20. 努力している者をバカにしてはいけない
残念ながら、努力している人をバカにしたり、見下してしまう人がいます。今回はそのような内容のお話です。どうぞよろしくお願いいたします。
カテリーナは、休むことのない特訓を約1ヵ月半の間、毎日続けていた。
その結果、剣の切り返しなども含め、攻撃に関する基本の型のほとんどができるようになっていた。
「上手く剣を扱えるようになってきたね」
「はい!(まあ、これだけ強制回復されて、詰め込み訓練を続けてていればですね……)」
兄、アレクシオスは、カテリーナの腕をさわり、筋肉のつき方を確認していた。
「うん。最低限剣を振れる筋力がついてきたね。しかしこれは、あくまで型で点数を取れるようになるための訓練だから、筋力はこの程度で大丈夫だよ」
「え、本当ですか!? お兄さま、ありがとうございます!(やったぁ! これで恐ろしい訓練が終わりを迎えるわ!)」
「これ以上、筋肉をつけてお母さまみたいになっても困るし……いや、まあ、これくらいで」
――え、お母さま? 私にはあまり記憶がないけど、お母さまって、そんなに筋力があったかしら?
カテリーナの記憶の中では、母アナスタシアとの思い出は、優しいものしか残っていなかった。
「じゃあ、次の段階に移るよ」
「はいっ!」
「次は防御の型だね。剣での受け流しだけでなく、今度は盾も使うよ。特に盾を使った防御の試験のポイントは、皆と同じ動きがきちんとできるかどうかなんだ。もし崩されたときは、どのような動きをするかだけど・・・
――ははははは、これで終わるわけ、ないですよねぇ……
心の中でガックリときていたカテリーナだったが、その様子を羨ましそうに、ずっと隠れて見ている者がいた。
それは義弟のキリロスだった。
「お兄さまは、何であんな才能も何も無い奴に肩入れするんだ!」
キリロスの瞳の奥には、カテリーナに対する嫉妬と憎悪の感情が渦巻いていた。
「そんな無駄なことをするくらいなら、僕にももう少し、稽古をつけてくれてもいいのに……」
キリロスはまだ11歳だったが、身体強化系の魔法が優れ、特に剣士としての才能が周囲に認められ、将来を期待されている人間だった。
自分の方が優れていると、常に思っていたからこそ、カテリーナを見下していたのかも知れない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カテリーナは、日が沈むまでは剣の訓練を行い、その後は義母の教育があればそれを行い、それ以外の時間は、筆記試験の勉強に充てていた。
そのため、宮廷大学の試験勉強としては、毎日14時間から16時間行っていた。
義妹のゼノビアは、教えている兄アレクシオスにも少し呆れており、「無駄な努力」とカテリーナをバカにし、ほぼ無視をしている状態だった。
逆にキリロスは、カテリーナの無謀な挑戦のために、兄の時間まで奪われていることへの鬱憤が貯まりつつあった。
そしてある日、キリロスは我慢の限界を超えてしまった。
アレクシオスとカテリーナが訓練している所に乗り込み、暴言を吐いたのだ。
「兄上! なんでこんな無駄なことを続けるのですか! 義姉上がどんなに努力をしても、年下の僕にすら絶対に勝てないですよ!」
すると、兄、アレクシオスの顔が変わった。
「キリロス! 努力している者を、決してバカにしてはいけない!」
――普段優しい兄が、自分に対して怒るなんて……
キリロスは、義姉のカテリーナにより、兄が誑かされていると思い、怒りの矛先をカテリーナに向けた。
「お義姉さまは、いくら努力したって無駄なんだ! 早く、そんなこと止めてしまえっ!」
カテリーナが、口を開きかけたとき、それを制止してアレクシオスが声を出した。
「もう一度言う。努力している者を決してバカにしてはいけない。カテリーナが努力を続ければ、お前では絶対に勝てなくなるぞ!」
「ははは、正気ですか兄上! 義姉上がいくら努力したところで、年下の僕にすら勝てませんよ」
「キリロス、言ったな。取り消して謝るなら今のうちだ。騎士の言葉は、取り消せなくなるのだぞ」
「何度でも言いましょう。義姉上は、いくら努力したって無駄なんですよ。何回やったって、僕には絶対に勝てない!」
カテリーナは自分が言われているにも関わらず、兄弟同士の激しい言い争いを心配し、あたふたしていた。
「……そこまで断言するならいいだろう。すべての訓練が終わった後、カテリーナと対戦してみるといい。騎士を目指すなら、言葉ではなく、剣をもって自分の正しさを示すんだ」
「望むところですっ!」
――ど、どうしましょう……。私が一言も発していないうちに、大変なことに……。どうしてこうなるの!?
カテリーナは訓練の終了後、義弟キリロスとの対戦が決まった。
小説を書くのが初めてです。感想をいただけると、本当にありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
m(_ _)m





