王宮騎士育成学校⑫
やっちまった。
いや、ザイガ先生が本気で来い、って言うからさ、ついつい本気ではないけど出してしまった…
まさか皆からやべぇなんて言われるとは全く思わなかった…
「ウィータって、こんなにも強いのね…」
ターシャが遠い目で見ていた。
やめろ、そんな目で見ないでくれ…
「ウィータ君って強いんですね!」
リリムははしゃいでた。
すると倒れていたザイガ先生が、
「うっと、まさかこんなに強いなんて想定外だよ全く…俺は剣を抜く事すら許されなかった、ぜ…」
ザイガ先生は倒れた姿勢から立った。
「ほら、他のみんなもぼさっとせずに基本の構え続ける続ける!」
「は、はい!」
みんなは基本の構えを続けていた。
「ウィータはこっち来い。」
「はい…」
ザイガ先生まだなんかあるの?
ザイガ先生は俺の耳打ち際に来て、
「お前は強すぎだ全く…少しは俺に先生としての立場を取らせてもらいたかったぜ。」
「すいません。」
「ちなみにお前がめちゃ強いのはみんな知ってるって言ったよな。」
「はい、さっき聞きました。」
「あれを聞いたのはな、シルファじゃなくて、どうもだいぶ前からある噂っぽくてな。」
「噂、とは?」
「ああ、こんな噂なんだ。《王宮最強と言われた騎士ライノスがこの時代に転生しているという、転生後の名前はウィータという》ってな。」
いや直接すぎるだろそれ。
どんだけわかりやすいねん。
でもしかし、その事実を知ってるのは、パパさんやママさん、ラナ先輩やファルコン、ラファやあの二人ぐらいだぞ。
どうして第三者が知っているんだ。
しかし、現に情報が漏れている。
いや、初めから知っていたのか…?
それはありえなく無い話だが、その事についてはいずれにしろ決着がいつか着くはずだから、今は放っとくことにする。
「は、はあ。」
「俺も最初は信じなかったが、シルファが魔術の事を勧めてきた時に、理事長がライノス=ウィータ説の噂を言ったわけだ。すると、その事にはお答えできませんと回答したらしい。それで俺は直感で信じた。これは、何かを隠しているな、とな。」
ザイガ先生と言うより、理事長のその聞こうとしたことが凄いな。
普通は噂をラファになんて聞きはしない筈だからな。
余程その噂を信用をしていたか。
それか信用に値するなにか証拠があったのか。
「そ、それで?」
「この授業で俺はまずガンマが俺のぬるいぬるい授業に反抗すると思ってたわけだ。このまま都合よくお前と戦えれば良かったわけさ。」
ザイガ先生はこのガサツぽさに反して今のクラスの状況をよく理解していた。
冒険者の必須スキルだな。
「まあ、案の定お前は強かったわけだ。今更噂ってはお前は言い訳出来ないし、このまま理事長室に行って報告しに行くぞ〜♪」
「どうしてそうなるんですか!?」
俺は驚いた、というか話が飛躍しすぎてる。
よく分からない。
「いや、理事長に実はお前と戦えって頼まれててよ、都合のいいタイミングを見て戦う気だったんだけどよ、まさかこんなにも都合よく行くなんてな。俺ちゃんびっくりだよ。」
「俺もびっくりです…あはは。」
話は終わったぽいから、俺はザイガ先生から少し離れて、基本の構えをやり始めた。
まあ、案の定。
「ウィータ…君だっけ?すごいね!」
「なあ、俺に剣を教えてくれよ!」
「私にも教えてー!」
みんなから剣を教えてとせがまれるのだった。
「…ピキッ」
……なんか聞こえてはいけない音が聞こえたが、気の所為だよな?
▲△▲△▲
「ねぇねぇ、ウィータ君ってどこの出身なの?」
「なあなあ、どうしてこんなに強いんだ?」
剣術の授業が終わると皆から質問攻めになっていた。
ちなみに廊下でだ。
せめて教室にしてくれ。
そう言える勇気が俺にあれば…、あれば良かったな…
「ウィータ!」
「待ってくださいウィータ君!」
「ターシャ、リリム!」
2人が後ろから来た。
「一緒に教室に帰らない?」
「ああ、いいよ。」
俺は廊下にいた集団達から2人の方に移動した。
「助かったよ。」
「いや良いのよ。普段良くしてくれてるし、それに…」
「それに…?」
「な、何でもないわよ!」
またつんつんしていた。
ターシャってよくつんつんしてるのに、何故こんなにも交友関係が広いのか…よく分からない。
「あの、ウィータ君。」
「どうしたリリム?」
「さっき、ザイガ先生から呼び出し、って食らってませんでしたか?」
「あ。」
そうだザイガ先生に理事長室にこいって言われたんだ、すっかり忘れてた…っておい。
「リリムがなんで知ってる?」
確かにザイガ先生は耳打ち際で俺と会話していたはずだが…?
