53. “起こり”が無い剣
今回は、剣の“起こり”についてです。
よろしくお願いいたします。
――先の先を狙う! こちらの方が必ず早い!
突きは直線、振り下ろしは弧。
速度も距離も、突きの方が勝るはず。
あとは、さっきのようなカウンターにだけ注意すればいい。
カテリーナは慎重に剣を構える。
対するマルキアノスは、どこか余裕を漂わせていた。
「……お兄さんから“先の先”を学んだんだね。素晴らしい、その剣の先……」
――ビュッ!
マルキアノスは、突然凄まじい速度で剣を振り下ろした。
会話の最中に仕掛けられた一撃に、カテリーナは虚を突かれた。
「くっ!」
咄嗟に身体を反らし、紙一重で剣を躱す。
しかし、そこからさらに二撃目。
もう一本の剣が水平に閃いた。
――ビュッ! キンッ!
崩れかけた体勢のまま、紙一重のところで何とか剣を受け止めた。
「……あ、危なかった!」
急いで後ろにステップして距離を取ったカテリーナに、マルキアノスが目を細めて笑う。
「素晴らしい! 二撃目まで反応できるとは!」
「ありがとうございます……ですが、とても“先の先”を狙えるお方ではないとわかりました」
「ふふっ、そうか。では今度は“先”を狙ってみようか」
カテリーナは息を整え、構え直す。
試験の試合中であったが、二人の間には剣の師弟のような、お互いに剣で語り合うような空気感が生まれつつあった。
――次こそ、剣の起こりを突いてみせる!
その緊張感の中、マルキアノスがじりじりと迫る。
そして突然――。
――ビュッビュッ! キンッキンッ!
予兆のない二連撃。
だがカテリーナは、紙一重のところで反射的に受け切っていた。
「おおっ! “起こり”のない剣を、ここまで受けきるとは!」
見守っていた騎士たちから、「おおっ」というどよめきが起こった。
「い、今のは……!」
通常、剣を振る前には必ず“起こり”――わずかな予備動作が現れる。
だがマルキアノスの剣にはそれがなかった。
「驚いたかな。私の流派では、予備動作を無くす技術があるんだ」
「これでは……いつ剣が来るのか全く読めません」
「それこそが“起こり”を無くした剣なんだ。対人戦に特化した技だよ」
未知の剣に触れ、カテリーナは胸を震わせていた。
本を読み、学びによって世界が広がったように、剣技でも新たな世界を開ける!
――そう感じていた。
「……では、時間もない事だし、そろそろ決着をつけようか」
マルキアノスが二刀を構え直す。
それを見ていた騎士たちが声をあげた。
「おお、双剣の連撃が見られるぞ!」
その言葉を聞き、カテリーナは格上の相手の隙を伺う。
だが次の瞬間――。
――ビュッビュッ……ビュビュビュビュビュビュビュビュビュッ!
二本の剣が嵐のように襲いかかる。
先ほどの剣を凌ぐ速度と精度。隙のない、圧倒的な連撃の始まりだった。
小説を書くのが初めてです。
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どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m





