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蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー  作者: みーしゃ
第一部 王立宮廷大学を目指そう!

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67. 踏み越えた先に

 第三試合、準決勝戦です。

 どうぞよろしくお願いいたします。


――絶対に避けられない!


 カテリーナは、それを瞬時に理解した。

 迫りくるナイフが、まるでスローモーションのように見える。


 思考より先に身体が動く――生死をかけた戦いや厳しいトレーニングを積み重ねてきた者だけに与えられるギフト。

 危機の瞬間、時間が伸びたように感じ、認知と同時に身体が自動的に動き出す。

 カテリーナの身体は前へ踏み出していた。


 ナイフは避けられない。だが、それでいい。

 ヨアニスの着地に合わせて突きを叩き込む――それがカテリーナの狙いだった。


 上から降ってきたナイフが髪をかすめたが、風切り音だけを残して背後へと抜ける。

 正面のナイフは――あえて受ける。ナイフが腹部に当たり、軽い痛みが走る。


 ポイントは取られた。しかしそれは構わない。

 次のナイフが投げられる前に、こちらの突きを先に決めて一本を取る。


 この刹那に、カテリーナは最適解を選んでいた。


 一方のヨアニスは、牽制のナイフでカテリーナの足を止め、いずれかが当たった瞬間にさらに雨のような連投を浴びせて仕留めるつもりだった。


――クソッ、相打ち覚悟かよッ!


 ヨアニスもまた、カテリーナの踏み込みに対し瞬時に反応し、横腹部にあるポケットへ、もう片方の手を伸ばす。


――間に合えーーーッ!

――間に合えーーーッ!


 二人は全く同じ思いを同時に抱いていた。


 ヨアニスの指がナイフを挟み上げ、腕を上げた瞬間だった――


――ドンッ!!


 ヨアニスがナイフを投げるよりも一瞬早く、カテリーナの突きがヨアニスの胸元へ突き刺さっていた。

 柔軟性により身体が伸びきったカテリーナの一撃は、軽装のヨアニスの上体をわずかに反らせていた。


「ぐぅっ……!」


 誰が見ても結果は明らかだった。


「青、合計2ポイント! 白、一本!」


 審判の声が高らかに響き渡り、スタジアム全体が爆発したような歓声に揺れた。


「よしッ!!!」


 観客席のアレクシオスも、歓喜して拳を掲げた。


 ヨアニスは胸を押さえながら立ち上がり、カテリーナに言葉をかける。


「警戒させながら、少しずつポイントを積み重ねて勝つ作戦だったのに……気付かれちゃったか」

「はい。でもあれは咄嗟の判断でしたから、どちらに勝利が転んでもおかしくありませんでしたよ」


「……ふふ、大貴族さまなのに、きみはとても優しいんだね」

「ありがとうございます。私もあなたのように強い殿方と戦えて光栄ですよ」


 その言葉に、ヨアニスの頬がかすかに赤く染まった。


 ヨアニスは身長が低く、力もなかった。

 また子どものような可愛らしい顔立ちのために、“男”として扱われた経験がほとんど無く、逆に男たちから性的ないたずらをされかけたことすらあった。


 そのため、大きな剣が使いこなせないヨアニスは、持ち前のスピードを活かした投げナイフという戦い方を自ら編み出し、努力を積み重ねてきた。

 宮廷大学を受験したのも、見下してきた連中を見返してやりたい――そんな秘めた思いが、心の中に強くあった。

 そのような中、カテリーナからかけられた言葉は、生まれて初めて“男”として認められたような気がして、ヨアニスの胸は熱くなるのだった。


 ヨアニスは照れた顔を隠すため、投げたナイフを集めながら気持ちを切り替えていく。

 定位置へと戻り、ヨアニスの顔つきも戦士の顔つきへと変わる。


「次は、こうはいかないからね!」

「はい。こちらも簡単にはいかせませんよ!」


 審判が両者の状態を確認した後、二人は礼を交わす。

 カテリーナは剣を構えるが、ヨアニスは素手のままだった。


「始めっ!」


 観客は息を呑み、次はどんな展開を見せるのかと期待に震えていた。

 二本目の戦いの幕が開けた――。


 小説を書くのが初めてです。

 どんな内容でもよいので、感想をいただけると執筆の励みにもなりますし、本当に嬉しいです。

 どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

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