決闘
翌日。
「ウィータ!起きろ!」
とパパさんの声で起きた。
う~ん何か変な夢を見たな、という感じた。
そしてその夢の中で唯一覚えていることが,
“また来るべき時になったらまた現れますよ”
か。
どうゆうことだろう?
まあ気にしてても先には進まない。
さあ、今日は冒険者学校二日目だ!
元気よく行こう!
と思ったのに…。
「ウィータ、俺と決闘しろ!」
とファルコンが言ってきた。
どうしてこうなったんだ?
▲▽▲▽▲
それはおよそ五分前の事。
「ウィータ君、おはよ!」
と校門に入るときにラナ先輩から挨拶された。
「お早うございます、ラナ先輩。」
と俺も挨拶を返した。
そしてラナ先輩の顔を見ると、何か…、何だっけ、何だろう、パッとは出てくるんだけどな…。
そう考えていると、
「あれ、先輩?昨日夢に出てきませんでしたっけ?」
と言っていた。
待て何を俺は言っているんだ?
そんなこと言ったら俺が変態みたいじゃないか。
まあ実際変態なんだけど。
いやいや、そんなんじゃありません。
俺は紳士です。
とりあえず言い訳をしないと。
「あ、違うんです、先輩。決して先輩ではなく、先輩に似た別の人ですよ。すみません、急にこんなこと言って。」
と自分ではいい言い訳ができたと思っているんだけど、
先輩は、
「う、うん、だ、大丈夫だよウィータ君。私はこんなことを後輩から言われても動じない先輩。そうよ、私は先輩。」
と動じまくってしまった。
あわわ、どうしようと思っていると、向こうから誰かが来た。
「ラナ!大丈夫か!」
と現れたのはファルコンだった。
「私は先輩…、うん、あ、ファルコン。どうしたの?」
と少し厳しめな表情でファルコンをラナは見ていた。
まあそれはライバルだからね。
とラナ先輩は思っているようだけど。
ファルコンはそんなこと思ってもないよ。
多分だけど。
「くっ、何で冷たい視線で俺を見ているんだラナ?俺は何も悪いことはしていないが…。」
とファルコンが正しいことを言っていた。
確かにファルコンはラナ先輩に関しては悪いことはしていない。
ラナ先輩に対してだが。
それ以外には評判は最悪だ。
「そ、それもこれもお前のせいだ!」
と俺を指さして来た。
「何で?」
と質問をするしか無かった。
ファルコンは急にこう言った。
「今から俺と決闘しろ!」
と。
「は?」
俺はすっとんきょうな声を出してしまった。
▲▽▲▽▲
そして俺はファルコンと決闘をすることになった。
正直一度あんな負けたんだから戦わなくても結果は分かるだろう、と思ったけど、ファルコンはラナ先輩に惚れてるからな。
これは避けられない戦いだった。
でも、
「授業はどうするんですか?」
とラナ先輩とファルコンに質問した。
「すっぽかす!」
とファルコン。
「少しサボるよ!」
とラナ先輩。
この先輩方は…とも思った。
でも先輩方は成績が優秀なので、何にも言えないのであった。
ちなみに俺のランクは色々模擬試験で免除されてEである。
一年生ごめんな、と心のなかで謝った。
そして我に帰ってファルコンの方を見てみたら武者震いをしていた。
それは昨日の今日だからな。
ファルコンは自分の頬を思いっきり叩いた。
ちょっと変な声が出てしまっていたが、これで気合いが入っただろうな。
「よし、やってやる!」
「準備は良いですよ、先輩!」
そして男の戦いが始まった。
周りには人がたくさん居る。
みんな授業すっぽかし組だ。
この戦いは結構注目を浴びている。
まあ関係ないけどな。
先にファルコンが動いた。
まずはファルコンの先制攻撃。
左足で地面を蹴り、加速、その時右手で抜刀準備。
俺の二歩の距離になったら、抜刀して二段切りを放った。
その攻撃を俺は避ける。
「どうなっているんだ…。」
とファルコンは呟いた。
ファルコンは抜刀し終わった後も加速は止まらず、その状態で態勢を立て直し、右足で一歩歩いたところで右足で無理矢理に反対側にターン、そのままの勢いで体を前に突き出した。
剣を鞘に戻してそのまま更に加速。
さっきと同じ間合いで三段切りを放ってきた。
しかしそれもすべて避ける。
そして三歩歩いたところで停止。
これじゃ埒が明かないと気づいたのか、ファルコンが何かを仕掛ける。
「仕方がないか…。こんなとこで俺は負けられないから、な!」
「力の精霊よ、今こそ我に力を与えたまえ、
身体能力向上(小)!」
全身に薄いオレンジ色の霧が見える。
相当この魔法を頑張って習得したと思われる。
「さあ、いくぜ!」
ファルコンはさっきと比べて段違いに早くなった。
左足で踏み切った足はたった一歩で俺との間合いを埋める。すかさず抜刀をして四、いや五段切りを放った。
俺は全て避けきることもできたが、俺は剣を抜刀して一つだけわざと受けた。
拮抗しているのを、勘違いさせるためだ。
ググっと剣の音がした。
両方の剣から火花が散った。
少しファルコンが押されていた。
このままだとファルコンは力で俺に負けるな。
「うぐっ…、こんなところで…!」
このままだといけないと悟ったファルコンが一旦後ろに身を引いた。
賢明な判断に度肝を抜かれた。
流石だと思った。
あいつは腐ってもBランク、てことの証明なのかもしれない。
でも力の差を見せてやる。
ファルコンは更に強くなるための技を使った。
「これも耐えるなら、最後の技だ!」
と言った。
「火の精霊よ、力の精霊よ、我が剣に纏え、
身体能力向上(炎)!」
剣にもオーラを纏わせたか。
うむ、物凄い空間魔素を使うな。
直に足りなくなってしまうが、全てをぶつける気満々じゃないか。
でも、面白い。
「怪我、しても後悔するなよ!」
まず両足で溜めて、ジャンプをし、一定の高さまで行き落下の重力さえも利用し、剣を右手を抜いて両手で剣を持った。
普段、絶対使わない技というのは分かった。
こんな技を使わなくても魔物には勝てるしな。
だから、ファルコンは本気で俺を倒そうとしている。
ならば俺も!
「それを全力で受け止めてやる!」
全力、は流石に嘘だか。
そしてファルコンの炎を纏った剣は俺の剣と接触して、力の押し合いが始まる。
ファルコンの口が力む。相当の力が入っていることだろうな。
だが、
「俺には敵わない。ごめんな。」
俺はファルコンを地面に叩き落とした。
少し早めの速度で。
「うぐっ…は…。」
うめき声を上げたファルコンは、そのまま気絶。そして治療院に送られた。
それはたった一瞬の出来事だった。
みんなは唖然としていた。
俺は決闘に、勝利したのであった