83. 連携
第一章のクライマックスです。
どうぞよろしくお願いいたします。
再びカテリーナへの一撃を阻まれた魔人は、怒りを爆発させるように咆哮した。
そしてその矛先は、セバスティアノスへと向けられた。
「グァオオオオオオッ!!」
魔人の剣が唸りを上げながら、セバスティアノスに向けて振り下ろされる。
――キンッ! キンッ! キンッ! キンッ!
剣閃が嵐のように襲いかかり、剣と剣がぶつかって火花を散らしていく。
凄まじい連撃を必死に受け流しながら、セバスティアノスが叫んだ。
「……ふっ、愛称で我が名を呼ぶとは! 妻となる覚悟ができた証だなっ!」
――ヒュン、ヒュンッ!
魔人が慌てて後方へ跳んだ。
直前まで魔人がいた空間を、複数のナイフが通過していく。
「どれだけキモい思い込みだよ! ただ呼びやすかっただけだろ!」
セバスティアノスが声の方へ顔を向けると、そこにいたのは――
トーナメント第三位、ヨアニス・イアニスだった。
そして、その手には次のナイフがすでに握られていた。
「平民ごときが、この私にそんな口をきくとは……いい度胸だな!」
「あれ? 大学では貴族も平民も関係なく、実力だけで評価されるはずだけど?」
――ヒュン、ヒュン! キンッ! キンッ!
ヨアニスは会話を続けながら牽制のナイフを投げ続ける。
魔人はそれを剣で弾き返し、火花が宙に舞っていく。
「それに、あのお嬢さまは平民を差別しない!
貴方みたいな差別主義の大貴族さまには、相応しくないんじゃない?」
「ウグォーーッ!」
魔人が吼え、突進した。
地を砕く勢いで踏み込み、セバスティアノスへ強烈な斬撃が振り下ろされた。
――ガキィンッ!!
セバスティアノスが剣で受け止め、衝撃に腕が軋む。
「私は差別主義者などでは断じてない! 実際、彼女の魔力も気にしていない!」
「じゃあ、俺とお嬢さまの仲も気にしないでくれよ!」
――ヒュッ!
ヨアニスのナイフが、魔人の頭へ向かって飛んでいく。
しかし、反射神経を生かし、魔人は頭と首を捩り、ギリギリでナイフを躱す。
――ズサッ!
「グァーーーッ!!」
ヨアニスが同時に足から放っていた隠しナイフだった。
地面を這うように気付かれずに飛んだナイフが魔人の脛に突き刺さった。
魔人はたまらず、翼を使って大きく後方へと飛ぶ。
しかし、止まらなかった。
セバスティアノスが追撃を加えようと、魔人を追うように前へ出て剣を振る。
その剣を、魔人は剣で受け止めるが、その瞬間、ヨアニスのナイフが魔人へと飛んでいく。
――ガキンッ! ヒュン、ヒュン!
剣が交錯しながら、魔人の身体の傍をナイフが通過していく。
二人の連携は加速し、魔人はどんどん後ろへと追い詰められていった。
それはまるで息を合わせたかのような、連携技のようになっていた。
追い込まれた魔人は体勢を立て直すため、翼を羽ばたかせて、大きく後方へと飛んだ。
「カティとの距離は空いたな?」
「ああ、もう大丈夫!」
「よし! 騎士団が来るまで二人で耐え抜くぞ!」
「いや……他にもいるみたいだ!」
「ウォォォォォリャァァァ!!」
轟音とともに、大剣が唸りを上げる。
――ビュウゥンッ!
高速で旋回したニコポリテスの大剣が、魔人の背後から襲い掛かる。
しかし、その気配を察知した魔人は、咄嗟の判断で上空へと飛び退いた。
そして、そのタイミングに合わせたかのように、トーナメントに参加していた受験生たちが次々と飛び出してきた。
「これで……なんとか持ちこたえられそうだな」
「いや……あの口っ!?」
空中の魔人がゆっくりと口を開いた。
その喉奥は――真っ赤に燃えている。それはまるで、地獄の炉のようにも見えた。
「みんな気を付けろ! 何かを吐き出す気だッ!!」
灼熱の炎が、スタジアムを赤く染めようとしていた。
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