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第5話 「グリード•ヴォイド」

「頼む助けてくれ!まだ死にたくないんだ!」ニット帽を被ったチンピラが必死に懇願する。


「う〜ん可哀想ですけどこれもお仕事なんで死んでください!」次の瞬間チンピラの頭部にナイフが突き立てられ白目を剥いて生きたえた。


「こっちは片付きましたしエルザ様達に合流しないと」


ナイフをチンピラから引き抜いた後ドナは1階を後にする、彼女の足下にはおびただしい惨殺死体が散らばっており彼女が歩く度にヌチャヌチャと音を立てていた。


「帰ったら新しい靴と服を新調しないとですね」ドナはナイフの血のりを拭き取りながら後にした。


「ボスは何処に居るんだ!?俺達の手には負えねえよ!」チンピラ達が階段を駆け上がりながら叫ぶ。


その間にも階下では悲鳴と銃声が鳴り響く、得体のしれない訪問者達を前に武装した仲間達は一方的に蹂躙されるだけだった。


「おい、何だよお前等やめろ近づくな!来るなぁーー!」先導していた男の悲鳴が聞こえる慌てて前方を確認する為に振り向いた瞬間、グチャ!と何かを潰した音共に土色の肌をした女達が上階から降りてくる。


「お前等ボスの相手をしてた娼婦(フッカー)共だよな?ボスはどうしたんだ!それに先頭に居たラメンズはどうした?」男の問いに答えるかのように女の一人が無造作に何かを放り投げる。


「ウワァ!何だよこれ!」男の顔に当たり温かくネットリとした液体が顔に掛かる。足元に転がったそれを持っていたライトで照らすと。


「ラメンズ!?ラメンズの首だぁ!」それは顔を食いちぎられ無残な姿になったラメンズの首だった。男が恐怖に慄き女達をライトで照らすと女達の顔は生気が無く口元にラメンズのものと思わしき血液と鋭い獣の様な牙が生え揃っていた。


女達は唸り声を上げると一斉に男達に喰らいつき肉を引き裂いていった。後には男達の断末魔と女達の高笑いだけが響いていた。


「退屈だ唯の人間を撃っても何も楽しくないな」黒いスーツの少女が階段を登っていく彼女の足元には眉間を撃ち抜かれた男達の死体が転がっていた。


「エルザ様お待ちしておりました」階段を上がるとブロンド髪の女性が待っていた。


「貴女が一番乗りねレイス他の皆は?」


「まだ見ていませんねドナは地下を調べると言って別れましたし、アリシアは単独行動が主ですから先にターゲットの所に着いているかもしれません」


レイスの報告を聞いた後エルザが少し笑いながら歩く。


「あの2人なら大丈夫よ私達はマイペースで行こうか」


エルザが軽口を言ったのと同時に上階に続く階段から男の身体が転がり落ちて来た。その身体は四肢をもがれさながら猛獣の食べ残しの様な状態になっていた。


「どうやら本番のようだ、レイスフォローを頼むよ」


「かしこまりました」2人はそれぞれ獲物を取り出す。


エルザはシルバーメタリックと薔薇をあしらった装飾のリボルバー、レイスは素手だった。


2人が臨戦態勢を取ると上から唸り声を上げながら女達が現れた、手には獲物から引き千切った足をもち歩く度に肉がすれズリ、ズリと音をたてていた。


「グールか見た感じ死後数時間程の新鮮な奴だな」


エルザが分析する間にも続々と女達が降りてくる。


「エルザ様始めますか?」レイスが静かに合図を待つ。


「ああ、哀れな魂に救済を!」


その合図と共に殲滅が始まる、エルザがグールの眉間に弾丸を撃ち込む着弾した瞬間グールが激しく痙攣し砂状に変わる。それに続く様にレイスが掌をグールに向ける。


「深き闇の公爵よ我の呼び声に応えよ」レイスの祝詞が終わると掌から無数の黒い触手が襲いかかる、グール達はなすすべもなく取り込まれレイスの掌へと引き摺り込まれていく。


「こっちは終わったけどそっちも片付いたようだな」


エルザがレイスの方を向くと掌の闇が消え再び手袋をはめていた、グール達はおろか周りに転がっていた男達の死体も血の一滴残さず消えていた。


「お見苦しい所を見せてしまい申し訳ありません」


レイスが軽く謝罪する。


「気にしなくても良いそれに君の本体も久方ぶりの食事を楽しんでいるだろう?」エルザの軽口を聞きレイスが少し嗤う。


「エルザ様最近お変わりになられましたね」


「そうか?まあそう思うならそうなのだろうな、先を進もうか2人も待ってるだろうし」


2人は静寂を取り戻した広場を後にし進んでいった。


銃声が止んだどうやら彼奴等では時間稼ぎにもならなかったか、男がアタッシュケース片手に長い廊下を歩いていくその間にも右腕に嵌めた時計から発信を行う。


「こちらキャリック脱出用のヘリは送ったか?」背後で爆発音がし男がさっきまで居た部屋が燃え盛る。


「1人だけ逃げるとは感心しないな」闇に包まれた廊下の奥から声が聞こえる。


「随分と鼻が利くなあんたもこっち側何だろ?」


キャリックが声の主に語り掛けると暗闇の中から漆黒のレザーコートに身を包んだ女が現れた。


「お前のような紛い物とは違うがな」女は鋭い視線を送りながら男を貶す。


「紛い物かするとアンタが世にも珍しい純血種様かお目にかかれて光栄だよ」キャリックが大袈裟に腕を広げながら語る。


「それで純血種様がこんな所で何の用だ?」


「私の主がお前の持っている物とお前の飼い主を追っていてな」


「うちの商品に興味があるのか?それは良いどんな役立たずでも強靭な生物に生まれ変わるぜ?」キャリックが一本取り出しながら言う。


「それと俺の飼い主かそれなら自己紹介をしようかお客様」キャリックが深々と頭を下げながら名乗る。


「俺の名はキャリック・ウォレンス、そして我が崇高なる組織の名は強欲と混沌(グリード・ヴォイド)俺はそこのビジネス担当の元締めだ」


「強欲と混沌か、つくづく何の理念も無い下衆な連中だな」アリシアが吐き捨てるとキャリックが顔を上げる。


「それじゃあ、紛い物と純血種どっちが本物か試すかい?」


「面白い退屈させるなよ」2人は炎が燃え広がるビルの事もそっちのけで戦闘態勢へと入った。


第5話 完


第6話に続く。

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