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異世界メディア論〜外れ領地でも情強なら無双〜  作者: ⅶ
season1 小領地の領主
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武闘会前日

久しぶりの投稿です。本業やらが忙しかったりしてすっかり時間が空いてしまいました。またぼちぼち投稿していきたいと思います。

 市場調査が終わり商人との商談もつつがなく終えた。ジュアンドルは嗜好品ではなく薬という扱いになるそうだ。嗜好品にしては効果が強く、価値も高くなるのでまだまだ嗜好品として売るには高価な商品となる。

 貴族や富裕層が主なターゲット層だ。材料は簡単に入るのだが敢えて最初は流通量を少なめで価値を釣り上げて徐々に量を増やし幅広く流通させたい。

 商人も今までにないものだと興奮気味で売れると言っていたし今後の売れ行きが楽しみだ。

 まずは、金を持っている貴族に買わせて知名度を上げたい。

武闘会で試供品としてある程度ばら撒こうと思う。出場する選手に使わせて効果を体感させる場として丁度いいかも知れない。行く行くは貴族以上に兵士や病人に需要のある商品になると睨んでいる。


 領主としての経営戦略はある程度立てた。さて、これから必要なのは……やはり貴族個人としての魔法に関する研究だろう。

 そもそも、魔法というものが何かということを知らなくてはならない。

 貴族以外に使うことは出来ないし誰にも教わることが出来ない以上独学で研究するしかないのが大変だ。 

 まず、何故貴族だけが魔法を使えるのだろうか。

 魔法を操る魔力的な何かが貴族のみが有していて呪文で発動する仕組みなのか、または誰もが訓練次第では使えるがその方法を貴族のみが知ることが許されていて平民には秘匿されているのか。

 まあ、貴族がわざわざ平民に対して自分たちのアドバンテージとなるものを公開するとは思えないし、どちらも可能性としてはありえる。


 取り敢えず体内の感覚を研ぎ澄まし魔力を感じるられるかやってみるがこれは以前にもやってみたが何も分からない。 

 耳を自分で動かしたり足の指を開くことが人によって出来ないように未知の感覚に意識を向けて操作するというのはその感覚自体に気付くことが出来ない限り難しいだろう。

 せいぜい風をふわっと出すくらいで何故風が起こっているのか分からない。

 魔力が体内をめぐっている感覚や魔力消費がまるで実感出来ないのだ。

 それに呪文がやたら長い。その文言一つ一つに意味はあるのだろうがこの世界で使われている言語とはまた違うもので、その言葉の意味が分からないのだ。 

 これで木でも切り倒すことが出来れば人並み外れた存在として貴族てメンツが保たれそうだが……。


 ん?いや待てよ人並み外れた力を持ってるのが貴族だけではなかった。

 隣のソファーでぐうぐうと寝ているリュンヌを見てふと思い出す。

 ディパッシ族の強さというのは屋敷で訓練している様子を度々見ていたし素早い動きと力強い攻撃を繰り出しは受けるということを同じ部族の者同士でやっていた。 

  しかし、リュンヌは訓練と言って岩を殴って爆裂させていた。

 いくら戦闘民族で、力が強いからと言って物理的に岩を拳で破壊するのは無理だろう。 

 武が極まったとしても身体の頑丈さには限界がある。筋肉は鍛えられても骨までは強く出来ない。


「おい、リュンヌ起きろ、おい、おい!」

「んん?なんや」

「お前らがディパッシ族は何故強いのだ」

「は?そんなん鍛えてるからに……」

「武術のレベルの高さを聞いているのではない素手で岩を破壊するのは不可能だ。何か特別なことをやっているのではないか」

「……ああ、そら俺らが大地の加護があるからやろ」

「大地の加護?なんだそれは全員が使えるのか」

「んーガキは無理やな、刺青彫ってないし」

「刺青がどうした」

「ディパッシ族のやつら刺青彫っとるやんけ」

「それは知ってる。刺青を彫ると強くなるのか?一体どういう仕組みだ?」

「どういう仕組みって……10歳になったら昔から伝わってる刺青を彫るんや、そしたら力が湧いてくるのが分かるから、こう、ガツン!とやったら出来んや」

「訳が分からんな、取り敢えず刺青を見せてみろ」

「はぁ?偉そうに、何で見せなあかんねん」

「見せてくれたら今日の食事は肉を多くしてやろう」

「まあ、ええわそれなら。見せる分にはタダやしな」


 そう言って上着を脱ぎ背中から腕にかけてびっしりと彫られた刺青を観察していく。

 これは、民族的な模様かと思っていたが文字の集合体か?

