表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

結婚式

 浮いている。

 私は、人間から、人間の世界から、浮いている。今、浮いている。

 はっきりと認識した。私は、ここに存在してはならない。それでも、私は友人の為に笑顔でいなければならない。祝福の笑みを浮かべ、盛大に手を叩いて、場と一緒にお祝を挙げなければならない。

しかしどうだ。なぜ私はここにいる。

 結婚式などという一番私に一番遠い所に。新郎と新婦は私の友人だ。あの二人は、なぜ愛なんてモノで繋がろうとしているのだろうか。そんなもの存在しないのに。どうせ数年すれば熱も冷めて、別れたくなったりするのだろう。お互いが気に入らなくなるのだろう。結果は離婚だろう。なぜ、そんなことが、こんな簡単なことが、想像できないのだろうか。


 愛とはそんなに強固なものなのだろうか。この二人は、君達は、一体何者なのだ。もちろん人間だろう。そうだった。私が違うのだったな。


 人間の皮を被って、人間のフリを精一杯した「出来損ない」

 現実から浮いている。笑いながら浮いている。偽って笑っている。偽って浮いている。私の周りだけ、ジグソーパズルの破片が見つからないように、ぽっかりと世界が違う。欠席で集合写真に写らないで、一人だけシールで真顔の写真を貼られたように、生きている空間が違う。


 成功した新郎と新婦の歴史に司会が進む。

 涙がじわりと滲んだ。彼等にではない。醜くも、自分にだ。

 そこで成功者に名前を連ねるのは私のはずだった。私だって、同じスタートだったはずだ。

 そう涙した。

 いや、違う。これを書いていて気が付いた。

 私は、生まれた時から、違うじゃないか。私はあんなに幸せな家庭じゃなかった。

 じゃあ、もういいや。そうだ、そうだ。苦しんでも、悲しむ必要はない。

「私の所為じゃない」と言う癖に、に「私が悪いんでしょ」と自己嫌悪の優越感に浸る、私の日常に戻ろうか。

 しばらくは。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