第4話 「初めまして化け物共」
「二人共戻ったのね」二人がクラブを出て車の扉を開けると、中でウィスキーの入ったグラスを持って談笑するエルザと少し頬を赤らめるドナが居た。
「ただいま戻りましたエルザ様」
「随分と楽しそうだな今度私達にも参加させてくれ」
アリシアとレイスが車に乗り込む、レイスが運転手を務めエルザの隣にアリシアが座る。
「あれ?動いてる?世界が私を中心に動いてるんだ〜!」ドナが急に支離滅裂な事を言う。
「エルザ様この子にお酒を飲ませたんですか?」レイスが運転しながらエルザに聞く。
「ええ、私だけ飲むのは可哀想だし少し位なら良いかなって思ってね」エルザが答えるとレイスが溜息をつく。
「エルザ様お忘れかもしれませんがドナはまだ17歳の子供なんですよ?それなのにお酒を飲ませるなんて」
隣で溢れんばかりの笑顔を見せるドナを横目にしながらレイスが再び溜息をつく。
「そう?私が彼女位の時にはお父様とよく晩酌してたわよ?」エルザがウィスキーを煽りながら笑う。
「ああ~!エルザ様だけずるい!私にもくださいよ!」
ドナがエルザの元へと身を乗り出す。
「ちょっと危ないですよ!それに年頃の乙女がそんなはしたない事は止めなさい!」レイスがドナを叱りつける。
「うわぁぁ〜ん、レイスさんがイジメるよ〜!」と急に泣き出す。「私が悪いんですか!?」レイスも驚いた顔で言う。
「おいでドナ、私が慰めてあげる」エルザに優しく呼ばれドナが後ろの席に移る。それと入れ替わる様にアリシアが何時の間にか助手席に移動していた。
「エルザ様〜レイスさんが私を虐めるんです〜」
「大丈夫よ貴方は何も悪くないからね、悪いのは貴方にお酒を飲ませた私なんだから、レイスを嫌いにならないであげてね」エルザがそう言いながら子供の様に泣きじゃくるドナをあやす。そんな二人をレイスが羨ましそうにバックミラーで見ていた。
「今日は本当についていませんね、変な男には絡まれるしドナには振り回されるしで」レイスが疲れたように呟く、そんな彼女にアリシアがフッと笑いながらタバコに火をつける。
「君は良く頑張っているよ、君とドナが来てからエルザも良く笑う様になったんだ、それに君の活躍は何時も組んでいる私が良く知っているよ」アリシアの称賛を聞きレイスが照れくさそうにする。
「私も貴方やエルザ様、それにドナと出会えた事で毎日楽しい日々を送れています、なのでもっと私も力になれる様励みます」レイスが言うとアリシアがレイスにタバコを差し出す。レイスがタバコを加えるとアリシアが軽く肩を叩く、それを合図にした様にレイスがアリシアの方を向くと、咥えていたタバコ同士をくっつけ火を着けるそしてタバコを吹かせながらバーミンガムの街を走り抜けていった。
「ここがクラブで聞き出した奴等のアジトね」バーミンガム市内から数ブロック離れたスラム街の一角、そこに車を止め4人が降りる。「エルザ様大変な無礼を働きました!」酔いが覚めたドナが深々と頭を下げながら謝罪する。
「貴方は悪くないのよドナ、それに何時もと違う貴方が見れて私は嬉しかったわ」エルザに言われドナの顔が赤くなる。
「エルザ様が許してくれから良かったですが、もう少し貴方も気を付けなさい」レイスに嗜められドナが少し落ち込む。
「すいませんレイスさん、どんな罰でも受けます」ドナが言うと「エルザ様が許したのならばお咎めはありません、それに良いものも見せてもらったし逆に感謝していますよ」レイスに言われドナがキョトンとした顔をしていた。
「それよりどうする?このまま私だけで突入しようか?」アリシアが銃の入ったホルスターに指を掛けながら言った。
「何時もならそうしてもらうけど、今回は奴等に対する宣戦布告だからね、全員で派手に行こうか」エルザが笑みを浮かべながら先陣を切るのを見て他の3人もそれぞれ続く。そして売人窟となっているスラムで一番の建物へと入って行った。
