表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪霊狩り  作者: 高塚凛
9/20

第8話

体育館裏を疾走する巽の姿があった。

彼は、今、2体の悪霊を相手どり戦闘の最中であった。

2体のうち1体に接近し、短刀を降り下ろした。だが致命傷に浅く、悪霊は、後ろに後退する。その瞬間、もう1体が黒いもやを槍のように突きだした。

「ちっ!こいつら、戦術的に動きやがる」

思わず巽は、悪態をつく。

その間にも、自分に向かってくる槍を短刀で受け流していた。

「憑依前の悪霊も、2体の揃うとなかなか厄介だな。」

そんな事を言いつつも、巽はもう一度悪霊に肉薄した。

ザシュ!

肉薄した悪霊から、そのような音が聞こえると同時に、1体の悪霊は、霧が晴れるかのように消滅した。

「よし、残りは1体!」

最後に残った悪霊は、もや全体を槍に巽に襲いかかる。

それの間をくぐるように、巽は、ステップを用いて接近する。

「もらった!」

今度は、確かな手応えをその手に感じる巽であった。その手応え通りに暗いもやは、霧散したのだった。


「ふ~やっと終わったな。」

俺は、額に浮かんだ汗を軽く拭い、通信を入れる。

「状況は終了。恵、そっちは、どうだ」

「こちらには、悪霊による異常はありません。ただ、早乙女さんが、仕切りに脇腹を押さえて、痛がっているので、念のため保健室に連れて行きます」

「雪美さんがか?」

「はい、もしかしたら、何らかなの異常があったのかもしれませんね」

「了解した。俺も今から保健室に行く」

「わかりました。お待ちしています」

俺は、通信を終えると保健室に向かおうとする。

その時、木の上から拍手が聞こえた。

何事かと視線を向けると、一人の青年が座って居た。

「女王の波動を感知して来てみれば、面白い余興に会えて、満足したよ」

青年は、歪んだ笑顔を浮かべながら、言う。

俺は、吠えるように青年に言った。

「何者だ!お前は!」

青年は、さも当然と言うように語る。

「君達の表現で言うなら、僕は、特級の悪霊さ♪」

「なっ!?貴様が特級悪霊だと!」

「そう、僕はウリエラ、女王を探し求める者」

悪霊ウリエラは、俺の前に降りてくる。

その瞬間、銀色の一閃が舞う。

だがウリエラは、何ともないように、その攻撃を指先で止めた。

「危ないな~。これだから、人間は恐いんだよ。」

俺は、顔に憤怒の表情を浮かべ言う。

「貴様らの方が人間に憑依し、危害をくわえているじゃないか」

「それは、意見の相違だね。僕達はただ女王を探し求めているだけだ。その過程で邪魔なものを掃除しながらね。」

ウリエラは、また歪んだ笑顔を浮かべ言う。

「貴様らの行動が掃除だと、そのせいで多くの人が不幸になっても!」

「そう、掃除さ。邪魔なものが無くなれば、女王を見つけやすくなるかね。」

その言葉を聞くやいなか、巽は、また銀の短刀を振るうが、ウリエラは軽く後ろに仰け反り、逃れる。

「君とは戦う意思はないよ。」

再度、短刀を振るうが、ウリエラには届かなかった。

「まぁ今回は、女王がここにいるかもしれないとわかっただけども良かったよ。それじゃ僕は帰るとするよ。じゃねぇ女王のナイト君」

ウリエラは、影の中に溶け込むように、この場を去ったのだった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