表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー  作者: みーしゃ
第一部 王立宮廷大学を目指そう!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/82

74. 動揺の先

 決勝戦が始まりました。

 どうぞよろしくお願いいたします。

――ん?


 セバスティアノスの表情がふと(やわら)ぎ、その(かす)かな違和感をカテリーナが感じ取った瞬間だった。


「さあああぁ、皆さまっ!! お待たせいたしましたぁ!!」


 司会の声が雷鳴のようにスタジアムを貫いた。


「ついにやってまいりました決勝戦です! 今年の宮廷大学・騎士科受験者の頂点に立つのは、いったいどちらになるのでしょうか? 決勝に勝ち上がってきたお二人を、改めて紹介させていただきます!」


 観客席から「おぉー」というどよめきのような声があふれかえり、スタジアムの空気が(ふる)えた。


「まずは青のコーナー!!

 セバスティアノス・レオニダス殿!

 言わずと知れた名門レオニダス公爵家の長男にして、若き雷撃の騎士ィ!!

 数々の大会で優勝を重ね、今回も優勝候補筆頭です!

 しかも今大会では、一本も取らせぬ完全無敗でここまで勝ち上がってきましたぁ!!」


「セバスティアノスさまーー!!」

「きゃああああ!!」


 若い女性からの黄色い歓声が、観客席の中を嵐のように吹き荒れる。

 セバスティアノスが微笑みながら手を振るたび、その歓声はさらに大きくなり、会場の熱気は一気に高まっていった。


「続きまして白のコーナー!!

 カテリーナ・ルクサリス殿!!

 こちらも名門ルクサリス侯爵家のご令嬢です!

 そして皆さまもご存じ、大聖女アナスタシアさまの娘君であられます!」


――ウワァァァッ!!!


 爆発するような大歓声が、スタジアム全体を揺らした。


「お母さまの影響って……本当に、今でも大きいのね」


 カテリーナは、ポツリと呟いた。


「聖女さま万歳!」


「娘も優勝だー!」


「パワーでねじ伏せろー!」


――ん? なんでパワー?


 どこか方向性の違う声援が混じっていることに首をかしげつつも、カテリーナは余計なことを考えるのをやめ、意識を目前の戦いへと切り替える。


 司会が言葉を続けた。


「カテリーナ殿は、準決勝で第三位に入賞したヨアニス選手に一本を取られたものの、それ以外は全勝で勝ち上がってきておりますっ!!」


――よかった。……ヨアニス、三位決定戦に勝ったんだ。


 カテリーナは、そっと「おめでとう」と呟いた。


「それでは決勝戦を前に、お二人に意気込みを伺いましょう! まずはセバスティアノス選手から!」


 その瞬間、会場は一斉に静まり返り、セバスティアノスの声に耳を傾ける。


「ここまで来られたのは、皆さまのご声援のおかげです。心より感謝の気持ちを表したいと思います。

 そして――カテリーナ・ルクサリス殿。

 体格差もある中、それを乗り越えて勝ち上がってきたその実力に、深い敬意を持ちたいと思います。

 互いに全力を尽くし、最高の決勝戦をお見せしましょう!」


――ウオォォォォッ!!


 言い終わると同時に、割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こった。

 国王までもが立ち上がり、力強く手を叩き始める。

 その結果、スタジアムの熱狂は最高潮に達するのだった。


――え、私の名前!? え、え、次、私!?


 目に見えて動揺するカテリーナを見て、司会はすかさず場を盛り上げようと、茶化すように声を張り上げた。


「おっとおっとー! カテリーナ殿にとって、その言葉は想定外だったようです!

 まあ、これだけの美男子に褒められれば、無理もありません!」


 会場からどっと笑いが起こる。


「それでは、カテリーナ殿の意気込みも伺いましょう! どうぞ!」


 カテリーナは挙動不審の状態のまま答えた。


「あ、あば……あばばばば……が、がんばりましゅっ!」


 ……盛大に噛んでしまった。

 次の瞬間、爆笑がスタジアムを包む。


 恥ずかしさのあまり、カテリーナの顔は真っ赤になった。

 セバスティアノスは、そんなカテリーナを可愛いと思い、思わず口元を緩めるのだった。


「落ち着くんだ、ルクサリス殿。君はここまで勝ち進んだ強い騎士だから大丈夫!」


 その一言で、カテリーナははっと我に返る。


――動揺しちゃダメだ。まずは、落ち着いて呼吸を整えないと!


 目を閉じ、深く息を整える


「ふぅーーー。」


 カテリーナは落ち着きを取り戻した。


――セバスティアノスさまには、何度も助けられてばかりね。ありがとうございます!


 心の中でお礼を言い終わると、その瞬間、彼女の(まと)う空気が一変した。

 そこに立っているのは、動揺しているような可憐な少女ではなく、静かに闘志を燃やす歴戦の騎士のような姿だった。


――まただ、一瞬で切り替わった! ……どちらが本当の君なんだろう?


 セバスティアノスは、背筋に(かす)かな震えを覚えたのが分かった。


 司会が退場すると、今度は審判が前に出てルールの説明を行う。

 二人の装備と状態を確認した後、二人は互いに礼を交わし、定位置に着いた。


「――始め!!」


 その声の直後だった。


――ドンッ!


 鋭い音とともに、カテリーナの剣は閃光となって、セバスティアノスの右手首のわずかな隙間を正確に貫いていた。


――(せん)(せん)


 集中力が極限まで高まっていたカテリーナは、剣を構えようとするセバスティアノスの動きと同時に、自然に身体(からだ)が動いていた。


「ぐっ!!」


 セバスティアノスが思わずうめき声をあげた。

 それを見た審判が、即座に宣言する。


「一本!」


「……え?」


 セバスティアノスは信じられないという表情のまま、反射的に言葉を口にしていた。


「……え?」


 その様子を見たカテリーナも、何かを間違えたのかと思い、思わず同じ言葉を口にしていた。


 小説を書くのが初めてです。

 どんな内容でもよいので、感想をいただけると執筆の励みにもなりますし、本当に嬉しいです。

 どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