「あ、私魔術の訓練をこっそりして、略してコソ練、をしてまして、身体能力の上昇系って、普段から出来ますからね。」
「もしかしてずっとやってるのか?」
「はいぃ。」
リリムは化け物なのか。
どっからそんなに長い時間キープが出来る魔力の強さがあるのか分からない。
リリムも天才っていう事か。
「どうしたんですじっと私の顔を見て?」
「いや、リリムは凄いなって思っただけさ。」
「やったですぅ!」
リリムはピョンピョンと跳ねて喜んでいた。
「…ムス」
「どうしたターシャ?」
「いや、なんでもないわよ?」
ターシャは少しムスッとした顔をしていた。
何でだろうな、分からない。
その後教室に戻り、俺はダッシュで職員室へ向かった。
職員室に行き、ザイガ先生を呼ぶと、
「よお、遅かったじゃねえか。」
「訓練所が教室から遠いだけですよ。」
「そうかそうか。んじゃ理事長室に行くか。」
俺はザイガ先生について行った。
まず職員室から出て…え?
「職員室からは行けないんですか?」
「まあな。行けないようにしてる。」
そして階段のとこに差し掛かると、下にまだ階段があった。
「地下室なんですか?」
「いいからついて来な。」
俺はザイガ先生について行って地下室にある部屋に入った。
「よく来ましたね、ウィータ君。」
そこに居たのは凄くハンサムでもあり、すごく美しくもあり、大人っぽいと言ったら大人っぽく、子供みたいと言われれば子供っぽい人がいた。
なんで俺がこんな変な感じで言っているのか。
それは、俺がよく分からないからだ。
性別とかじゃなくて、雰囲気が。
ハンサムな男って言われれば皆からハンサムって言われるだろう。
だが、この人は美しいとも言われれば美しい女性とも言われるだろう。
そして大人っぽい雰囲気がある。
しかし子供っぽい雰囲気もある。
何だこの感覚…よく分からないな。
声から判別も出来ないっことは中性声か。
「そんなに睨まなくても大丈夫だよ。」
「え、あ、はい、すいません。」
俺は無意識のうちに睨んでしまっていたようだ。
何でだろう。
「ははは。元気のある生徒は歓迎だよ。」
「はぁ、ありがとうございます。」
「お礼はいいよ。それより、話の件だが。」
「はい。」
「君は、本当に転生者なのかい?」
「…ちょっと待ってください。」
俺はまず魔術の中にある結界、通信遮断、とにかく身を守る魔術を全て使った。
もちろんバレないように。
これが分かるのは正直前の時代でも一握りの人だけだったからな。
一通り準備が完了したので、
「準備は出来ましたよ。」
「そうか。では座ってくれたまえ。」
「え、何処にですか?」
理事長室には椅子はない。
「あ、中央ら辺に来てくれるかい?」
俺は理事長室の中央ら辺に来た。
すると、
「うわ!」
すると、突然下から机や椅子が出てきた。
まあ勿論結界を張る際に間取りは把握していたので、知ってはいたが。
驚かなければいけないと思いリアクションをした。
「どうだい、この仕組みは?」
「驚きましたよ…」
「まあ、もてなした客を楽しませるのが僕の楽しみなのさ。」
多分理事長はまあまあ性格が悪いのではないかと思う。
そして俺らは出てきた椅子に座った。
机の上には親切に紅茶が置いてあった。
1口。
うん、紅茶は美味しい。
「リラックス出来たかい?」
「まあ、一応。」
「それでは本題に入りたい。君は転生者、で間違いないんだね?」
「はい。」
「異世界から来た転生、では無いんだね?」
「異世界から来た転生、とは?」
「ああ、これは法国ラビリークエズ、北の方にある国の情報なんです。あなたは法国については?」
「ご存知、では無いですね。」
「ああ、君のいた時代は確か1000年前だっけ?」
何故ここまで筒抜けている。
「何処で1000年前とわかったのでしょうか?」
「ああ、そのことはラファ様から聞いたよ。」
あ、一応ラファはシルファのお偉いさんだっけな。
「話を戻して。法国は800年前に出来た大規模な国です。今大陸は中央に大皇国、西に共和国、北に法国、南に教国、そして東の国大小様々からなる東和国があります。」
「大陸外には?」
「はい、大陸から大きく西にある女王の国、そして遥か東にあると言われる大瀑布の手前にある機械の国がございます。」
俺の頃より世界が広がってる。
先人が海を越えて発見したに違いない。
「それで、法国と異世界人の転生、とは?」
「はい。約2年半前、法国で大規模な魔力の反応が見られました。その反応が、異世界人を転生させてきた、ということなのです。」
「証拠等はあるのか。」
「はい。今大陸中で急速に流行っている、お弁当箱があります。それは、我々の技術では作ることが出来ないんですよ。」
「そうなんですね。」
「はい。そもそも材料が何で、作り方も分かりませんかね。」
「異世界人は何故弁当箱を作っているんだろうな?」
「恐らくですが、法国はこの技術を持って、各国の有能な人材を引き抜こうとしてるのかもしれませんね。」
人材が法国に大量に行けば、技術の格差が生まれて、他の国では発展が止まってしまう。
それだけはまずいな。
「それで、話を戻し、何故法国は異世界人を転生させてきたわけなんだ?」
「はい。多分、自分たちが正義、となるためでしょう。」
「そうなのか…」
力の正義は間違っている。
力は支配するあるんじゃない。
守るためにあるのにな。
「あと、まだあります。」
「まだ、あるとは?」
「はい。実は…」
次の言葉を聞いて俺は衝撃を受けた。
お前は…
「あなたを殺すために、女神様みたいのと協力呼び出されたそうなのです。」
5月1日まで両作品を休みます。
理由はギガ切れなので、しばらくお待ちください。




