることが最善な仕事だ。だからこそ人間には出来ない隠密活動がしやすい身体能力を有した亜人を採用したのだ。


「これより、作戦名をニンジャとする。其方たちは今日からニンジャ隊だ」


 黒い服を着て諜報活動を行う。忍者は派手な戦闘と忍術のイメージがあるが実際領主の抱える諜報部隊で情報収集が主な仕事だ。それらの仕事と亜人の部隊は丁度目的もビジュアルも合致し、作戦名が漏洩したとしても日本語なので意味は分からないという利点があり、ニンジャと名付けた。


「急激に成長する我が領ではそれを狙って攻撃を受ける危険性も徐々に増している。それを防ぐには其方たちが情報を集めることが何よりも大切だ。自分たちの仕事が領地を守るということを理解し、誇りをもって職務を全うして欲しい」


 亜人たちはビシッと緊張した真剣な表情に変わって仕事の意味を改めて噛みしめる。これまでは教えてもらう立場で仕事という実感は無かっただろうが、これからは身の危険もある仕事に変わる。大変ではあるだろうが、領地を守る為にもしっかりと働いて欲しい。


 さあ、テルノアールが外れ領地と呼ばれるのもすぐに終わる。馬鹿にしている貴族どもの情報を抜きまくって成り上がってやろうじゃないか。

やっとニンジャ隊が出来ました。最初から構想していたのですが、ここにくるまで長かったような気がします。

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