ラナの決断
俺が魔術を教えるため、ラナ先輩が良いところがあるとラナ先輩に着いていって五分、俺は近くの森も茂る野原にいた。
「よし、ここなら魔術の練習が出来ますね。」
と俺は言った。
「楽しみだよ!」
とラナ先輩が言った。
最初から見たときより徐々にイメージが変わり始めている。
最初は綺麗な人だな、と思っていたのが、今ではもう残念美人だ。
それは置いといて。
「今から魔術の練習を始めます。」
「はい!」
とは言ったものの、魔術の練習なんてしたことがない。
もう物心ついたときからは魔術を上手く操っていたからな。
教えるにしても、術式を教えれば良いのかな?
「今から術式を教えます。術式をよく聞いて覚えてください。まずは簡単なものです。」
「はい!」
とラナ先輩はもうはいとしか言ってない。
でも一番妥当な魔術か…。
何かいい魔術はないものか…、そうだ、あれがあった。
上手く唱えられるかは分からないがな。
「古より存在する小さき竜よ、今こそ我に力を授けたまえ、小竜の一撃!」
と目の前に小さな、およそ一メートル位の竜が出てきた。
そして小さな口を最大限に開けて、ブレスを放った。
そのブレスは近くにあった木を何本も折った。
ブレスの余波を受けた草は燃えて無くなっていた。
竜はそのあと最初からここに居なかったみたいに消えてしまった。
「という術式です。どうですか?」
とラナ先輩に問うてみたところ、驚愕の視線をこっちに向けていた。
「え、あんな簡単と言ってたものがあんなに強いの!今までの魔法を作った人が見たら絶対に驚くよ…。」
と口から言葉が出てきてしまってた。
これより強い魔法なんかが絶対筈なのに、何で驚いてしまっているのだろう?
まあいいや。
「では、ラナ先輩もやってみましょう!」
と俺が進めたら、
「いやいやいやいや!こんなのできるわけないでしょ!」
と拒否してきた。
「いや先輩がやりたいって言ったからお手本を見せてあげたでしょう!」
と少しキレてしまった。
平常心、平常心と思っていると、
「だってあんなに魔力を酷使すると、あっという間に私の魔力が無くなっちゃうでしょ!」
と言ってきた。
え、あんな簡単な魔術でも唱えられないのか…。
流石に俺も悩みざるを得なかった。
魔力の消費が少なく、かつ教えられやすい魔術…、う~ん。
「ウィータ君?」
とラナ先輩が心配してくれたが、
「ちょっと待っててください、ラナ先輩。今もっと簡単な魔術を探しています。」
と聞き流した。
簡単な魔術、簡単な魔術と考えていると、ラナ先輩が少し近づいてきた。
「ウィータ君、私やっぱり魔術を習うのをやめるよ…。」
と言ってきた。
ここで俺の中の教育魂に火が着いてまった。
「何で勝手にやめますと言っているんですか先輩?」
と俺は問いかけた。
「え、それはだって、まだ私の魔力総量が少ないから…。」
とラナ先輩が言ってきた。
軟弱者、とでも思ったが、それは口に出さなかった。先輩だって女の子なのだ。
今は関係ない。
こんなことを言う生徒には少し怒らないといけない。
「それは言い訳ではないのか?」
と俺は言ってみた。
そうすると、
「確かに私は他の人よりかは魔力総量は多いけど、ウィータ君がさっき打った魔術は打てないし…。」
と模範みたいな回答をしてきた。
「だから、やってもみてないのに、何で勝手に出来ないと決めつけるんだ!」
と強調していった。
そうすると、ラナ先輩が少しビクッとなっていた。
これも先輩には必要なこと、と思いつつ続けた。
「先輩は頭が多分いいです。その理由は、先輩は私の使った魔術が理解できたからです。召還魔法と従属魔法を合体させたみたいな魔術を使ったからです。多分先輩はどっちも使えると思いますが、片方分の魔力しかないでしょう。だから、先輩は打てないと思ってしまった。そうですか?」
