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蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー  作者: みーしゃ
第一部 王立宮廷大学を目指そう!

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22. 「できない」を覆す

今回は剣で対峙した場合の、構えが出てきます。上手く伝わっていますでしょうか?

どうぞよろしくお願いいたします。


 アレクシオスは、対戦の秘策を話し始めた。


「それは、突きだよ。突きで戦うんだ、カテリーナ」

「突き、ですか?」


「そう、突きだよ。以前、剣の力の伝わり方の説明をしたよね」

「はい、弧を描く動きで、切っ先で切るというものですね」


「そう。これが、今の騎士の主流の考え方だね。魔物もそうだし、戦場を想定して、よろいや盾で防御を固めた相手と、集団同士で戦うからね」

――確かに、型の訓練では、集団で一斉に防御姿勢を取る訓練があったわ。


「でも、実技試験は違う。重装備ではない相手と、一対一で戦うんだ。だから、カテリーナでも、十分に勝てるチャンスが生まれるんだよ」

「それが、突きでの戦い方なのですね」


 カテリーナは、きつい訓練を続けたことで、騎士の型の基本動作が、ほぼ身についていた。

 そしてそれは、敵として対峙したときに、相手の動きを想像できるようにもなっていた。


「まず、普通の剣の動きを見てみよう」

アレクシオスは、地面に剣の軌道を描き始めた。


「このように、切っ先が相手に届くまで、弧の動きの距離がこれだけある。しかし、突きだと直線で動き、移動距離はわずかこれだけだ。……ということは?」

「同じスピードなら、突きの方が相手よりも早く、攻撃が当てられます!」


「そうなんだよ。しかも振り下ろすのと違い、筋力の消耗も少なく、連続攻撃もできるんだ。このようにね」

「なるほど!」


「今回の戦いの場所は戦場ではない。よって、普段の騎士の戦い方にこだわる必要はない。一対一の戦いに、勝つだけでいいんだ」

 アレクシオスの説明を聞いていると、カテリーナは、自分にもできる気がし始めてきていた。


「さらに、カテリーナにはその戦い方で有利になる点が2つもある。なんだと思う?」

「私なんかでは、想像もつきません・・・」


「カテリーナ、違うよ。君()()()こそ、なんだよ。君は左利きだろう?」

「はい、いろいろと不便を感じることは多いです」


「ところがだ。一対一で、突きの戦い方では、左利きが有利になる」

「どういうことでしょう?」


「突きでの戦い方は、身を守るため身体を半身に構える。盾もいらないし、剣も片手で構える」

「え、片手で? 私が片手で、剣を使いこなせるでしょうか?」


「それも大丈夫。カテリーナ用に、突き専門の剣を発注済みだから」

――もう、私は、完全にお兄さまの手のひらの上なんですね・・・


「では早速、左肩を前にして、横向きの半身(はんみ)で構えてみて」

「はい。これでよろしいでしょうか?」


「そう、それでいい。僕から見ると、半身(はんみ)のカテリーナはまとが小さく狙いにくくなったし、僕から見てカテリーナが左へ左へと動くと、さらに切り付けにくくなる」

「え? 私は変わりませんが?」


「そう、そこなんだよ。多くの騎士は右利きだから、右利き同士で剣や盾を使うことが多い。しかし、左利きの人間がそのような動きをすれば、身を守りやすく、相手の攻撃もかわしやすくなる」

――あ、私が右に動けば、相手の剣は私の右半身に届かないけど、私の左手の剣は相手の左半身に届くんだわ!


「さらに、左利きの騎士は少数派だから、多くの騎士は、左利きの騎士と対戦練習をしたことがない」

「なるほど!」


「剣の動きが早い『突き』だけをしてくる、それも左利きの剣士。初見で対応するのはとても困難な相手だよ」

「素晴らしいです、お兄さま! 何だか私でも、できそうな気がしてきました」


「カテリーナ、きみは『知らない』だけで、『できない』と思い込んでいただけなんだよ」

 この兄の言葉を聞き、カテリーナは、全身に痺れるような衝撃が走るのを感じた。


――私にはできない……そうでは無かったんだ! ただ知らなかっただけで、自分に合った努力さえすれば、私にもできるんだ!


 カテリーナの心を覆っていた、思い込みのからが一つ外れた。

 その瞬間、兄が自分のために、ここまで考えて、ここまで訓練をしてくれたことに、カテリーナは、あらためて感謝の気持ちでいっぱいになった。


 カテリーナは感激し、目からは涙があふれ、思わず兄に抱きついてしまった。

「お兄さま、本当にありがとう! 大好き!!」


 アレクシオスはカテリーナを抱きしめながら、優しい笑顔で答えた。

「カテリーナ、できないと思っていたことを、一緒に一つずつ、くつがえしていこう!」


 兄の言葉は、カテリーナに、新たに勇気と自信の火をともさせたのだった。


小説を書くのが初めてです。

感想をいただけると、本当にありがたいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

m(_ _)m

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