77. 許さーーーん!
決勝戦が終わりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
セバスティアノスが跪づくその姿。
スタジアムには、歓声と悲鳴、そして困惑のどよめきが一斉に広がっていた。
観客席からその一部始終を見ていたアレクシオスは、完全にブチギレていた。
「な、何なんだ、アイツはッ! いったい何をやっているんだぁーーー!!!」
アレクシオスは完全に動揺し、普段の冷静沈着な彼からは、とても想像できないような言葉で叫んでいた。
カテリーナは、セバスティアノスの態度に困惑しきっていた。
その様子を察した司会は、間髪入れずに場を盛り上げるため、トークを繰り出す。
「こ、ここで何とぉぉぉぉ!
……あらためて、皆さまに発表いたします!
なんともおめでたいビッグニュースが舞い込んでまいりましたァァァァ!
――しかし、同時に悲報でもありますっ!
この国の若い女性にとっては悲報も悲報、大・悲・報です!」
「や、やめてぇええええええ!」
カテリーナが悲鳴のように叫ぶ。
しかしその願いも虚しく、スタジアム中の注目は完全に彼女たちへと集まっていた。
「完敗を喫したセバスティアノス・レオニダス殿が、
な、なんと――カテリーナ・ルクサリス殿に求婚いたしましたァァァァァッ!!
これは名門大貴族同士の婚姻となるのでしょうか!?
特にお年頃の女性の皆さまは、気になるところではないでしょうかっ!
さてさて――お返事は、如何にぃぃぃっ!?」
スタジアムを包んでいた歓声とざわめきが、次第に静まっていく。
すべての耳と視線が、カテリーナへと集まる。
――ゴクリ。
カテリーナは唾をのみ込んだ。
スタジアム中の視線を感じ、彼女の全身からは汗が吹き出していた。
「わ、私は……だ、大学に進学して学びたいので……
……い、今は、結婚のことは、考えていません!」
次の瞬間、スタジアムは再び大歓声に包まれた。
その言葉に、ほっと胸をなで下ろすアレクシオスだった。
だが、ふと貴族席から国王の方へ視線を向けたとき、心身が凍りついた。
――ま゛っ! ……陛下が笑っておられる!
これはマズいっ! 陛下公認の仲になりかねないッ!
そ、それにしてもセバスティアノス殿は、場を弁えるということを知らないのかっ?
……ダメだこいつ、早く何とかしないと……!
アレクシオスは落ち着きを失い、そわそわと身体を動かし続けていた。
もはや完全に挙動不審な人へとなっていた。
このスタジアムの熱気を逃すまいと、司会はさらに煽る言葉で追い打ちをかけた。
「おおっとーーーーーっ!
これはやんわりと断ったのかァ!?
それとも、それとも、大学卒業後にプロポーズを受けたいという意思表示なのかぁ!?
……では一旦ここで、セバスティアノス殿の心境を伺ってみましょう!」
カテリーナもまたどう振る舞えばよいのか分からず、そわそわと身体を動かし続けていたため、完全に挙動不審になっていた。
「……カティの言う通りだ。
私たちは、これから大学で学ぶ学徒の身。
大学を卒業したそのときに、改めて結婚を申し込みたいと思う!」
魔道具を通して響いたその言葉に、歓声と悲鳴が入り混じり、スタジアムの熱気は最高潮へと達した。
――か、カティだと!?
もう恋人にでもなったつもりか!?
「許さーーーん!」
「許さーーーん!」
アレクシオスの叫びとまったく同じ言葉が、一般席からも響いていた。
その声の主は――
かつて、カテリーナに卑怯な戦いを仕掛けた末に敗れ、剣の騎士団を追放された男。
元騎士、パナギオティスだった。
小説を書くのが初めてです。
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