と言った。
そして先輩は沈黙をした。
俺の中では沈黙は肯定と見なしている。
つまり図星だ。
俺は続けた。
「けど勝手に決めつけないでください。まだ先輩は試してもいないでしょう?もしかしたら、二つの魔法を合わせてやるよりも魔力の消費は少ないかもしれませんよ?俺は、好奇心からやりたいと言ってきたものには最後まできちんとやらせていただいます。ここでやっぱりやらない、と言ったら私は教えるのをやめます。その代わり、あなたとあって教えた記憶は完全に消します。先輩はどっちを選びます?やりますか、やりませんか。」
と言い終わった。
これは先輩の選択だ。
俺がとやかく言う必要はない。
記憶を消すのは脅しではなく本当だ。
そうしないと不味いことに巻き込まれてしまいそうな気がするからだ。
「わ、私は…。」
さあ、どっちだ。
「続けたいです…。」
と言ってきた。
「はい、わかりました。」
と俺は優しく言った。
▲▽▲▽▲
その後リトルブレスの練習をした。
まず小さな竜を召還するところまでは出来た。
けれどそのあとの従属が出来なくて、どこかにすぐ行って、消えてしまった。
普通に魔力総量が足りないだけで、どうにもならない。
俺は魔力を分けることが可能だが、人には耐えられる魔力の総量がある。
それを越えると流石にどんな人や魔物であっても死んでしまう。
例に漏れず神も死んでしまう。
しかし、俺が出来るのは魔力を渡すこと位しかない。
「~~リトルブレス!」
と唱えてもう十回は越える。
未だに召還までしか上手く出来ない。
う~ん、何かいい方法でも無いのか、と考えていると、
「はあ、はあ、早く補給をお願いします…。」
と召還途中で言ってきた。
仕方なく補給をしてあげると、何と補給をしたそばからすぐ消えて補給をしている状態になっていた。
そういうことか、と俺は納得した。
自分一人で打てないならば、補給しながら打てばいいとラナ先輩が言っているように見えた。
だけどそれではいざというときに打てないのではないか、と思ったが、まだ初回だし、これくらいでもいいか、という事で納得した。
なので召還して魔力を消費しながらすかさず魔力を補給をする状態に入った。
そしてそれを維持していると、小さな竜の従属に成功した。
そして小さな口を最大限に開けて、ブレスを放った。
そして消えた。
魔術は成功したのであった。
「……………やっっっったっ!」
とラナ先輩はめっちゃ喜んでいた。
結構顔は土まみれになってしまったが、これも成功の証。
「良かったですね。」
と俺は誉めたら、
「ふうっ、ちょっと気が抜けたら体が疲れちゃて動けないや。」
とその場でペコン、と座ってしまった。
「立てますか?」
と俺が言うと、
「じゃあ、立たせて貰おうかな。」
と笑顔で言ってきた。
ラナ先輩の笑顔がその時めっちゃ眩しかったくて物凄くドキッとした。
そうしてラナ先輩は、こんなことを言った。
「ねえこのあと、私の家来ない?」
と聞かれた。
「行きますよ。」
とすぐに返事をした。
そうすると、
「じゃあ、家族全員で来てね!私も家族全員で待ってるから!」
と足早で帰ってしまった。
多分準備があるんだろう。
しかし、ち進展があったと思ったら、いきなり家族全員で来い、か。
まあいいや。
ラナ先輩の家がめっちゃ気になって早く帰ろうとしたけど、俺はゆっくりと帰った。
ラナ先輩は今必死に準備をしているから、俺も家族に伝えて少しかっこいい服を着て来ようとしよう。
そして家に帰ってその事を伝えたら、
「流石僕の息子だ!」
とパパさん。
「先輩たちの家族の方たちに粗相がないようにしないとね。」
とママさん。
そして普段着ないような服を三人とも着てラナ先輩の家に向かった。