表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー  作者: みーしゃ
第一部 王立宮廷大学を目指そう!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

74/81

73. セバスティアノス・レオニダス

 第三試合、決勝戦が始まります。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 カテリーナは決勝戦までの間、それまでと同じように控室で待機していた。

 スタジアムの喧噪とは対照的に、厚い石壁に囲まれた部屋の中はとても静かで、心を落ち着かせてくれる空間だった。

 カテリーナは試合の疲れが溜まっていたため、椅子に腰掛けたまま、いつの間にか深い眠りへと落ちていた。



   ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



 選手を案内する係員が、カテリーナの控え室の前に訪れた。


――コンコン


「……決勝戦の準備をお願いいたします」


 返事がなかったため、係員も一瞬迷ったが、今度は強い力で扉を叩く。


――ドンドン!


「……ルクサリスさま、決勝戦の準備をお願いいたします!」


 大きなノック音と声により、カテリーナははっと目を覚ます。


「ふぁいっ!」


 間の抜けた返事と同時に、カテリーナは跳ね起きた。

 慌てて身なりを整えながらも、ふと脳裏をよぎったのは、準決勝で剣を交えたヨアニスのことだった。


――そういえば、三位決定戦があるって言っていたけど、勝てたのかな?


 短い時間ではあったものの、カテリーナは短い眠りに落ちていたため、心も身体も十分に回復していた。

 不思議なことに、決勝戦を前にしていても胸を締めつけるような重圧はなく、逆にヨアニスのことを考えるような余裕さえあった。


 部屋を出て、係員の案内に従ってスタジアムへと向かう。


――決勝かぁ……最後の相手はどんな人かしら。やっぱり、強い人なのかなぁ。


 ゲートを抜けた瞬間、これまで以上に異様な熱気を帯びた大歓声が、カテリーナを包み込んだ。


「さすがは聖女さまの娘だ! 応援しているぞ!」


「得意の剣技を見せてくれ!」


「久しぶりの女性優勝者を目指せー!」


 決勝戦ともなると、観客の熱意も声援も明らかに違っていた。

 カリスティア王国では、貴族・平民を問わず、騎士や魔導師に対する敬意が根付いている。

 宮廷大学の受験生の中でも、特に選抜者トーナメントに進んだ者たちは、将来国家を支えていく人材として見られていた。

 さらにその中でも、決勝まで勝ち進んだ者に対しては、受験生という立場を超えて、多くの期待と尊敬の眼差しが向けられるのであった。


 そのような視線を一身に受けながらカテリーナが試合場へと進んでいくと、向こう側から威風堂々とした、気品あふれる長身の騎士が歩いてくるのが見えた。


――セバスティアノス・レオニダス!


 現国王の妹を母に持ち、王家とも深い縁を持つ名門レオニダス公爵家の長男。

 長身で容姿端麗、貴族社会でも名高い貴公子。

 若年層の騎士大会では数々の実績を誇り、魔法も得意で雷撃魔法の名手として知られる存在。

 ……そして、最初の魔力測定のとき、私を助けてくれた人。


 相手を意識したせいか、カテリーナは少し恥ずかしくもなり、伏し目がちに歩み寄っていく。

 一方のセバスティアノスは、堂々とした足取りでカテリーナへ向かって歩いてくる。


 彼に向けられる歓声は、カテリーナに対するものよりもさらに一段と大きなものだった。

 名門公爵家の出身で、凛々(りり)しく整った顔立ちの貴公子。

 貴族・平民を問わず人気があり、特に若い女性からは、黄色い声が途切れることなく飛び交っていた。


 二人が近づいたところで、カテリーナの様子を察したのか、先にセバスティアノスが声をかけた。


「カテリーナ殿。このような舞台で、また会えるとは思っていなかった。本当に嬉しく思うよ」


 その優しさが含まれた言葉に、カテリーナも自然と顔を上げ、返事をすることができた。


「あ、ありがとうございます。あのとき、あなたが声をかけてくださらなければ……私は、ここまで来られていません」


「いや、それは違う!」


 セバスティアノスはきっぱりと言い切る。


「僕は騎士を目指す者として、当然のことを言ったまでだ。ここまで来れたのは、明らかに君自身の実力だ」


「……!」


 その言葉に、おどおどとしていたカテリーナの心が解けていく。


「ほら」


 セバスティアノスは視線をスタンドの一角へと向けた。


「陛下もご覧になっている。テオフラストスに啖呵を切ったときのように、自信を持つんだ」


 その男らしい、はっきりとした言葉に、カテリーナははっと我に返る。

 カテリーナは深く息を吸ったあと、心の中で「ありがとうございます」と呟いて、背筋を伸ばした。


 次の瞬間、その表情からは迷いが消えていた。

 セバスティアノスの目の前に立っている者は、ルクサリス家の名誉を背負い、剣を取る一人の騎士へと変わっていた。


――ふふっ、本当に、別人みたいだ。……それにしても、どちらが本当の彼女なんだろう?


 セバスティアノスは、どこか楽しそうな表情でカテリーナを見つめていた。


 小説を書くのが初めてです。

 どんな内容でもよいので、感想をいただけると執筆の励みにもなりますし、本当に嬉しいです。

 どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