「ん?おい、おい、ここが何処か分かってるのかよお嬢ちゃん達、それともボスが呼んだ売春婦か?」警備をしていたチンピラ達が4人の前に立ち塞がる。だが4人共無視して素通りする。それに腹を建てたチンピラの1人がエルザに掴み掛かろうと手を伸ばした瞬間。
ドン!と銃声が鳴り響きチンピラの頭が吹き飛び崩れ落ちる。
「小物に用はない死にたくないなら退け」エルザが硝煙の出る漆黒のリボルバーを残りのチンピラに向けながら言う。
「相変わらず強引なんだな君は」
「エルザ様こう言った時はまずバッヂを見せるんですよ?」
「いきなり殺すんですか!?まあ私はどちらでも良いんですけど」3人が口々にエルザの行動を批評する。他のチンピラ達は無表情に銃を抜く。
「てめえら生きて帰れると思うなよ!?」
「ヒュー、どうやらやる気の様ね?3人共今回は自由に殺っていいわよ」エルザが言うとそれぞれ自分の獲物を取り出す。アリシアは50口径のオートマチックハンドガン2丁、レイスは何時もの白い手袋を外す、そしてドナは軍用のサバイバルナイフを2本出す。
「合図は?」
「無いわそれぞれ好きに動いて」
「久しぶりに運動しますか」
「エルザ様への無礼をここで償います」
4人はそれぞれ散解し建物の制圧を始めた。
「随分と騒がしいな?下の奴らは何をやっているんだ?」茶色い髪を短髪にした男がソファから立ち上がる。部屋の中では裸の女達が倒れており全員首に噛み傷をつけられ絶命していた。
男が服を着て鏡を見る、肌は死体のように白くなっており、瞳の色が深紅に染まり口には鋭い牙が生え揃っていた。
「相変わらず気色の悪い顔だな」男が部屋の中で一人つぶやく。
「ボス!大変です!アジトが襲撃されています!」
チンピラの男が部屋へと駆け込んでくる。そして部屋に散らばる女達の死体を見て絶句する。
「知らねえのか?人様の部屋に入るときは必ずノックするだろう?もしかしてお前のお袋はそんな常識すら教えてくれない売女だったのか?」
男が振り帰りながらチンピラに向けて言う。
「すいません!緊急事態だったのでつい、許してください!俺ここで見た事は絶対に言いません!」チンピラが必死に許しをこう。
「何も言ってねえのにペラペラと自分で言う奴は信用しないようにしてるんだよ。」男が無表情でチンピラの許しを一蹴する。そして男が指を鳴らすと倒れていた死体達が起き上がる。
「ヒィ!許して!許して下さい!」
「俺は何もしねえしキレてもいねえよ、だがそいつらを止める理由も俺にはねえな」男が言うと女達が一斉にチンピラに襲い掛かる。腹を裂き内臓を引き出し、顔の皮膚を剥がし肉を食らう。チンピラの断末魔が上がる度に女達は唸り声を上げながら貪る。
「全く当分ソーセージとラザニアは食えねえな」男が顔を背けながらタバコを吸う。
「食い終わったら下に居る奴等を片付けろよ、やり方はお前等に任せる」チンピラの肉を貪る女達を尻目に男が無線を取り出す。
「本部、こちらキャリックここも潮時だな直ぐに拠点を変える、ああ分かった残りの商品はこっちで処分する。終わったらまた連絡するじゃぁな」キャリックが無線を切ると横の壁を拳で砕く。そして中にあったアタッシュケースを取り出す。「こいつだけは死んでも取られねえようにしないとな」中には金属製の注射器が30本程入っていた。
注射器には1つ1つラベルが貼っておりキャリックが一本取り出してみる。注射器の中には赤い液体が入っておりラベルには「ディアボロイド」と書かれていた。
「お前達は俺が守ってやるからな」キャリックは注射器にキスをするとそのままケースに戻した。
「食事は済んだだろう?ならさっさと働け売女共!」
血溜まりの中で唸る屍鬼達に命令を出す。屍鬼達は獣の様な唸り声を上げながら走り去っていく。
「それじゃあ俺はずらかるか」キャリックは部屋の隅に置いていたポリタンクの中身をぶち撒ける。そして咥えていたタバコを部屋に落とすと燃え上がる部屋を後にした。
第4話 完
次回第5話に続く。




