75. 本来の実力
決勝戦二本目が始まります。
どうぞよろしくお願いいたします。
――えっ?
一瞬、観衆までも言葉を失った。
試合開始直後の一本――あまりにも早すぎる決着に、それが正当な判定なのか誤審なのか、観衆には判断が追いつかなかった。
だが、セバスティアノスが右手首を押さえ、わずかに歯を食いしばったその仕草が、すべてを物語っていた。
次の瞬間。
――ドワァァァァァッ!!
スタジアムを揺るがすほどの大歓声が会場全体に広がっていく。
「は、早すぎるだろっ!!」
「あぁ、セバスティアノスさまぁぁぁっ!!」
「おいおい、これが最高の決勝戦かよ!」
称賛、落胆、野次、興奮――声援の中身は実にさまざまだった。
「そうだ、こうでなくてはなっ!」
観客席で、アレクシオスが満足げに呟いた。
「……見事にやられたな。完全に私の油断だ」
セバスティアノスはそう低く呟く。
カテリーナは一瞬だけ申し訳なさそうな表情を浮かべたが、すぐにここが戦いの場であることを思い出し、再び戦士の顔へと切り替わる。
――この娘の実力は、間違いなく本物だ。
格上の相手と戦うつもりで挑まないと……やられるっ!
決勝まで圧倒的な力で勝ち進んできたセバスティアノスは、ここに来て初めて、背筋に冷たいものが走る感覚を覚えていた。
審判が判定の確認を行い、両者の状態を確かめる。
そして二人は礼を交わし、再び剣を構えた。
ざわめく観客席を背に、二本目の準備が整う。
「始めぃ!」
決勝戦、二本目の戦いが始まった。
――今度は隙がない。……慎重になったのね。
相手の構えを見た瞬間、カテリーナは即座に判断し突きの連撃を始める。
数々の死地を潜り抜けてきたカテリーナは、自らの経験から学び取っていた。
一瞬の迷い、一瞬の隙……それが命取りになることを。
――シュッ!
――シュッシュッシュッ!!
――キンッ、キンッ、キンッ!
鋭い突きの連撃を、セバスティアノスは必死に受け流していく。
――く、これは……!
並の騎士であれば、とても耐え切れない猛攻だった。
だが、高い技量を持つセバスティアノスは、かろうじてその連撃を凌げていた。
――シュッ、シュッ、シュッ!
――キンッ、キンッ、キンッ!
一歩、また一歩。
次第に、セバスティアノスは試合場の端へと追い詰められていく。
観客席では驚愕と緊張が入り混じり、どよめきが広がり始めていた。
「フフッ、これがカテリーナ本来の力だ。今までの相手は、単に相性が悪かっただけだ!」
決勝戦という大舞台にもかかわらず、アレクシオスにとって、この試合が最も落ち着いて見られる試合となっていた。
――まずい……このままでは、いずれ耐えきれなくなるっ!
セバスティアノスが反撃に出ようと、ほんのわずか剣を動かした――その瞬間。
――ドンッ!
重い衝撃音が会場に響く。
その直後、まるで空気が凍りついたかのように、会場は静まり返っていった。
小説を書くのが初めてです。
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