 ん?待てよこの文字どこかで見た気が。

 そうだ!親父の魔法書に書いていた文字だ。

 意味が分からなかったので現代文字で書かれた部分だけ読んでいたが確かにある。

 つまり、この刺青は魔方陣のようなもので体に魔方陣を埋め込んでいるから人並み外れた力が発揮されるのか!?

 しかし、魔法は貴族にしか使えない。魔法は魔力を使用して使うもののはず。何故ディパッシ族が魔法を使える?


「おい、その力を使うと魔力が消費されるような感覚はあるか?」

「魔力?それが何か分からんわ」

「んー、力を使った後に身体を動かした分以上に別の部分で身体が疲れたりすることはあるか?」

「いやないけど。体力が続く限りは無限に使えるが」

  

 何だと?つまりこいつらは魔力は使っていないのに魔法を行使しているのか。


「火を起こしたり風を動かしたりすることは出来るか?」

「は?そんなん出来る訳ないやんけ、そんなん出来たらな魔法や」

  

 いや、お前魔法使ってるだろ明らかに。ということは身体能力を強化することに特化した魔法ということなのか。


「もうええか?」

「ああ……予想以上の収穫だ今日の肉は大盛りにしてやる」

「よっしゃああ!」


 その後しばらく魔法書に改めて目を通した。

 いくつか疑問は残るがおおよそは理解した。

 まず、魔法書は魔法の文字?記号?の読み方と意味を翻訳したものだった。


 文字の本来の発音とその組み合わせを使うことで、例えば「風を」「右に向かって」「発射する」「中くらいの強さで」という風に一つ一つ意味がある呪文を唱えることで発動するということが判明した。


 この組み合わせのパターンが恐らく先祖代々の秘伝であり貴族ごとに独自のパターンがあるのだと思う。

 ページの上には記号の羅列、下には現代文で書かれた発音、その下にはどういう効果が生まれるかということは書かれていたのだが、それぞれの記号と発音が何に作用しているかと言うことが分からず一つ一つ呪文の一部を変えて唱えての確認作業だった。


 かなり大変だったが記号の意味が理解出来たので本にはない組み合わせで呪文を唱えてみると発動出来た。

 風の部分に火の呪文を混ぜると熱風を生み出す事が出来たのだ。

 そして呪文の意味を理解しながら魔力を行使する目的を持つことをイメージすることで魔法を発動することが分かった。


 なんかプログラミングに似ていると思った。あれもコンピュータにコンピュータ用の言語を使用して命令を書込み実行するという仕組みで大学でプログラミングの講義を受けていたので大体の原理は分かっていたが似たものがあると理解は早くて助かった。大学に通っていて良かった。


「しかし一々長い文章を口に出すのは面倒くさいな。


 プログラミングで言えば同じ動作をするのに毎回最初から書き直してるのと同じじゃないか」

なんというか、風を起こすプログラムを予め組んでおいてそれを引っ張ってきて強さや方向を好きに変化させられたら楽なんだが……と言っても関数のように数値を変化させられるような記号はないからなあ。

 で、呪文にしてもそのプログラム自体を呼ぶ呪文を唱えるだけで発動してくれたら一言で発動して強さや方向などの加減も思い通りなのに。

 これからも要研究だなあこれは。

 出来るだけ楽をしたい。というかこんなに長いと実践には向かないだろう。思ってた魔法と全然違う、くそ〜。


 机で頭を抱えながら夜更かしをした後は魔法のことについて考えながらベッドに入る。

 はあ、明日も武闘会があるってのに夜更かしが過ぎたな。明日はジュアンドルの宣伝で忙しいってのに。

 早く寝よう。




  ん?そういえば何故リュンヌには魔力消費が無いんだ?

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